FGO二次創作掌編「まどろみ」

ぐだ♀キャット シリアスなタマモキャットを見たくて書きました 暗い展開があります
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John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

ムーフォーフォー…余はネコ特有の気まぐれさの中に神霊としての得体の知れなさを垣間見せるタマモキャットが見たい

2017-09-02 08:48:39

そういうわけで書きました

John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

「おはようご主人。ここから空は見えないがキャットは実質太陽だと暑いファラオが言っていた…キャットは絶好調故、今日もいい天気だナ」 目が覚めると猫がいた タマモキャット アマテラスの分御霊、玉藻前のアルターエゴで、私のサーヴァントだ

2017-09-02 09:23:48
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

まだ夢うつつな私は眼前の獣耳に手を伸ばす 「〜♪」 ゴロゴロと喉を鳴らすキャット ぴこぴこ動く耳を眺めている間に意識がはっきりしてきた私がはじめに気づいたのは、私が今「よくわからない場所」にいる事だ。

2017-09-02 09:24:03
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

私の部屋にも窓は無かったが、ここには扉もない そして私が横たわっているのもベッドではなく、柔らかな毛が植えられた絨毯のようなものに覆われた床だった 壁も、天井も同じく柔らかな質感で乳白色 また私は夢を見ているのだろうか、それとも──

2017-09-02 09:24:32
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

「夢でもなければ幕間でもないぞ、ここは正真正銘ご主人が言うところの現実である」 見透かしたようにキャットが言う。であればこの異空間はサーヴァントの仕業……というか十中八九キャットの悪戯だろう。 「ねぇキャット。出口はどこ?」 「そんな無粋なものはナッシング」

2017-09-02 09:28:57
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

「そっか…ところでもしかしてこの質問7回目くらい?」 「Yes(キャット)。流石ご主人勘が鋭い、ケモノの適性があるぞ。もちろん人類悪的な意味ではなく」 褒美に肉球も堪能するがよい。そう言って密着して来たキャットは、私を抱きすくめるような形になる もふもふ 不思議と暑苦しくはない

2017-09-03 03:27:38
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

それはキャットの身体が心地よい温もりであること そしてこの部屋が暑すぎず蒸しすぎないこと そして何より、私の体に淡い悪寒のようなものが宿っていたためだった。 「キャット…」 「おうさ」 水の中にいるように、いつもより少し重い腕をキャットの背中に回す。応じてキャットの腕が私の背中へ

2017-09-03 03:30:36
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

気力が尽きたまま目覚めた気だるい朝の様に、私の体は基礎代謝以外の運動を拒否していた。上体を起こすのにもだいぶ気力を使った。 そして、頭も霞がかかった様だ。 自分の意識がはっきりしていないことだけがはっきりとわかる。私は何をしなければいけないんだっけ。

2017-09-03 03:34:18
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

「…しなきゃいけないことがあるの」 「それはキャットに大人しく世話されることだワン」 「…私にしかできないことだったはずなの」 「無論、キャットのご主人はリツカただ1人だ」 「何を……私は……」 「もう十分なのだナ」

2017-09-03 03:40:11
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

胸にぽっかりと穴が空いた様だ。底の抜けた船から水を汲み出す様に、私が思考を巡らす速度よりも、言葉を絞り出す速度よりも、私の中から何かが不可逆的に流出していく方が早い。 力が抜ける。キャットと抱き合う様な姿勢だったのに、今やキャットに枝垂れかかる形だ

2017-09-03 03:42:13
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

そう、この柔らかな部屋で体感およそ7日 私はこうしてキャットと過ごしていた キャットが私を呼んだのだ そして私はそれをよしとした それは控えめだが十分に狂った選択で、そんな選択を選んでしまうほどに私は───だった

2017-09-03 03:45:13
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

私を守ってくれた───がいた 私を支えてくれた───がいた 私のために戦ってくれる───がいた でも、私は どうしようもなく脆くて

2017-09-03 03:47:22
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

今やキャットの体温はまるで熱いスープの様だ 石の様に冷えていく私の身体には心地よいのだが、いかんせん心地よさを感じる感覚も少しづつ薄れていく キャットはじっと私を抱きとめていた 7日の間、この空間に私を閉じ込めて きっと私を神隠ししたのだ もう助からない、私を

2017-09-03 03:51:14
John@原稿緊急事態宣言 @Jack_O_H_Nielse

ぽっかりと空いた胸の穴から、荼枳尼天の呪法で緩やかにせき止められていた私の命が、いよいよ流れきった。深く深く深い、昼下がりの眠気の様なものに任せて、私は目を閉じた

2017-09-03 03:59:42