鋼の鎧、鋼の拳、鋼の意志

竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次の駄提督回です。 今回は駄提督の失踪? そこから始まる事件の顛末を、どうぞ最後までお楽しみ下さい。 ご感想などは、竹村京さんor#落ちぬいタグへ。 続きを読む
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はじめに

竹村京 @kyou_takemura

#落ちぬい二次 、はじまります。本作は #不知火に落ち度はない の二次創作であり、オフィシャルではありません。意見、指摘などは #落ちぬい タグへお願いします。

2018-04-03 11:55:32

本編

竹村京 @kyou_takemura

防衛装備庁の研究施設の一室。 藤郷技監は妻で部下の三笠にダイヤルさせ、電話をかけていた。 『はいこちら兵頭鎮守府ー。ただいま留守なのでまたかけてねー』 兵頭への直通電話にかけたはずだが、出たのは鼻にかかって間延びした女性の声だった。#落ちぬい二次

2018-04-03 11:57:42
竹村京 @kyou_takemura

「北上君ですか?」 『おや? あたしをご存知?』 「私、藤郷ですよ」 北上は兵頭の部下でもかなりの古参であるため、かつて兵頭と交際していた長門ほどではないにしろ海ぼうずの中では比較的よく知られている。#落ちぬい二次

2018-04-03 11:58:18
竹村京 @kyou_takemura

『あー、おひさしぶりだねー』 「いつ戻るか分かりますか、兵頭は?」 『んー、あんまり詳しい事は聞いてないんだけどたぶん明日か明後日には戻ると思うよ』 「そうですか。ではこちらから追いかけます。行先はどちらです」#落ちぬい二次

2018-04-03 11:59:10
竹村京 @kyou_takemura

『ってか、病院の後で藤郷っちの所って言ってたけど、着いてないの?』 「装備庁ですか? いえ、そもそも呼んでいませんが」 『ありゃ、変だね。兵頭っち、サボるならスロ打ちに行くとかラーメン食べに行くとか平気で言うのに』 しばらく藤郷の言葉が途切れる。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:00:22
竹村京 @kyou_takemura

『どしたの? 急ぎの用だった?』 「いえ、大丈夫です。今日はこれで失礼します」 電話を切ると、藤郷は隣に控える三笠に再度電話をかけるよう指示する。兵頭の番号をコールするが、電源が入っていないというメッセージが流れる。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:02:14
竹村京 @kyou_takemura

不穏な空気を感じ、少し考えて、続いてかけた相手は鷲塚だ。 『鷲塚鎮守府、秘書艦です』 「翔鶴君ですね。ギンブチはいますか」 『藤郷さんですか。司令官は別件の対応をしておりまして……あ、はい、少々お待ちください』#落ちぬい二次

2018-04-03 12:04:16
竹村京 @kyou_takemura

数秒の保留の後、電話口に鷲塚が出る。 『お待たせしました』 「やあ、ギンブチ。少し時間を貰うよ」 挨拶は省き、藤郷は話を始めた。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:06:49
竹村京 @kyou_takemura

「用は片目の事です。先程外出中と聞いて携帯にかけてみたんですが、つながりません。外出目的は私に呼び出されたからだそうですが、呼んでいません」 『妙ですね。兵頭が我々の電話を取れない状況というのは考えにくい』#落ちぬい二次

2018-04-03 12:07:41
竹村京 @kyou_takemura

「片目には少し相談をしようとしていたのですが、あちらの方も何か問題に巻き込まれたと考えるべきでしょう」 『兵頭は厄介事を引き寄せる天才ですね』 鷲塚は厄介事の解決を自分たちがせねばならないと理解し、言外の協力要請を受諾する。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:09:43
竹村京 @kyou_takemura

「少し待ってください、モグリも呼びますので。上陸しているなら、ですが」 藤郷は一旦電話を保留し、長瀬の番号をダイヤルさせる。幸いにも上陸して休暇を楽しんでいた長瀬は長門の電話を受けて電話会議に参加した。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:15:38
竹村京 @kyou_takemura

「まず、状況を説明します。私は片目にこちらで起きた問題について相談しようとしていました。昨日の話ですが、装備庁の施設から私が開発した試作品が紛失した事が発覚しました。それについて、片目の個人的な情報網を当てにしていたのです」 『ほう?』#落ちぬい二次

2018-04-03 12:15:55
竹村京 @kyou_takemura

「BAX-4というのですが、ギンブチは知っているでしょう」 『開発中止になった歩兵用動力甲冑、要するにパワードスーツでしたか。型式名は小説か何かから取ったとか』#落ちぬい二次

2018-04-03 12:17:08
竹村京 @kyou_takemura

元は艦娘システムの確立と前後して開発されていた対深海棲艦用歩兵装備である。だが、結局のところ艦娘の方がコストパフォーマンスに優れる、つまり安く大量に調達できて戦力になる、という理由からお蔵入りになった経緯があった。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:18:37
竹村京 @kyou_takemura

「お蔵入りではないのですがね。優先順位と達成すべき目標の変化と言ってもらいたい」 『へーへー。分かりやすく言えって』 小難しい話を嫌う長瀬が話を急かす。 「もともとは艦娘システムと対深海棲艦の主力兵器の座を争う機械化歩兵として開発が始まりました」#落ちぬい二次

2018-04-03 12:20:03
竹村京 @kyou_takemura

艦娘は艤装を介して船魂を人体に定着させるという原理上、基本的には女性しかなれず、適合者は軍人であるとは限らない。艤装への適合率が高くても、まずは基礎的な体力練成や戦闘訓練から始めなければならない。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:23:07
竹村京 @kyou_takemura

その点、男性の軍人を対深海棲艦戦力に組み込む事が出来れば効率よく戦力を拡充できる。そうした利点を持つBAX-4は、艦娘システムや艦艇の強化など様々あった対深海棲艦兵器開発プロジェクトの一つであった。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:23:25
竹村京 @kyou_takemura

駆動系は容易に実現できた。動力となるバッテリーも高性能なリチウムイオン電池を耐衝撃ケースに収める事で解決できた。だが対深海棲艦兵器として致命的な、男性には対深海棲艦で最も重要な船魂が定着しにくいという最大の欠点は残されたままだった。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:27:27
竹村京 @kyou_takemura

その欠点を克服できずにいる内に、艦娘システムの実用化に目処が立ったため、そちらが最優先となり、パワードスーツは優先度が落とされた。 そこで艦娘システムの核である船魂を敢えて搭載せず、機能の全てを機械的に実現するよう方針を転換した。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:28:45
竹村京 @kyou_takemura

「その方針転換によって、このパワードスーツは性格を大きく変え、汎用性が大きく増しました。対深海棲艦兵器としてはスペックダウンですが」 『主に陸上で使う機動歩兵に路線変更された、と』#落ちぬい二次

2018-04-03 12:29:03
竹村京 @kyou_takemura

「その通り。小銃弾にならある程度耐え、密閉式なのでNBC環境下で行動でき、水上ユニットを装備すれば単独での洋上行動も可能。夢の機械化歩兵ですよ」 『ただし、深海棲艦相手だと艦娘ちゃんには及ばないんだろ?』#落ちぬい二次

2018-04-03 12:32:15
竹村京 @kyou_takemura

「ええ。エンチャントフィールド無しでは深海棲艦の砲雷撃には耐えられません。だが人間相手には充分すぎる。あるいは、陸上型に対してもある程度有効かもしれない」 そこで一区切りつける。#落ちぬい二次

2018-04-03 12:32:32
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