押す愛情、引く愛情

子どもの個性によって接し方を変えること。難しいと思っていた子供でも、その子に合わせた接し方をすれば、関係性は変わってくる。
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shinshinohara @ShinShinohara

私がまだ学生で、母が入院していた時のこと。3人兄弟で見舞いし、帰っていった後、隣のベッドの患者さんが母に尋ねたという。「3人のうちでどの子がかわいい?」母は質問の意味が分からなかった。「どの子も可愛いですけど?」「ホラ、我が子といってもいけすかん性格の子とかおるやないの」

2018-04-05 07:10:34
shinshinohara @ShinShinohara

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shinshinohara @ShinShinohara

実のところ、我が子でも、あの子はかわいくてあの子は憎たらしいと、愛情に深浅があるというケースが結構あるようだ。お江の愛情は徳川家光にあまり注がれず、溺愛された弟に家督が移りそうになった話は有名。たとえみんな同じ我が子であっても、かわいいと思える子が偏るケースは少なくないらしい。

2018-04-05 07:18:17
shinshinohara @ShinShinohara

なぜ我が子なのにかわいくないと思ってしまうケースが出てくるのか?どうも、「どう接したらよいのか分からない」という戸惑いが親の側にあるようだ。他の子が素直に言うことを聞いてくれるし、甘えても来るが、その子は言っても聞かず、甘えても来ないので可愛く思えなくなった、ということらしい。

2018-04-05 07:22:21
shinshinohara @ShinShinohara

その子にも愛情を注ごうとしたけれど、想像しなかった反応を示す。泣いたり怒ったりものを投げたり。手がつけられず、どうしてよいかわからず、親の側で諦めてしまったケース。「この子はもう、私の手にはおえない」、そんなとき、親であっても我が子への愛情の糸をプッツリ切ってしまうことがある。

2018-04-05 07:28:08
shinshinohara @ShinShinohara

「どの子にも愛情を注ごう」という言葉がよく聞かれるけど、正直、これでは抽象的すぎて難しい。愛情は親から子への「好き」なのだと思うし、そのメッセージを伝え続けるのはとても大切。でも、親からしても扱いづらい子どももいるのは確か。そんな子も愛するには、もう少し「テクニック」がいる。

2018-04-05 07:31:15
shinshinohara @ShinShinohara

愛情のかたちには「押す愛情」と「引く愛情」の2つがある。どちらの方が適しているかは、子どものタイプによる。「協調型」は前者、「追求型」は後者の方がよい。他者との関係性を重視し、空気もよく読める子は比較的「押す愛情」が必要。しかし自分がこうしたいと思ったことを追求したい子には後者。

2018-04-05 07:42:45
shinshinohara @ShinShinohara

興味を持ったことをとことん追求したい追求型の子は、親の「それはこうした方がいいよ」とか「うまくできないでしょ、お母さんがやったげる」という干渉を嫌う。1時間でもずっとそれをやりたがる。親が愛情を示したのに袖にされて、気分を害する親もいるようだ。

2018-04-05 08:27:14
shinshinohara @ShinShinohara

そういう子には「引く愛情」。その子が熱中しているのなら、危険性がない限りなるべく邪魔しない。こういう子も、ひとしきりやり尽くした感が出ると愛情がほしくなり、寂しがる。そのときまで少し離れたところから見守り、寂しくなったらギュッと抱き締めてやる。

2018-04-05 08:29:26
shinshinohara @ShinShinohara

猫を飼っていた頃、面倒を見ていたのはもっぱら弟。エサもマメにやり、時には自分のおこづかいで大好きな缶詰を買ってきたり、よく撫でたり抱き締めたりしていた。他方、私は非常にそっけなく、エサはめったにやらないしろくに撫でもしない。愛情は明らかに弟の圧勝。なのになぜか猫は私になついた。

2018-04-05 18:11:36
shinshinohara @ShinShinohara

理由はこう。弟は美味しい缶詰を買ってきたらすぐに食べさせてやろうと、寝ている猫をだき抱えてエサを食べさせようとした。撫でてあげたい、抱き締めてやりたいと思ったら、猫の都合はお構いなしに撫で、抱き締めていた。「押す愛情」。そして猫は、基本ゴーイングマイウェイの動物。困ったらしい。

2018-04-05 18:14:24
shinshinohara @ShinShinohara

他方、私は、基本ネコをほったらかし。ただ、腹が減ってエサがほしいと鳴き出したらエサをやり、撫でてほしいと近づいてきたら撫でてやり、抱いてほしいと上ってきたら抱いてやった。ネコから希望を申し出ない限り、放置。するとネコはなついた。ネコは「引く愛情」の方を有り難がるのだ。

2018-04-05 18:16:41
shinshinohara @ShinShinohara

ネコと比べると犬は、飼い主に相手をしてほしくてならない性質が強いらしい。こういう場合、「押す愛情」の方がハートを射止めることができるのかもしれない。それでも程度問題ではあるが。「押す愛情」が度を過ぎると、過干渉になるから。

2018-04-05 18:18:32
shinshinohara @ShinShinohara

「追求型」の子どもは、ネコへの接し方に近い方がよい。基本、子どもから何かしてほしいと訴えてくるまでは放っておく(ただし見守ることが大事。背を向けるのではない)。そして子どもが寂しくなったり相手をして欲しがったら、全身全霊で相手をしてやる。すると子どもはとても嬉しそうに笑う。

2018-04-05 18:20:52
shinshinohara @ShinShinohara

私の祖父は、父が生まれる前に出征。インパール作戦で生き残り、帰還したときには父はもう2、3才。ある日から突然「知らないおじさん」が毎日家に居座った状態。父は常に母親の背に隠れ、祖父になつこうとしなかったという。祖父はそのため、父を可愛いと思えなかったようだ。

2018-04-05 18:24:31
shinshinohara @ShinShinohara

父からすれば「大人なんだから、こっちは2、3才の幼児でどうしようもなかったんだから、親しみが持てるよう工夫してほしかったし、親しめるまで諦めてほしくなかった」そうだ。帰還後に生まれた子どもに愛情が注がれ、父にとって祖父は親しみをとうとう持てない存在になってしまった。

2018-04-05 18:27:18
shinshinohara @ShinShinohara

知らないおじさん状態となった祖父は、父に対しどう振る舞えばよかったのだろう?ムリに近づこう、親しもうとしても、知らない男性に幼児が警戒するのは当たり前。ではどうしたらよいのか。 待つ。辛抱強く待つ。ムリに近づこうとしないけど、声をかけ続ける。そうするうち、必ずチャンスが訪れる。

2018-04-05 18:30:06
shinshinohara @ShinShinohara

子どもの方から声をかけてみよう、という時が来る。その時を待ち構えて、もしその時が来たら他のことは忘れて、子どもに意識をすべて振り向ける。それですぐに親しくなるわけではないけれど、氷が少しずつ溶けていく。

2018-04-05 18:31:54
shinshinohara @ShinShinohara

二人だけで焚き火をしたり、二人だけで買い物に行き、子どもの好きなお菓子を買い与えて「お母さんには内緒だぞ」と、二人だけの秘密を持ったり。「二人だけの時間」を経験すると、子どもはそれを大切な思い出とし、急速に距離を縮める。子どもから縮めてくるのだ。

2018-04-05 18:33:52
shinshinohara @ShinShinohara

大人は、親しくなるための仕掛け、実験をいろいろやってみる。しかし自分から心理的に近づこうとはせず、子どもから心理的距離を縮めるのを待つ。「引く愛情」だ。すると、子どもは、ムリに干渉しようとせず、しかし自分に常に親しみを見せてくれる大人に親近感を覚える。難しい子でも。

2018-04-05 18:35:57
shinshinohara @ShinShinohara

「難しい子」と感じたら、「引く愛情」を試そう。声もかけるし誘いもするし、同じ空間で時間も過ごすが、無理な干渉はしない。でも子どもの側から何かを求めてきたら、それに喜んで応ずる。そうすれば、難しく思えた子どもでも心を開くようになる。

2018-04-05 18:38:15
shinshinohara @ShinShinohara

どう接すればよいのか分からないから可愛く思えなくなってしまう。でも、「この子はこういう接し方をすればよいのか」ということさえ分かれば、戸惑うこともない。子どもも好意を寄せるから、可愛くなってくる。

2018-04-05 18:39:51
shinshinohara @ShinShinohara

もし我が子のうち、可愛く思えないと感じる子がいたら、それはテクニカルな問題(どう接したら分からない)だと考えた方がよい。「押す愛情」ではなく、子どもの自主性を尊重した「引く愛情」を試してみよう。子どもの個性に合わせて接すれば、あなたはどの子も我が子として可愛く思えるはずだ。

2018-04-05 18:41:48