140ssログ2月、3月

石かり、薬宗、髭膝ログ
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やまたに @mw_snc

鶏と卵はどちらが先か。髭切は何度目かの歴史で会った義経一行を眺める。兄上、兄上。囀るその腰には太刀が一振り。兄者、どうした。呼ぶ弟の頬をするりと撫でた。主に感化されたのか、逆にこの子が影響したのか。真実は泥の中に眠るけれど。好きだよ、膝丸。かの君が弟を殺そうとも僕は。(髭膝)

2018-02-15 18:26:01
やまたに @mw_snc

爪を切る。その後をヤスリで丁寧に丸めていく。どうせ、手袋に隠れてしまうのに。髭切が呟くと、弟の頬が赤くなる。兄者の。うん。兄者の、お背中を傷つけないように、と。可哀想なくらい辿々しい声音が可愛くて、髭切は自分の手を弟へと向けた。僕にもやって、お前のことを傷つけないように。(髭膝)

2018-02-17 07:02:44
やまたに @mw_snc

おや、と三日月が笑った。色男だな。石切丸は風呂への用意の手を止めて、彼を見る。なにがだい。問えば、肩を指先がなぞって。まさか虎の子の歯形とは言うまいよ。ああ、と思い出す。そういえば、昨晩噛まれたのだった。虎より猫より可愛い子にね。そう返すと、影にいた大脇差が横腹を打った。(石かり)

2018-02-17 07:28:02
やまたに @mw_snc

点々と散らした赤い花に、薬研は満足げに口の端を上げた。首筋、肩、胸は除いて、腰に太腿。俺のだ、という主張を宗三は拒まない。むしろ、もっとと手を伸ばして。一日だけの遠征だろうに。甘くからかうと、拗ねた顔が。普段、四六時中どなたかが張り付いているもので。そう愛らしい文句を紡ぐ。(薬宗)

2018-02-17 07:43:24
やまたに @mw_snc

さらさらと緑の髪を掬って遊ぶ。楽しいかい、と問われて、石切丸は頷く。美人を眺めているからね。そう口説かれて、青江はその胸に頭をぐりぐりと埋めた。楽しいかい。笑いながらの言葉に、その瞳を見上げて。ああ、触れてるのは好いた相手だからね。虚を突かれた顔に、青江はにやりと笑った。(石かり)

2018-02-17 18:22:28
やまたに @mw_snc

金の瞳は蜂蜜みたいにとろけて、薄い唇は桃色で、覗く牙は愛嬌があって、鼻筋が美人で、それから。挙げられる言葉に、膝丸は擽ったそうに身を捩った。同じ顔だぞ、兄者。つれないことを言うから。僕の顔は格好よくないかい。世界一凛々しいな。ほら、そういうことだよ。僕の目にはお前が一番。(髭膝)

2018-02-17 18:26:29
やまたに @mw_snc

宗三みたいだ、と花を誉める。宗三に似合う、と生地を誉める。君の基準はわかりやすい、と呆れる歌仙に薬研は笑って。恋ってのは一途で盲目で、他人から見りゃ狂ってるようなもんさ。わかるだろう、と言われれば歌仙に言うことはない。本丸に庭師がいなくてなによりだ。そう零すことだけで。(薬宗)

2018-02-17 18:30:26
やまたに @mw_snc

梅とて飛ぶのに兄者は来てくださらぬ。月を天地に揃えても俺の片身は揃わぬのだ。そう思い出を語る弟を、髭切は抱き締める。ただ拗ねて詰ったふりをして、構われたいだけの弟を。花も月も今は共に見れるだろう。そう囁くのもいいけれど。お前がいれば、花も月も霞んでしまうよ。そちらが本音だ。(髭膝)

2018-02-17 18:42:01
やまたに @mw_snc

薄い唇を割って、鋭い牙をなぞって、長い舌を吸って。それだけで、はふ、と甘い吐息を弟は漏らす。気持ちいいの。尋ねると、こくこくと頷いて、もう一回。たまにこの弟は、哀れな生き餌にも、無垢な稚児にも見えるなぁ、と髭切はその肌へ触れていく。己がために誂えたようなその体へ。(髭膝)

2018-02-18 07:26:31
やまたに @mw_snc

切られた野菜は不格好だ。馬に髪の毛を引っ張られる。揃って似ていることに気付いて、薬研と和泉守はにかっと笑った。俺っちの方が畳むのは早いな。なんの俺のが丁寧だ。そうしていると長さの違う影が降りて。迎えが来るところまで似てるなぁと桃色の袈裟が揺れるのに和泉守は思った。(薬宗+兼さん)

2018-02-21 07:03:34
やまたに @mw_snc

可愛くない。夜戦明けの己の顔に清光が言えば、隊長殿はいつだって可愛いぜ、と短刀が応える。その慰めの心だけは丁重に受け取ることにして、はいはいと聞き流した。なんだ、信用ならねぇか。拗ねる鼻を、軽く摘まんで。宗三と俺、どっちが可愛いと思う。宗三。ほら、そういうところだよ。(薬宗+清光)

2018-02-21 07:11:53
やまたに @mw_snc

布を洗えと指令が下る。今日の敵は厄介だ、と山姥切は茂みに隠れた。足が早いわけでも大人数でもない。ただ。宗三、足元怪我しないように気を付けろよ。わかってますよ、薬研。綺麗な足に傷作ったら、たっぷり薬を塗ってやるけどな。 ああ辛い、と山姥切は解放されたい衝動を堪えた。(薬宗+山姥切)

2018-02-21 07:18:17
やまたに @mw_snc

ほら、と薬研に渡されたのは雪だるまだ。宗三はそれを窓辺に飾る。すぐに溶け始めたことを厭えば、彼は溶かせと言うのだから。その最期を待って、待って。出てきた玩具の指輪に笑って薬指を通す。ぶかぶかのそれを身につけて会いに行くと、彼は今度は揃いの結婚指輪をくれるのだ。(薬宗)

2018-02-21 07:28:26
やまたに @mw_snc

喧嘩はいけません。ゆっくりとした口調で責められ、石切丸は頬を掻く。喧嘩といっても、ただの痴話喧嘩だ。あとで謝るよ。流石に彼に原因まで伝える気もなくそう返せば、江雪は微笑み袈裟を開いて。そこに見えた大脇差に、目を見開く。仲直りは出来そうですね。こくり、と彼は頷いた。(石かり+江雪)

2018-02-21 11:33:23
やまたに @mw_snc

その白いのを君だけのお口に入れるのかい。と、面倒な絡み方をしてくるものだから、長谷部は小さな皿に茹で上がったものを乗せて押し付けた。と、どこからか大太刀が沸いてきて。何を食べてるんだい。白いアレかなぁ。浮気はやめておくれ。おい、遊ぶな、俺の昼食のうどんだ。(石かり+長谷部)

2018-02-21 13:49:51
やまたに @mw_snc

猫の子二匹だなぁ。石切丸は眠る二振りに毛布を広げる。と、脇差が先に目を開いて。大倶利伽羅だけにかけてあげてよ。そう起き上がる。毛布まで慣れ合ったら倒れちゃいそうだ。悪戯っぽく笑うものだから、要望どおりに毛布を置いて。では、私と慣れ合ってくれるかな。手を差し出した。(石かり+伽羅)

2018-02-21 13:56:05
やまたに @mw_snc

相談が、と隠れたのは秘密の話で。同派とはいえ育ちの違う太刀に何を贈ろうかと思って。ならば仲のいい山伏に聞くのはどうか。そう考えるのは自然の流れではないだろうか。青江の弁解に、石切丸は溜息を吐いた。山伏殿、障子のお詫びは後日でいいかな。笑ってくれたのが救いだろうか。(石かり+山伏)

2018-02-21 14:26:52
やまたに @mw_snc

京より西の方言は知らないけれど、と髭切が言う。たまに語尾がにゃあってなるのが可愛いよね。微笑ましいと目を細めるものだから、膝丸は土佐弁の主をじっと眺めた。それから、兄を見つめ直す。そして。にゃあ。これで、どうだ。自信たっぷりに笑う可愛い可愛い弟を、髭切は抱きしめた。(髭膝+陸奥)

2018-02-21 15:05:39
やまたに @mw_snc

初期刀殿。髭切は黒い尻尾をつんと引く。弟はどこかなぁ。どこかねー。返る言葉は冷たい。弟に会いたいよ。そーお。君が隠してるの。教えなーい。不毛な会話は中断させて。で、誰を探してるって。そう言う彼は意地悪だ。障子の向こうに影が見えるのに。膝丸。呼ばないと開けてくれない。(髭膝+清光)

2018-02-21 15:15:46
やまたに @mw_snc

金色が揺れる。珍しい、と髭切は声をかけた。今日は布はないのかい。そうして、取られた、と言われれば哀れにもなるもので。貸してあげよう。上着を脱げば、礼を言うから見送った。さて、拗ねた弟のご機嫌を取り返さないと。別に貸した程度で。うんうん、上着じゃなくて僕がいるもんね。(髭膝+山姥切)

2018-02-21 17:56:16
やまたに @mw_snc

夢を見る、というと薬研はとたんに顔をしかめる。大丈夫か、と心配ばかりを口にして。それはありがたいけれど、同時にそればかりに縛られていると思われるのも嫌だ。あなたはここにいるのに。だから、宗三はぴんとその額を指で弾いた。あなたと花を見に行く夢だったんですが、嫌ですかね。(薬宗)

2018-02-25 18:07:47
やまたに @mw_snc

兄者がな。と語るので、鶯丸はうんうんと聞いた。大包平が。語れば、そうかそうかと膝丸が頷く。穏やかな陽気だ。髭切と大包平は、手合わせ中だ。兄者は、と語る。大包平は、と言おうとして、やめた。その視線は、甘い熱を孕んでいるから、見ているこちらが面映ゆい。助けろ、大包平。(髭膝+鶯)

2018-02-21 18:08:43
やまたに @mw_snc

鳴狐は、と彼は語る。鳴狐は、薬研の好きにしたらいいと思うよ。よしよしと頭を撫でられて、薬研は照れ臭そうに目を細めた。こと、長兄は恋路の話題には反対らしいから。俺、宗三のところへ行ってくる。好きだって言ってくる。頑張れ、と頷いて。キツネはなにも語らない。是も否もなにも。(薬宗+鳴狐)

2018-02-22 06:57:01
やまたに @mw_snc

油揚を一枚。よだれを垂らすキツネの前に、一枚。宗三、なにしてるの。鳴狐の小さな声に、買収です、と答えが。僕と薬研の仲に、一期は否定的なので。うん。あなたは認めてくださるでしょう。ね、と油揚がまた一枚。そんなことしなくても、大丈夫。全部返すと、キツネが悲しそうに鳴いた。(薬宗+鳴狐)

2018-02-26 10:59:14
やまたに @mw_snc

歌仙。手招きで呼ばれて、珍しいものだと彼は宗三へ近寄る。どうかしたのかい。恋の歌を、詠みたいのですが。意外で雅な申し出に喜んで、と頷いた。雅がわからなくても意味のわかる歌は、どうすればいいでしょう。その言葉に、ああ、と嘆いた。ああいう戦場育ちには、歌より直球がいいよ、(薬宗+歌仙)

2018-02-26 11:14:44
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