ドラム動画”DAWN."音源のマスタリングについてby宇都宮泰さん

今回の演奏動画はエンジニアの宇都宮泰さん@utsunomiaa_comにマスタリングをお願いしたのですが、それを受けて宇都宮さんが考慮されたことをツイートに残して下さいました。自分への記録用はもちろん、音源制作に興味のある方へのシェア用に。 マスタリングだけを誰かにお願いするというのは初の試みでしたが、「聴くこと」に関して本当に勉強になりました。ありがとうございました!
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宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41BFh 先日のドラムス・コンテストのエントリ作品のマスタリング解説。 録音やまとめ方の難しいパートのひとつがドラムスなのですが、マスタリングで何ができるか・・。コンテストへのエントリーなので、その演奏がつぶさに音として現れていなければいけないし。 youtube.com/watch?v=DiR4i1…

2018-04-14 15:55:28
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宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C0h 演奏のスタイルについて、動画を見ると一見パワフルなロックドラムに見えるのですが・・みかけに騙されてはいけない。 パワフルでワイルドに見えるのですが、実際の音の繊細さはむしろジャズドラムのスタイルで、ひとつひとつの打撃が細かく強さ調整され、それに伴って強弱の幅も非常に大きい。

2018-04-14 15:56:04
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C1h つまり、ロックスタイルのほかのパートとそのままバランス調整すると、弱い打音は他パートに埋没する可能性が高く、逆に弱い打音が聴こえるようにバランスさせるとフォルテ部分が過剰に。

2018-04-14 15:56:43
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C2h これに対応するためのマスタリングなのですが最終的な調整として、ドラムスとそれ以外のパートのバランスが再調整する必要があることから、独立したトラックとしてミックス作成し、入稿いただきました。

2018-04-14 15:57:15
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C3h 私が通常行っている私提唱のRCマスタリングでは、2MIXから必要パートを分離・処理し、再び元の2MIXに戻すのですが、今回は時間の節約と音劣化を最小にする目的で、ドラムスとそれ以外を分けて入稿願いました

2018-04-14 15:57:51
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C4h 旧来のロックテイストな仕上げを目指す場合、ひとつの方法はコンプレッサーやリミッタなどの、ダイナミクスを圧縮する機能を使い強制的に「粒を揃える」というやり方なのですが、迫力は得られるもののこのドラムス演奏が持つ細かなニュアンスとかが受け取りにくくなるかも。

2018-04-14 15:58:19
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C5h またそのスタイルのマスタリングは既に昨年のコンテストのマスタリングで使われているし・・。まあ、楽曲のスタイル次第なのだとも思う。 第16回誌上ドラム・コンテスト応募作品 youtube.com/watch?v=iCYyuo…

2018-04-14 15:58:49
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宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C6h しかし、これほどまでに圧縮していてもピアノ表現(弱音)の部分、よく聴こえないところがある・・。

2018-04-14 15:59:32
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C7h で、今回は、ドラムスとそれ以外のパートの音の分解能を個別に調整し、ドラムスには聴覚の持つ飽和を考慮した、クリッピング(故意のオーバーレベルで、太古からしばしば用いられる)が、アクセント部分でときどき発生するように調整。 この故意のクリッピング作業は、細心のヒアリングジャッジ

2018-04-14 16:00:14
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C8h この操作の後にドラムスとそれ以外のパートを合体し、バランス調整。 このバランス調整もコンテストであることから、ドラムスがピアノ表現までよく聞こえること、ピークが過剰にならないことに留意しながら、うまくいかない場合はドラムス・クリッピングの作業まで戻り作業。

2018-04-14 16:00:43
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41C9h この作業はコンプレッサーやリミッタによるリスク(特定の音楽スタイルに陥るという意味)を避けるためとも。

2018-04-14 16:01:10
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41CAh マスタリングの作業のひとつに、どれくらいの記録レベルにするのかという部分があるが、このようにして作成したそのままのレベル(正規化レベル)のものと、やや過剰な(+6dB程度)詰め込みしたものの両方を送り、判断していただいたところ、⇒

2018-04-14 16:02:09
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41CAbh そのままのレベル(過剰に詰め込まない方)が選んでもらえ、それを元に動画が作成。

2018-04-14 16:02:31
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41CBh 動画にオーサリングする際にMP3同等の圧縮エンコードされるが、これに対応するために、音品位の劣化につながる15KHz以上の成分も切り落としておく必要があるが、それも含めた上で、先のバランス調整や音分解能調整を実施したほうがよい。

2018-04-14 16:03:05
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41CCh 今回は128Kbps以上で劣化しにくいことを確認。(実際に動画は320Kbpsで音声エンコードされた)

2018-04-14 16:03:36
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41CDh 今回の私の手法、先のコンプレッサやリミッタと比較して、多少の手間とソースを聞き込む必要があるが、必ずしもコンプやリミッタよりも好結果となるか、、どうかは、演奏やリスナーニーズ次第。

2018-04-14 16:04:08
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

41CEh 波形(ダイナミクス)はこんな感じ。 上から、ギターやベースなどのドラムス以外のパート、 中、ドラムス。音作りとして故意にクリッピングさせた部分が赤く表示。 下、完成品。いっぱいいっぱいに見えるが、これで平均的ポップスから見ると相当な低レベル。 pic.twitter.com/i9qqkv4SZ6

2018-04-14 16:31:26
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コメント

Shun Fukuzawa @yukichi 2018年4月14日
昔からマッドサイエンティストの異名を取る方ですね
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宇都宮泰 @utsunomiaa_com 2018年4月18日
書き落としたバランス上の重要なポイントのひとつ。 コンテスト向けなので、主体のドラムは通常よりもやや立ったバランスにする打ち合わせでしたが、例外的に2分6秒から2分33秒までは音楽としてほぼジャストなバランスになるよう仕組んだ。 その部分以外はドラムが主体ではあるが、他パートもマスクされずに聴こえることが条件。この実現のために分解能の調整(向上方向の)が必要なわけです。
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宇都宮泰 @utsunomiaa_com 2018年5月1日
予選通過、おめでとうございます!
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宇都宮泰 @utsunomiaa_com 2018年5月3日
もちろんここで解説した処理は主要なステップのみ。解説では触れていない細かな処理がたくさんあります。たとえば最後の41CEhのギターベースとクリップしたドラムスをミックスしたときに、元のドラムスのクリップと新たに発生したクリップがありますが、一旦、固定小数点ファイルで出力し、⇒読み込み⇒-0.3dB処理するなど。
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宇都宮泰 @utsunomiaa_com 2018年5月3日
控えめレベルとか言いつつ、他の予選通過作23本と比べても、ずいぶん高い音量感。市販のCDや一般的なレベル詰め込みが如何に高レベルなことか・・。
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宇都宮泰 @utsunomiaa_com 2018年5月4日
審査ルールもう一度読んでみたら・・・投票での予選選出は上位10名、予選選出は審査採点によるものと合わせて25名・・という意味では。実際に得票数50未満の予選通過者は9名。 投票はコンテストを盛り上げるための要素に過ぎないようにも思えるが、、。
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宇都宮泰 @utsunomiaa_com 2018年5月5日
何か特別なソフトとか使っていると思われるかもしれませんが、ほとんどの処理はフリーソフトとして有名なAudacityのみ。動作環境はWindows7、オンボード・オーディオデバイス。一部実機のエフェクタSE-70とR-880を使用。
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