2018年4月16日

木山「RCT至上主義とその問題:E・デュフロと開発経済学の潮流について」論文についてアレコレ

批判対象が特定できたので、タイトルを変えました。
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木山幸輔Kosuke KIYAMA @kosukedesu

拙稿「RCT至上主義とその問題:E・デュフロと開発経済学の潮流について」が掲載された『同志社グローバル・スタディーズ』第8号が公刊されました。拙いものですがご関心の向きはご笑覧ください。 global-studies.doshisha.ac.jp/attach/page/GL…

2018-03-22 23:40:06
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

木下さんの「RCT至上主義」批判論文読んでランダムに思ったこと。外部性(他者への損害)がある時には介入は正当化されるけど内部化(自分への損害)がある時は介入の正当化がしにくい、という話の後で後者の例として時間的不整合な意思決定者への介入実験の話をもってくるのはおさまりが悪いと思う。

2018-04-16 16:15:43
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

すみません、これ名前間違えています。木山さんです。ダブルチェックしたはずなんですが間違えました…。

2018-04-16 23:55:56
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

まず、時間的不整合でありかつ本人がそれに気づいていない場合、「今日の私」と「明日の私」の最適な行動がずれて「今日の私」が「明日の私」に損害を与えてしまってるわけで、生物学的個人を特別視しない限り外部性の存在下での介入と同じ理屈である種の介入が正当化されると思う。

2018-04-16 16:20:03
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

時間的に不整合でかつそのことに本人が気付いている時は、コミットメントデバイスを提供してあげて本人にそれを使うかどうか選ばせる、という介入は、あくまでその本人の(事前の)「善の構想」に従って結果が生じるだけなので、「個々人の多様な善の構想」を尊重するという立場からも正当化できる。

2018-04-16 16:22:49
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

「個々人の多様な善の構想にまかせるべき」とはまさしく経済学が得意としてきた発想で、それに対してデュフロがそれだけではうまくいかないケースとして時間的不整合の話をもってきたところに改めて「個々人の多様な善の構想にまかせるべき」とだけ繰り返しても建設的な応答にはなっていない。

2018-04-16 16:34:19
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

デュフロのケニア肥料実験では「個々人は既に肥料購入行動を最適化しているのだから補助金は無駄」と言って補助金を引き上げてしまった結果として飢饉が発生してしまった反省から改めて「なぜ人々は適切だと思われる量の肥料を購入しないのか?」「時間的不整合か?」と問うている。

2018-04-16 16:36:29
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

その問に対してデュフロは理論と実験によって建設的に回答しているのだから、そこに改めて「個々の善の構想にまかせるべき」というのであれば、ここの論文でのデュフロの議論に具体的に回答しなければならないと思う。pubs.aeaweb.org/doi/pdfplus/10…

2018-04-16 16:38:00
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

「外部性があるときは介入OK、内部化されているときはだめ」という話をしたいのであればここで時間的不整合の話をもってくるのはおさまりが悪いし、時間的不整合の話をしたいのであれば「外部性があるときは介入OK、内部化されているときはだめ」というナイーブなフレームだけでは無理という話です。

2018-04-16 16:44:38
J.YAMASAKI @J_YAMASAKI

rct至上主義というゾワっとするワードを見たのでざっと読んだけど、少なくとも2つ?と思ったのは川口さんの指摘してる時間不整合に関する部分と、rct論文の個々の問題とrctで介入をすること特有の問題が混ざっていることかな。

2018-04-16 16:52:04
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

この節の結論は「デュフロは『個々人の多様な善の構想』の外側にあるなんらかの価値にコミットしている」で、その結論を導くためのアーギュメントの一つが先の「外部性あり/なし」の議論と時間的不整合な個人への介入実験に関する議論なのだがこのアーギュメントは先の話から通ってないように思う。

2018-04-16 22:02:48
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

もう一つのアーギュメントは「RCTにおいて特定の指標をアウトカムとすること自体が個々人の多様な善の構想の外側にある価値へのコミットメントとなっている」というものなのだが、これもぼくは以下の理由で通ってないと思う。

2018-04-16 22:03:20
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

まず、1)特定の指標Yを改善することを目的としてその指標Yを改善する施策Tをとること、と、2)ある施策Tが特定の指標Yを改善するか試すこと、の2つを区別したい。前者は多椀バンディット問題でいうexploitation、後者はexploraionモチーフである。

2018-04-16 22:05:32
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

1)のような介入は特定の価値にコミットしていると言える。しかし2)はどうだろうか?実験・効果検証による最適腕識別→拡大適用というワークフローにおける実験・効果検証ステージの目的は「特定の施策にまつわる不確実性を減らすこと」であって、直接の治験対象の厚生改善ではない。

2018-04-16 22:08:06
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

ここでの問題は「実験による治験対象の不利益」と「実験により『施策Tの効果が不明な世界』ではなく『その効果がより明確な世界』を次に続く意志決定者に受け渡すことの利益」の比較衡量である。そのため治験者に不利益をもたらさないような取扱と探索の価値を最大化する実験デザインが求められる。

2018-04-16 22:09:42
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

ここでは次に続く意思決定者に対し彼(女)の善の構想を上書きするような価値を押しつけてはいない。その意思決定者は政策決定者であるかもしれないし、当事者であるかもしれないが、いずれにせよ介入実験は後続の意思決定者の信念にだけ影響を与えて、その行為は制約しないからである。

2018-04-16 22:11:29
Kohei Kawaguchi-Sunada @mixingale

というわけで「RCTにおいて特定の指標をアウトカムとすること自体が個々人の多様な善の構想の外側にある価値へのコミットメントとなっている」というアーギュメントも、介入におけるexploitation/explorationの区別を混同したものであって、通っていないように思える。

2018-04-16 22:16:58

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