フォビドゥンフォレスト6話「フォビドゥンフレイム」#10 「焦熱する痛み⑤」

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セクション番号に誤りがありました。正しくは今回が6話の9番目になります「フォビドゥンフォレスト6話「フォビドゥンフレイム」#9 「焦熱する痛み④」」 togetter.com/li/1216499

2018-04-09 01:39:58
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2-9:「強敵」 フォビドゥンフォレスト/ヴォイド - カクヨム kakuyomu.jp/works/11773540… (前回までのあらすじ:混迷する事態を打開すべく北辰を続けていた片桐たちの前に、A級妖怪のコモリバケグモが現れた。子グモを武器として使う難敵。無視して通ることは可能だが……)

2018-04-12 02:08:54
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フォビドゥンフォレスト6話「フォビドゥンフレイム」 #10 「焦熱する痛み⑤」

2018-04-16 21:30:09
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(前回までのあらすじ:幼い片桐は、瑠梨の父勇隆から瑠梨と鳥姫の巫女の事情を聞かされる。瑠梨は歴代の巫女の中でも特に若くして資格を継承し、また役目を代われる者もいないのだと知る。その日から片桐は瑠梨を守るべく修行をし、中学の頃に僚勇会の入隊水準に達したのだが……)

2018-04-16 21:32:53
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魔術の能力検査が水準に満たない場合、十八歳未満は隊員になれない。落胆する片切を勇隆は励ました。 「風科では一般人の家から魔術適性を持った者……覚醒者と言うんだが、そういった人が目覚めることが多いんだ。体を鍛えていれば、若干だが目覚めやすくなると言われている」

2018-04-16 21:33:29
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「本当、なんすか?」 「ああ。それに力が目覚めなくても、鍛えた体は無駄にはならないさ。瑠梨は定年の三十歳まで巫女をしたいと言っている。入隊が十八になっても遅くはないさ」 「……はい!俺……やります!」 少年は力強く返事をした。

2018-04-16 21:33:46
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子供を誤魔化そうと適当を言っている訳ではないように見えたし、後にそれは本当だと知ることになる。ただし鍛えて上がる覚醒の確率は微々たるもので、実際は後者が本命だったのだが、結果的に片桐は中学の頃に魔術適正が入隊水準に上がった。

2018-04-16 21:34:10
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日々体を鍛え、桐葉やその兄などの隊員に稽古を受けて技を磨き、密かに魔術知識を習うなどした成果だった。入隊後は、虫との会話能力の応用で妖怪図鑑の整理を行ったり、戦闘でも並列思考を活かしたサポートで成果を上げたのだが……結局は、瑠梨を守れてはいない。片桐はそう感じていた。

2018-04-16 21:34:30
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(結局、あの頃から何も変わっちゃいねぇんだ……) 外気よりもなお冷たいものに身を刺されながら、片桐は帰路についた。薄雪を踏みしめる足取りは重い。その数十メートルの背後、社殿の物陰や樹の上には複数の人の気配を感じる。片桐の様子を気にしているようだが、気にせずに進む。 1

2018-04-16 21:47:34
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彼らは巫女を護衛する特務隊・鳥姫中隊の面々だ。主に各大隊の精鋭が交代で担当する。 片桐も広義にはその一人だ。登下校を共にしたり、朝起こしに来るのは護衛を兼ねている。通常なら境内にまで常駐はしないのだが、瑠梨が神降ろしの反動で伏せっている間の特別体制だ。 2

2018-04-16 21:51:34
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今日のメンツが誰かは当事者と上の者しか把握しておらず、同じ中隊の片桐にも分からないが、自分に声を掛けずにいてくれたことを心中で感謝した。階段を降りていく間も両脇の林に別の気配を感じたが、彼らも話しかけては来ない。 ……それはいいが、階段の下へ人の気配が近付いてくる。 3

2018-04-16 22:01:31
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中隊の面々も訝しんでいる様子だ。こんな時間に神社にやってくるのは片桐くらいだからだ。 まさか敵組織の刺客か?片桐は隠し持った剣に手を伸ばす。真正面から馬鹿正直に向かってくるのは奇妙なようだが、おかしくはない。階段以外から無理に侵入を試みれば、強力な結界で阻まれるのだ。 4

2018-04-16 22:07:53
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位置によってはトラップにも引っ掛かることになる。一般人が迷い込むことを想定して致死性のトラップは殆どないが、足止めを受けている間に、横合いから警備の者に攻撃されることになる。このような山中の寺社でよく見られる魔術防衛体制だ。結果的に正面突破が一番楽ではある。 5

2018-04-16 22:17:45
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片桐は林の中の隊員たちを後ろ手で制し、警戒しつつ降りていった。道路まで降りると人が走る音が聞こえてくる。薄い霜をリズミカルに踏む音が二人分。やがて姿が見えてきた。 ……恵里だった。 「あっ!ハル!おはよう!偶然ねっ!」 大げさなくらいに声を出してブンブンと手を降ってきた。 6

2018-04-16 22:24:57
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「お前かよ、恵里……とアンタは……」 数歩遅れて金髪の少女もやってきた。直接会ってはいないが、心当たりはある。ウォーロックの調査を依頼したハンターの少女だろう。確か名前は……。 「あら、おはよう。貴方が片桐春夏くんね。私はリリア・リース。宜しくね」 7

2018-04-16 22:43:28
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「あ、ああ。宜しく。リース」 日本人と遜色ない流暢な発音と、聞いていた以上に整った容姿に面食らいながらも何とか挨拶を返す。 「リリアで良いわよ、春夏くん」 「……俺は片桐で頼む」 「名字の方がいいの?名字で呼ぶのが嫌ならまだ分かるけど」 リリアは不思議そうに首を傾げた。 8

2018-04-16 23:03:48
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「……何でだ?」 片桐は鋭い眼差しで異国の少女を睨めつける。リリアは剣呑な雰囲気に気付きながらもそのまま言葉を続けた。 「だって貴方のおに……」 言葉の途中でリリアは大きく仰け反った。頭のあった場所を剣が通り過ぎていく。半秒遅れれば首が飛んでいただろう。恵里の剣だ。 9

2018-04-16 23:18:45
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呆気に取られる片桐に対して、斬られかけた当のリリアは至って平然としている。 「ちょっと!リリア!」 「どうしたの?」 恵里はリリアの体を引き寄せ、必死の形相で何事か耳打ちする。リリアは自分を斬りつけてきた女に大人しく従う。むしろしっかりと、いや必要以上に体を寄せている。 10

2018-04-16 23:37:20
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(リリア、さっき言い忘れたけどそれ禁句だから!殺されて犯されるわよ!」 恵里はリリアの両肩を掴んで揺さぶる。 「殺してからなの?悪趣味ね……とにかく分かったわ」 「声が大きい!!」 「デケェのはお前だよ」 片桐が恵里の頭にストンと手刀を振り下ろした。 「あうっ」 11

2018-04-16 23:46:42
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「それに、何いきなり人様を斬りつけやがるんだ?そんな奴に育てた覚えはねぇぞ!」 「育てられた覚えないんだけど……」 「口答えすんな!謝れ!」 片桐が頭を下げさせるべく、恵里の頭に手を伸ばしたところで、リリアが手を挙げてそれを止める。 「待って!違うのよ」 12

2018-04-16 23:59:49
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「違う?」 「私たちね、ここまでジョギングしながら軽く攻撃し合ってたの」 「え?……こっちも狂ってた?」 「え~。酷いわ」 「酷いわよねぇ」 ねー、と二人は顔を見合わせ、片桐に非難がましい目線を送る。あまりに理不尽だった。 13

2018-04-17 00:22:04
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詳しく事情聴取をしてみると、ここに来るまでの数キロメートルのジョギングの間、剣や打撃にリリアが使うという糸の攻撃で互いに不意打ちをし合いながら走ってきたのだという。一応周囲の公共物や自然を破壊しないように加減する良識は有ったようだが、何とも物騒な話である。 14

2018-04-17 00:32:33
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「金髪の恵里だ……」 「いやね、私染めないわよ」 「そういうこっちゃねぇよ……!」 恵里と戦闘や訓練の方面で、こうも気の合う人間がいるとは思わなかった。強いて言えば桐葉が近いが、彼女にはもう少し良識がある。誤爆しない自信があっても、訓練施設以外で人に真剣は向けないだろう。多分。15

2018-04-17 00:42:15