日向倶楽部世界旅行編第43話「日常、そして変化」

野分達がひと騒動あったころ、ヒューガリアンは穏やかな海をブルネイに向けて進んでいた。そんな穏やかな日常に、変化は突然現れる。
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三隈グループ @Mikuma_company

「ブルネイ、どんなところなんだろう…」 「将棋やチェスはご存知ですか?」 「チェックメイト」 「実は双子だったり?」 「何か、来るの…」 「深海棲艦にやられてちゃ、大会も勝てないでしょうしね」 「今あいつらを倒したら、すごく気持ち良い気がするわ」 日向倶楽部、この後21:00! pic.twitter.com/748PVulqzG

2018-04-17 20:45:53
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【前回の日向倶楽部】 扶桑です。 セイジンガーAは良いまんがでした…主人公の鎧乙女さんは、自身が機界帝国の姫であると知り、帝国の玉座に着く道を示されながらも、思い出のある大地を守る為にセイジンガーに乗り、セイジンガーもそれに応えて戦うのです。 最後、崩壊する機界帝国城から乙女さんを逃

2018-04-17 21:00:38
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【前回の日向倶楽部その2】 怪物退治に向かった野分達だが、成果はなく村へと戻る。 だが村の様子がおかしい、警戒しつつ村へ向かった彼等を待ち受けていたのは、悪魔のような恐るべき兄妹だった! 命からがらこれから逃げ出す野分達、彼等の目的とは何なのか?だが今は、逃げるしかなかった…

2018-04-17 21:01:42
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第43話「日常、そして変化」

2018-04-17 21:02:37
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〜〜 あの夜、村から逃げ出した私達は、追手を警戒しつつ無事タウイタウイ泊地へと辿り着いた。 「いただきます!」 泊地内の銭湯から出た私達は、食堂で朝兼昼を食べる。 私は海鮮丼、長門さんはクラブハウスサンド、ローズハルトさんは天ざる、皆で今食べたいものを食べた。

2018-04-17 21:04:35
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「しかし奴等は何だったんだろうな…」 「分からないが、間違いなく悪だ…奴等からは、命を命とも思わない邪悪さを感じた」 「ああ、何か組織的な動きをしてたみたいだが…許せねえな、アレは」 ローズハルトさんと長門さんの話を聞きながら、私は海鮮丼を頬張る、イクラがぷちぷちだった。

2018-04-17 21:05:58
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そんなこんなでごちそうさま 「あー美味しかった…」 「そうだな、満足だぜ。そういや二人共、この後行くアテはあるのかい?」 バケツのような兜を被りつつローズハルトさんは訊ねる、私は長門さんに着いて行く必要があるから、答えはこの人次第だ。

2018-04-17 21:07:21
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「うむ…次は、ブルネイに行こうと考えている。」 「ブルネイ?」 私がおうむ返しに訊ねると、長門さんは答えた 「近々ブルネイ泊地で、大規模な水上闘技大会が開かれるのだ。私はそれに出る、正義を為すのに必要となる、確かな力を付けるためにな。」 確かなという部分を長門さんは強調した。

2018-04-17 21:08:46
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するとローズハルトさんがポンと手を叩いた 「そいつは奇遇だな、実は俺もそれに出るつもりなんだ。」 「ローズハルトさんもですか?」 「ああ、こう見えて海でもちゃんとやれるんだぜ。それに、運が良ければ盟友に会えるかもしれないしな。」 彼は兜の下の顎をさする

2018-04-17 21:09:52
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そして続ける 「何、旅は道連れって奴だ、折角だからブルネイまで一緒に行こうぜ。」 「良いですね!」 ローズハルトさんの誘い、私はこの人が嫌いではなかったので、二つ返事で頷いた。 「うむ、良いだろう。」 それは長門さんも同じだったみたいで、特に悩む事もなくすんなりと了承した。

2018-04-17 21:10:58
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「よし、じゃあ決まりだな。ブルネイ行きの護衛募集があるから、そいつで行こう。」 「ああ、良い慣らしにもなるだろう。」 「ブルネイ、どんなところなんだろう…」 西の国ブルネイまで、私達は三人で行く事になった。会って一週間と経ってない人と一緒の旅…なんだか不思議で、ワクワクする。

2018-04-17 21:12:41
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「ノワキはブルネイ行った事ないのかい?」 「無いです」 「そうか、じゃあ楽しみだな!」 「はい!」 ぽんぽんと肩を叩くローズハルトさんに、私は子供みたいな返事をする。 …何故かしら、昨日一昨日と怖い思いをしたはずなのに、私はむしろ、知らない場所に胸をときめかせている。

2018-04-17 21:13:53
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トラック泊地での生活が、つまらなかった訳じゃない…でも今、この一月にも満たない短い時間だけで、私の心は今までに無いものに浸っている。 ちょっと悪い事のような気もする、でも今は、この感覚を知って、追いかけてみたい…。 太陽が眩しい、サングラス…買おうかな。 〜〜

2018-04-17 21:15:09
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〜〜 さて、所変わってここはハイドロ団、ハイドロ博士が椅子に座って唸る。 「板前も負けてしまったか…やはり艦娘は強いのう…」 「博士、艦娘が相手ならここは海で勝負するのが良いかと」 「そうじゃな…その方が正々堂々としていて良い、よし!次は海で奴等と戦うとしよう…が、誰が行く?」

2018-04-17 21:16:36
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博士が訊ねると、二人の悪党が手を挙げた 「ほほう、お前達なら確かに海で戦えるな!ここは手を組み、協力悪を見せつけると良いだろう!」 「奴等はブルネイに向かっています故、とっておきの場所があります。」 「アレか…これは楽しみじゃな!」 野望は続く… 〜〜

2018-04-17 21:17:45
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〜〜 さて、こちらはヒューガリアン…の一室、扶桑の部屋。 畳敷きの部屋で、扶桑がエンピツを片手に頬杖をついていた。 「うーん、3二金で詰み…」 彼女はそう呟くと、詰将棋の本を閉じ、エンピツを紙の上に置く、紙には無数の棋譜が書かれていた。

2018-04-17 21:19:22
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「やっぱり詰将棋は簡単過ぎて面白くないですね…チェスも解き尽くしてしまったし、どうしましょう」 分厚い詰将棋の本を本棚にしまう、自動航行システム以降何かと暇を持て余しがちな扶桑は、大抵自室で一人遊びに興じていた。 「日向にはもう十連勝してしまったし、うーん」

2018-04-17 21:20:41
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無論、これは彼女に限らずこの船全体の空気であった、一人でも誰かとでも、各々自由に過ごすのである。 「うーん、散歩でもしましょうか」 扶桑はそう言って立ち上がる、美しい着物を着た2メートルの身長が直立する様は、なんとも言えぬ迫力がある。 彼女は畳敷きを音なく進み、扉へ向かう

2018-04-17 21:22:05
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すると、扉の前に気配がした。 「ぉゃ?」 扶桑は扉を開く、すると長い廊下を、見慣れぬ少女がてくてくと歩いていた。 (三隈さんに似ていらっしゃるけど、どなたでしょうか…) 彼女がそう思っていると、少女が扶桑に気付いた 「あっ…扶桑殿」 少女は一礼し、扶桑の元へ歩いて来た。

2018-04-17 21:23:22
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だが扶桑は彼女が誰か分からない 「うーん…?えっと…」 首を傾げていると、少女ははたと気がついて自分を指差した 「…あっ、そうだった…自分であります、あきつ丸であります。」 「……ああ!あきつ丸さん、ごめんなさい、白粉が無くてつい分かりませんでした。」

2018-04-17 21:24:45
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「いえとんでもない…風呂上がりでこれなんであります」 あきつ丸は自分の顔をペタペタと触って言った、普段の白粉付きの顔とはまた違う、年相応な若々しい顔であった。 「ところで…どうしてここに?この辺りは私の部屋しかありませんよ」 扶桑が訊ねると、あきつ丸は恥ずかしそうに頭をかいた。

2018-04-17 21:25:55
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「その…訓練してお風呂に入って、戻ろうとしたら迷ってしまって…」 「まあ」 扶桑は驚きを隠せず声を上げる、だってそうなのだ、後から乗って来た鈴谷ですら、迷わず大抵の場所はいけるのだから。 「全くどうして迷うのか、とほほ…」 あきつ丸は自嘲気味に笑い、ため息をついた。

2018-04-17 21:27:09
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と、そんな彼女を見て扶桑はある事を思いついた。 「そうだ、あきつ丸さん、今お時間は?」 「へ?えっと、時計時計…」 「いえそういう事ではなく…今、お暇ですか?」 「暇…ええ、まあ…」 彼女がそう答えると、扶桑は手招きと共に、あきつ丸を自室へと招いた。

2018-04-17 21:28:34
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部屋に入ると、あきつ丸はきょろきょろと、畳敷きの広々とした部屋を見渡した。 「おお、扶桑殿のお部屋は和室なのでありますな」 「ええ、畳の部屋が良いと言ったら、三隈さんが変えてくれたのですよ」 「流石三隈殿でありますな…なんでもやる事が早い…」 あきつ丸は履物を脱ぎ、畳へ上がる。

2018-04-17 21:29:38
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その間に扶桑はちゃぶ台を退け、押入れの中に大きな身体を突っ込み、ごそごそと色々し始めた。 (なんというか、昭和的な部屋でありますな…博物館で見るような部屋だ) こんな事を考えつつ、とりあえず置いてあった座椅子に腰を下ろすあきつ丸、すると扶桑が何か出して来た。

2018-04-17 21:30:53