交代調和級数はlog 2

ぐぐって見つけられませんでしたが、微積分なしで証明できるよう…と思ったら、積分は使っている模様。
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Paul Painlevé @Paul_Painleve

「級数から見た微積分」の講義は無理だが log 2=1-1/2+1/3-... の証明はやろう。 これを証明したMengoliはNewton以前の17世紀半ばのイタリア人で、「自然対数」と言った最初の人で、1+1/2 +1/3+の発散も示し、1+1/2^2+1/3^2+に挑戦したけど、=π^2/6を求めたのは18世紀のEulerだよ、くらいは言おう

2018-04-23 21:07:19

log 2に収束する交代級数はメルカトル級数、π/4に収束する交代級数はライプニッツ級数とも言うそうです。

Paul Painlevé @Paul_Painleve

交代調和級数がlog 2になることはMengoliが、奇数の交代調和級数がπ/4になることはインドのMadhavaが1400年頃に示している。やはり17世紀半ばにWallisはπの無限積表示を与えている。「微積分は数学史上の画期的発見」であるのは確かだが、17世紀後半に微積分が誕生できる土壌があったのだろう。

2018-04-23 21:21:50
Paul Painlevé @Paul_Painleve

微積分以前のπの表示式として (1)Vièteの無限積表示はsinの倍角公式を繰り返せばよい。x→0の時sin x/x→1は使う。(2)Wallis積はsin^n xの定積分から従う。(3)Brounckerの連分展開は x^n/(1+x^2)の定積分の漸化式から従う。(4)奇数の交代調和級数はArctanのTaylor展開から。この4つは良い演習問題

2018-04-23 21:37:19
Paul Painlevé @Paul_Painleve

この4つの中ではWallis積が先進的に見える。Wallis積からはStirlingの公式が直ちに導けるし、Gauss積分を重積分を使わずに示すにはWallis積が役に立つ(工夫が必要)。StirlingからeのCatalan積もそう難しくは無い。あとはBasel問題と、Euler定数γについて突っ込められるかな。

2018-04-23 21:37:19
Paul Painlevé @Paul_Painleve

17世紀の数学は「面積を求めたい、接線を引きたい、級数の和を求めたい」とかやってて、微積分がどんどん進化していった感じもある。教科書だと、理論が先にあってその例として挙がっているが、本来は面白い対象が先にあって攻略するための道具が後から整ってきた。

2018-04-23 23:39:31
Paul Painlevé @Paul_Painleve

立派な大道具を勉強して、それを適用して解ける問題を探して論文書こう!みたいになってきたら、数学者としては堕落でしょう。ただ、新しい大理論ができたとき、その適用範囲がどこまで広いか探ることも大切で、それが次の発見に繋がる。フーリエ解析が19世紀後半以降どれだけ新しい数学を生んだか。

2018-04-23 23:39:31
Paul Painlevé @Paul_Painleve

log(1+x)をy=1/(1+x)の積分とみる見方は、Mengoli(1659)が始めて archive.org/details/geomet… Mercator (1668) archive.org/details/ita-bn… が続いた。Mengoliは双曲線の面積函数を「自然対数」と呼び、加法公式を満たすこと、log 2の級数表示を与えた。Mercatorはlog(1+x)のTaylor級数を求めた。 twitter.com/genkuroki/stat…

2018-04-24 10:48:23
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 eの定義についても同様です。微積分を前提にしてよい段階になれば、exp の定義を経由せずに log を直接 log x = ∫_1^x dt/t で定義でき、exp をこれの逆函数で定義できる。上でやった三角函数の定義と同じ経路をたどっています。この経路なら e は e = exp(1) で定義できます。続く

2018-04-24 09:30:32
Paul Painlevé @Paul_Painleve

NewtonもlogのTaylor展開を求めたが、Mercatorの直後で本人も残念だったそうだ。なお、Newtonはlogの逆函数=指数函数のTaylor級数を与えはいるが、この函数の1での値が自然対数の底だとは気がつかなかったようだ。ちなみにNapierは単にlogarithmと言っている。

2018-04-24 10:48:24
Paul Painlevé @Paul_Painleve

対数を発見したNapierはeに近い数字を扱ったが極限は取れなかった、Mengoli~Mercatorは双曲線の面積として自然対数を扱い、Newtonは逆函数までは考えた。数としてのeを明確に意識したのはJakob Bernoulli(父)で、(1+1/n)^nの極限が2~3であることを示し、この極限がΣ1/n!であると示したのがEuler。

2018-04-24 10:48:24
Paul Painlevé @Paul_Painleve

その後、微積分が整備されてしまうと、(1+1/n)^nの極限でeを定義して~という方法が教科書で多く採用されるようになった。指数函数と対数函数はどっちを先にやるかは、著者の考え方であり、教科書でどうまとめるのは腕の見せ所でもある。歴史通りにやる必要もない。

2018-04-24 10:53:28
Paul Painlevé @Paul_Painleve

歴史に従う必要はないが、函数e^xのTaylor展開の方が超越数eよりも先にあったのは確かである。「函数e^xのほうが数eよりはるかに易しい」というのは、私が数学の研究で今現在肌身で感じていることでもある。微分方程式y'=yのほうがeのいろんな定義より簡単じゃないですか。

2018-04-24 11:02:46