@makotosaito0724さんの連続ツイート20180427

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齊藤 誠 @makotosaito0724

(非常に難しい論点が含まれている訴訟なので,判決文をきっちりと読まないといけない…)大川小津波訴訟:2審の仙台高裁も石巻市と県に賠償命令 - 毎日新聞 mainichi.jp/articles/20180…

2018-04-26 14:37:59
齊藤 誠 @makotosaito0724

悲惨な事故が起きた後の時点からの評価と、事故の前の状況からの推測をきっちりと区別して、過失の認定に慎重にならなければならないと思う。 city.ishinomaki.lg.jp/cont/20101800/…

2018-04-26 18:30:01
齊藤 誠 @makotosaito0724

非常に残念なことだが、北上川河口付近は石巻市の中でも被害が深刻で、小学校の生徒だけが置き去りにされたわけではなかった。この2月にも、雄勝と北上の被災者の方とお会いしてお話をお伺いしたが、津波への警戒度は大きく異なっていた。小学校が震災遺構となったのも地元の方々の意向が契機だった。

2018-04-26 18:50:05
齊藤 誠 @makotosaito0724

地元の方々の受け止め方も本当に様々で、もちろん納得できずに訴訟を起こした方々の意志も尊いが、そうでない方々の意志も尊いのだと思う。和解の道を封じられた訴訟ということもあって市当局も躊躇した小学校の震災遺構決定経緯をできる範囲で調べたが、地元の人々の気持ちに敬意を表したいと思った。

2018-04-26 19:03:14
齊藤 誠 @makotosaito0724

なんで高裁判決にひどく戸惑ったのだろうか。司法を通じて既に起きた現実を強引に切り取った報道で責任を云々し、将来に向けて起きうる可能性に報道が沈黙して私達も忘却してしまうことに違和感があるのだろう。『新聞研究』に寄稿した拙稿… evernote.com/shard/s241/sh/…

2018-04-26 20:59:53
齊藤 誠 @makotosaito0724

震災の年の5月に訪れ、高台にあるイメージから離れていたが、とても立派な校舎が印象に残った。その後も何度も訪れた。地元の人が小学校をずっと大切にしていたと感じた。他の沿岸部と異なって津波への意識も決して高くなく、地域全体が甚大な被害に見舞われた。事後から判断するのが難しいと感じた。

2018-04-27 05:08:58
齊藤 誠 @makotosaito0724

今、首都直下、南海トラフの予測がある。当然、その対応はすべきだが、対応には時間も予算も必要だし、合意形成が困難な場合もある。完璧な対応も不可能。それでも、対応への事前のインセンティブを引き出すには、事後の失敗に対する過失責任の追求の可能性なのだろうか…

2018-04-27 05:41:54
齊藤 誠 @makotosaito0724

被害にあわれた方々、そこに関わる行政の方々がさまざまな葛藤を乗り越えて、その経緯や事実に関する記録を残し、それを社会が共有していくということの大切さ…部外者としてできることは、即座に是非を判断せずに、ただただ事実に向き合うこと…

2018-04-27 06:13:31
齊藤 誠 @makotosaito0724

朝日で判決要旨を読んでいて緊張してしまった。様々な教育課題を抱えた現場の責任者が,想定区域外とされてなお通常以上の対応を考えるであろうか…起きてしまった後の現在から過去を過失を認定しているように思う。

2018-04-27 07:54:20
齊藤 誠 @makotosaito0724

田端教授「今回の判決で行政の学校管理が過剰になり、危機管理マニュアルが膨大化したり、臨機応変な対応ができなくなったりする危険性もはらんでいる。子供の命を最優先に、教育現場が疲弊しないよう何に優先して取り組むか精査してほしい。」 nikkei.com/article/DGKKZO…

2018-04-27 07:56:09
齊藤 誠 @makotosaito0724

結果論では校長が避難マニュアルを事前に見直さなかったことは間違っていたが,それでは,反事実的な仮定として,裁判官が校長であって,震災前に避難マニュアルを検討して不備と判断したであろうか,そもそも,検討の必要を感じたであろうか,数多くの決定しなければならない事項を抱えていて…

2018-04-27 11:51:49
齊藤 誠 @makotosaito0724

運動や法廷の闘争では,自分に有利なことを強調し,相手に有利なことを隠すのが戦略だが,真実に近づいていくには,自分に有利なことは決して誇張せず,相手に有利なことは最大限尊重するという作法の対等な討論が必要なのだと思う。

2018-04-27 12:11:05
齊藤 誠 @makotosaito0724

高裁判決の戸惑いはマニュアル自身の不備を問うていること。マニュアル,ガイドライン,数量的エビデンスで現場を統制していく思想は現場不信の裏返しで,ローカルな知識,専門的な裁量や直観を徹底して排している。そうした統制において現場責任が問われるのは,統制自身から逸脱していた時のみ。

2018-04-27 13:10:47
齊藤 誠 @makotosaito0724

マニュアルやエビデンスを提供する統制側も最先端の(厳密に定義された)普遍的手法に基づいていることを大前提に作成に関わる過失責任を免れる。現場も,統制者も社会から信頼されておらず,良い方向にも悪い方向にも裁量は徹底的に排除される。

2018-04-27 13:11:17
齊藤 誠 @makotosaito0724

代替的な統制方法もあって,現場も統制者も社会的信頼を得て現場の専門的裁量に意思決定が委ねられる。現在は前者の統制が支配的。判決は,現場(校長)に対してローカルな知識で裁量を存分に発揮してマニュアルの不備を補うことを期待し,その期待が満たされなかったことを持って過失を認定している。

2018-04-27 13:12:25
齊藤 誠 @makotosaito0724

もちろん,市の被害想定やマニュアルは結果論として間違っていたが,いくつもの手続きと合意を経て作成されたもので,そうしてできあがってきたもののについて,司法が問うとすれば,手続き的な瑕疵だけであって,その科学的な内実を厳密に評価する能力は司法の側にないであろう。

2018-04-27 13:13:03
齊藤 誠 @makotosaito0724

個別の政策が数値的エビデンスを根拠に決められ,緻密なマニュアルで実装されていながらも,現場の「良き」裁量の欠如をもって責任を追及され,社会的な責任を負わされることになれば,行政官も,政策に関わる専門家も,現場の責任者も,本来的に背負えない責任を課されていることになると思う。

2018-04-27 13:13:59
齊藤 誠 @makotosaito0724

私は,行政や専門家が社会から高い信頼を得て,現場の裁量を最大限認めるような意思決定が理想だと思うし,マニュアルや数値的エビデンスでは統制しきれないものが多々あると思っているが,現実問題としては,得マニュアルやエビデンスを主軸としつつも,

2018-04-27 13:14:36
齊藤 誠 @makotosaito0724

法的な責任から離れたところで専門的な,時にローカルな裁量の余地や合意形成の可能性を探っていくというファジーで中庸な仕組みが良いと思う。今回のような判決では,マニュアルやエビデンスによる完全な統制という,到底実現不可能な夢に向かって社会が暴走してしまうと思う。

2018-04-27 13:15:24
齊藤 誠 @makotosaito0724

社会科学だって,人文科学だって,自然科学だって,私たちの科学的な知見は,現実の人間社会の複雑さからみれば,まったく不十分なものだと思う。でも,その科学的な知見をうまく使うことで,使わないことよりも,結果が良くなるわけではないが,結果が良くなる可能性は広がるのだと思う。

2018-04-27 13:27:50
齊藤 誠 @makotosaito0724

自分の判断が正しいのかどうかわからないですが、発したからにはきっちり引き受けようと思います。訴訟を起こした遺族の方々、そうでない遺族の方々、多くの方々の気持ちがあるわけなので。経済学の狭い分野の専門家の一人として考えることのとても多くの論点のある、私にとっては重い判決でした。

2018-04-27 19:29:59