オタクだろうが何だろうが、犯罪的とかキモいとか、実態と実績のある特定の個人に投げかけるだけなら「軽蔑」で済むものを範囲攻撃して、罪のない人を巻き込めば「差別」です。

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

ここんとこ沸騰してる「オタク差別」の存在について、「差別ではない」「差別かどうかは微妙」という意見に私は反対するよ。オタクだろうが何だろうが、犯罪的とかキモいとか、実態と実績のある特定の個人に投げかけるだけなら「軽蔑」で済むものを範囲攻撃して、罪のない人を巻き込めば「差別」です。

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

この「範囲攻撃」の強さの程度によって「これくらいなら、差別やないやろ」と線引きをしようとするのは止めた方が良い。ユダヤ人迫害もそんな感じだった。

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

ユダヤ人の迫害ってのはある日突然収容所がドーンと建った、っていうもんじゃなくて、もともと19世紀末から20世紀初頭の段階でヨーロッパにはユダヤ人に対する「軽蔑」レベルの蔑視の蔓延があって。NSDAPが政権を取ってもいきなりその日からユダヤ人を捕まえ始めたなんてこともなかった。

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1933年2月～3月の段階で、ナチが使っていたユダヤ人差別のレトリックは、「失業者が数百万人もいるのに、ユダヤ人を優遇してはいけない」というものだった。トーンがだいぶ低い。でも「ナマポを優遇するな」とかそういうのとちょっと似てるよ、あんな感じ

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そして具体的にやったのは、ユダヤ人……いうてもドイツ市民権を持ってて代々ドイツに住んでるドイツ人なんだが……の経営する商店のボイコット運動をするとかそういう

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こういうアドバルーンを上げて、国民から強い反発が出ないと見切ってからリリースされたのが1933年4月7日の「職業官吏再建法」。ユダヤ人は役人や教師といった公職から追放される

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ここを皮切りにどんどん差別政策が深刻化していき、4月22日にはユダヤ系の医者や患者への健康保険の適用が打ち切られる。「医者になるな」とは言わないが、ただやってられなくした

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1933年の4月を過ぎてから、ドイツ国内のユダヤ系ドイツ人は「これは、さすがにあかん……」と思い知り、続々と国外へ出て行った。イギリスやアメリカを渡航先に選んだ人々は助かった。フランスやベルギーを選んだ人々にはのちに地獄が待っていた

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1935年の「長いナイフの夜」事件で、ユダヤ系退役軍人団体の代表が殺されるということが起こった。ドイツ大統領ヒンデンブルクはヒトラーに「ユダヤいうても退役軍人は大切にしろよ！」と命じていたのだが、もうヒンデンにすら流れは止められなくなっていた

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こっから先はもうほとんど教科書通り。戦争勃発直前の1939年7月4日には、ドイツ在住のユダヤ系住民（もちろん彼らも本来はドイツ人のはず）を「ドイツ在住ユダヤ人全国連盟」という組織に所属させ、ドイツ人から法的に隔離した

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

それからはもう戦争、収容所、強制労働、ガス室、おなじみの。

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今ざっとかなり乱暴に挙げた流れの中で、どこまでが差別ではなく、どこからが差別ではないと言えるだろうか。

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

1933年4月の公職追放っていう法的な差別が始まる前にやってた、「突撃隊員を商店の前に立たせてボイコットを呼びかける」なんてのも、「それは差別ではない、暴力も振るっていないし、ただ人に選択を薦めただけ」と言えてしまうだろう

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

でもこれが5年経つと、1938年11月9日、「水晶の夜事件」となって、人々は商店のガラス窓を打ち壊し始めた

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

だから私は言うんだけど、「特定の個人の前科を理由にして個人を嫌うならともかく、だから○×はダメなんだと範囲攻撃をしたら、それはもう軽蔑でも区別でもなく、差別だ」と。

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

ユダヤ人迫害の推移が注目されているうちにもう一つ教訓として述べておきたいことがある。それは、「差別者が言う差別対象を、好意的に解釈するな」ということだ。ありていに言えば野間が叩いてる「オタク」とはエロゲーオタクだと決めつけないこと。

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

それはどういうことかというと、ユダヤ人迫害で強制収容所に送られた「ユダヤ人」のほとんどは、自分がまさかナチが叩いている「ユダヤ人」に該当するとは思っていなかったのだ。

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

政権獲得前からプロパガンダでナチが描いていた「ユダヤ人」とは、ひげを生やしていて、金勘定が好きで、見るからにわかりやすいユダヤ教徒の格好をしていて、世の中を陰から動かしている」というものだった。

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

がしかし、ドイツに住んでいたユダヤ系ドイツ人たちは、それは自分たちのことだとは思っていなかった。あんなマンガみたいな風貌はしてないし、ユダヤ教じゃなくてキリスト教徒だったり、だいたいアイデンティティも「自分はユダヤ人である前にドイツ人」と思っていた人が多数だった

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

さらに、ヒトラーは国政選挙のたびに演説から反ユダヤ主義を取り除き、「ドイツ国家を一つにまとめよう」というポジティブなメッセージを発していたので、ユダヤ系ドイツ人たちは「あの反ユダヤ主義は、内輪向けのハッタリだろう」と思っていた

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

ところがそうではなく、前の大戦でドイツ兵士として皇帝に忠誠を誓い、人一倍納税をしていたドイツ市民権のある人でも収容所に送られてしまった

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

オタクを人間でない、と言い切る人の「オタク」の定義を「エロゲーやエロ漫画が好き、あるいはエロの二次元絵をリツイートするような人」とか、「萌えっぽいアニメを肯定する人」限定で、海外ドラマや少女漫画が好きな自分は範囲外だと思うなかれという事

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

興味のない人はそんな区別はつかない。うちの母みたいに、バンコランとエーベルバッハ少佐の区別をつけることができない。あのオタク叩きに同調していても、アニメ・漫画っぽいアイコンを掲げていた過去ひとつあれば充分殺されうる。

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

なんとなれば、アニメでも漫画でもなく、ただ本を読むのが好きというだけの人、鉄道だのクルマだの飛行機だのが趣味な人が差別の対象にもなる。それは簡単に想像できる。知らないし知ろうとしない人にとっては考慮にも値しないから

こなたま（CV:渡辺久美子） @MyoyoShinnyo

そしてこれもこないだ言ったが、「差別者は、差別してよい理由を常に新しく考え出す」。今は「エロゲーオタクのことだろう」と好意的に解釈しても、そのうち車オタクやヅカファンやサカオタを差別してよい理由が作り出される。これは確実だ