ハート・オブ・ダウントロッデン・ソウルズ #1

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(これまでのあらすじ:シトカを支配する強大なるニンジャ、シンウインターを倒す為、ニンジャスレイヤーはスーサイドと共に暗躍する。ネット監視網を司るニンジャ、サキュバスを倒し、過冬の極秘データを解析した彼は、海を隔てたエッジカム火山に敵の核心「オマーク」の存在を見る)

2018-05-04 22:10:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(街中から消失する市民達。その行き先はエッジカム火山だ。不明瞭なカメラ映像が伝えてくるのは、謎めいたUNIXシステムに生体接続された人々が犠牲となる惨たらしいありさまであった。目指すべき場所はエッジカム火山。ソウカイヤとの抗争が激化する市街に、恐らくシンウインターは居ないのだ……!)

2018-05-04 22:12:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(だがその時、ニンジャスレイヤーは、彼らがいるハッカー・ドージョーに急速接近する新たな敵のニンジャアトモスフィアを感じ取る。それは銀の浜辺において彼に敗北を味わわせたニンジャの感覚であった!)

2018-05-04 22:14:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「奴か」「奴?」「ザルニーツァというニンジャだ。……速い」「ザルニーツァ」ゾーイが呆然と呟き、反射的に身を震わせた。「あのニンジャ……」「コトブキ」ニンジャスレイヤーはコトブキを見た。「は、はい!」「ゾーイを頼む。お前達の事は必ず逃がす」彼は重々しく言った。「奴はおれが倒す」◆

2018-05-04 22:15:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シーズン2第5話【ハート・オブ・ダウントロッデン・ソウルズ】#1

2018-05-04 22:19:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

闇に向かい、シンウインターは低く言った。「ザルニーツァ」彼が手にしたクリスタル・グラスには見る見るうちに蜘蛛の巣状の亀裂が生じた。「ザルニーツァ……ザルニーツァ!」『イエス、ボス』「サキュバスが死んだ。これで何人だ」『……』「数えんでいいぞ……ンン…ンッンッンッ」不気味な笑い。1

2018-05-04 22:24:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

恐ろしい笑いだった。それはシンウインターの憤怒の表現に他ならない。傍らに控えていたミギは頬を張られたようにビクリと震え、赤面し、密かに、もの欲しそうにボスの横顔を見るのだった。ヒダリは燃えるような嫉妬と憎しみでミギを見守った。 2

2018-05-04 22:26:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シトカは俺の街だ。ここにあるものは俺のものだ」手の中のクリスタル・グラスが微細な亀裂によって真っ白に変わり、崩れ、ウォートカと混じり合って、シンウインターの手から足元の氷に逃げていった。「ンッンッンッ……だいぶ暴れてくれたな……ニンジャスレイヤー=サン……!」 3

2018-05-04 22:30:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アスファルトの上でニンジャスレイヤーは直にアグラをかき、赤黒の眼光を熾火めいて明滅させていた。そこは激戦繰り広げたハッカー・ドージョーを隠したトレーニング・ジムに面する道路上である。ゾーイは虚空に手を翳し、トランス状態に入りかけている。コトブキは二人を心配そうに見守っている。 5

2018-05-04 22:34:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「その……わたし、少し思うんです」コトブキは呟いた。「ゾーイ=サン、貴方の力は強力で……でも無尽蔵なのでしょうか?」「わかってる」ゾーイは瞼をひくつかせて答える。「アタシ自身、嫌な予感はしてる。特に今はアイツの力も無いし……多分、よくないって事は」「そうです……!」 6

2018-05-04 22:39:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「でも、こうするしかない」「わかります……」「なら、この話は終わりにしようよ」「はい。……今は」コトブキは頷いた。ニンジャスレイヤーは無言だ。深く呼吸し、恐らく数分後に直面するイクサにむけて、可能な限りのカラテを引き出すべく、集中力を研ぎ澄ませているのだ。 7

2018-05-04 22:42:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あ」ゾーイは見つけた。「あった。でも、これ……」眉根を寄せる。「……少し変わったものだ……」「どうしました?」「ニンジャスレイヤー=サンに紐づいてるけど、少しこんがらがっている。ソウル……記憶……ンンン……」「構うな。急げ」ニンジャスレイヤーが口を開いた。「来るぞ」 8

2018-05-04 22:45:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

0101001……ノイズの飛沫を散らしながら、ゾーイは重い質量をアスファルトに着地させた。それは黒いモーターサイクルであった。「ハアーッ……!」ゾーイは荒い息を吐き、尻餅をついた。「普通の情報じゃなかった……!」「確かにふつうのバイクじゃありませんね。液晶に表示……大人女……?」 9

2018-05-04 22:47:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヘルヒキャク社のインテリジェント・モーターサイクルです」コトブキは品番から情報を照会した。「とても珍しいものですよ。急に、これを?」「そう」ゾーイは立ち上がろうとしたが、難儀した。コトブキが手を貸した。周囲の空間に奇妙なモザイク状の欠落が残っていた。彼女は訝しんだ。  10

2018-05-04 22:50:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「その歪みには触らないほうがいい」ゾーイが言った。「よくわからないから。……ふさぎかたも……わからない」「まあ」「ちょっと無理しちゃったかもしれない……」「動くか、それは?」ニンジャスレイヤーが尋ねた。コトブキは急いでヘルヒキャクのUNIXを操作した。「急ぎます……大丈夫です!」 11

2018-05-04 22:53:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スタータートトトト……ザーマシシシシーン」UNIXライトが青や桃色に色を変えた。「ハロー……ワールド……」ドルッ、ドルルルル。怪物じみたエンジンが唸り、排気が行われる。「まだ最適化がされていませんが、走れます」コトブキが言った。ニンジャスレイヤーはやおら立ち上がった。「よし」 12

2018-05-04 22:57:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤッタ。これがあれば、アイツのバイクを……」言いかけたゾーイに、しかし、ニンジャスレイヤーは首を横に振った。そしてコトブキに言った。「これはおまえ達が使え。これに乗ってフジミ・ストリートに戻れ。スーサイド=サンと合流するんだ」「え、待って」ゾーイが慌てた。「戦闘は?」 13

2018-05-04 23:00:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「奴に追わせはしない」ニンジャスレイヤーは闇の先を見据えた。コトブキは決意と共に頷いた。「行きましょう」「でも!」「わたし、運転できます。ゾーイ=サン、しっかりつかまっていてくださいね」「置いていけない……!」「わたし、ニンジャスレイヤー=サンを信じています。行きます!」14

2018-05-04 23:05:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは目を見開いた。「行け!」そしてスリケンを投擲した!「イヤーッ!」闇の中に赤い火花が閃く。接近する者がスリケンを撃ち落としたのだ。既にニンジャスレイヤーは地を蹴り、駆け出していた。ゴアアアア!同時にコトブキはモーターサイクルを発進させた! 15

2018-05-04 23:08:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

2秒後!鋼の矢めいて突入してきたのは、ニンジャスレイヤーが予測した通りの相手!モーターサイクル上で身を屈め、一直線に向かってきたザルニーツァと、コトブキ達が交差した。ザルニーツァはコトブキ達を行かせるつもりはなかった。だがニンジャスレイヤーはザルニーツァにそれを許さぬ! 16

2018-05-04 23:12:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」割って入ったニンジャスレイヤーは回転しながら宙に跳んだ。ザルニーツァは円形の炎をタイヤ痕に生じながら切り返した。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは空中でさらにスリケンを投擲!「イヤーッ!」ザルニーツァは車体をウイリーさせ、スリケンを跳ね返す! 17

2018-05-04 23:14:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「またすぐ後で!」コトブキが一声叫ぶ。振り返りはしない。ヘルヒキャク社のモーターサイクルの液晶表示は文字化けしている。「スタートー……靠鬲〒縺吶疽」ドウ!ロケットめいて加速!ゾーイは悲鳴を噛み殺す。一気に走り去る!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはさらにスリケン投擲! 18

2018-05-04 23:18:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「チィ!」ザルニーツァは舌打ちし、スリケンをチョップで弾き返した。再び車体をドリフトさせるが、着地と同時にニンジャスレイヤーはアイサツしていた。「ドーモ。ザルニーツァ=サン。ニンジャスレイヤーです」アイサツされれば応えねばならない!「ドーモ。ザルニーツァです」 19

2018-05-04 23:21:22