ビオンのアルファ機能とフォナギーのメンタライジング-学派間の異同と相互交流

臨床心理士有志の会さんとの対話の記録です。精神分析とMBT、クライン派とアンナフロイト派の違いについて、いままで日本ではよく知られていない情報が含まれており、大変勉強になりました。
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臨床心理士有志の会 @cpyuhshi2013

友人のNick Midgleyが書いた子どものMBTの本が近く翻訳出版されるようです。本の中身はよくは知りませんが、このコメントを聞くと喜ぶのではないかと思います。 twitter.com/pirotan21/stat…

2018-05-05 18:33:56
電気イヌ @pirotan21

なぜこれほど変貌したのに、MBTが精神分析の末裔と言えるのか。私の意見では、今ここで患者が何を感じているかを治療者が感じ取っていくというプロセスが、治療に繋がっていくという精神分析の根源的な信念に、何ら変化がないばかりか、むしろよりいっそう純化されているからなのです。

2018-05-01 20:53:04
電気イヌ @pirotan21

@cpyuhshi2013 先生とMidgley先生が学派の違いについて対話をなさったら、私も皆も震えるくらい面白いと同時に、両者に共通する本質を掴めるかもしれません。いずれぜひ!クエーカーのことは存じませんでしたが、集団の圧力に抗して個人でいることの大事さを力説される先生には、いつも勇気づけられています。

2018-05-05 23:05:44
電気イヌ @pirotan21

なるほど。介入を決定する際に、セラピストの内的感覚や想像にくわえて、発達研究をも用いる所は、Nick先生とAlvarez先生に共通すると思っていました。目標を発達援助に置き、必ずしも無意識の解釈にこだわらないところも。学派よりも学派を超えて共に追求している本質に興味があります。 twitter.com/cpyuhshi2013/s…

2018-05-06 15:22:58
臨床心理士有志の会 @cpyuhshi2013

@pirotan21 NickはAlvarez先生からSVを受けたことがあると思います。Alvarez先生はAnna Freudを引用しますし、Fonagyとも良好な関係のようです。英国では「学派」の垣根はあまり高くないですね。但し、MBTについてはよく思っていない分析家/セラピストは多分かなりいると思います。CBTに対抗すること、また

2018-05-06 08:47:19
電気イヌ @pirotan21

学派の垣根は低くても、精神分析とMBTの垣根は高い。何が妨げなのでしょうね。Nick先生によるとアンナ・フロイト派精神分析とMBTは連続していて臨床感覚に大きな違いはないようです。だとすると、実験研究を精神分析理論と統合するところか、あるいは、訓練システムを簡略化するところか。 twitter.com/cpyuhshi2013/s…

2018-05-06 15:31:43
臨床心理士有志の会 @cpyuhshi2013

@pirotan21 公的医療サービスを通じて社会に精神分析が貢献するためには有用だと考える人も多いとは思います。私がMBTは面白いと思うと、昔、Nickに言ったら、キリスト教に改宗した、イスラム教徒をみるような疑わしそうな顔をしていました。

2018-05-06 08:50:19
臨床心理士有志の会 @cpyuhshi2013

「無意識の解釈」というのは、精神分析の狭い捉え方ではないかと思います。ビオンが明らかにしたように、意識性と無意識性は表裏一体であり、意識性の構造、構築自体に多大な問題を呈しているというのが今日的臨床問題ではないかと思います。Alvarez先生のThe Thinking Heartはそうした取り組みの一つ twitter.com/pirotan21/stat…

2018-05-06 16:11:44
電気イヌ @pirotan21

@cpyuhshi2013 コメントありがとうございます。先生が精神分析を意識性の経験科学と捉えていらっしゃることを、論文を通して勉強させていただいています。クライン派ではビオンがなした無意識から意識への視野の転換を、アンナフロイト派ではメンタライジングという概念を用いて行ったということだと理解しています。

2018-05-06 17:12:54
電気イヌ @pirotan21

@cpyuhshi2013 仰るように両者は意識の対象に違いがあります。メンタライジングは「意識しようと思えばできるところに目を向ける」のに対し、アルファ機能は「到底意識できずそもそも夢にもならない体験に目を向ける」ことですし。意識の成立過程を扱いたいのは同じ、形から入るか本質から入るかという所でしょうか。

2018-05-06 19:34:18
臨床心理士有志の会 @cpyuhshi2013

なるほど、そう言えるかもしれないですね。それでいくと、ビオンは理解困難でハードルが高いのに比べMBTはアクセスが容易な分、いいのかもしれません。しかし、結局は、両者は互いがあることでそれぞれの良さが鮮明になるような、相補的な関係にあるのかもしれません。 twitter.com/pirotan21/stat…

2018-05-06 17:48:52
電気イヌ @pirotan21

@cpyuhshi2013 やはりそうですか。。正直、MBTが要求する訓練程度で、例えば患者が耐え難い不安をスタッフに投影してきたとき、スタッフは耐えられるようになるんだろうかという疑問があります。一方ですべてのスタッフに教育分析を要求するのは非現実的です。その間にある現実的な解決策に興味があります。

2018-05-06 19:45:53
臨床心理士有志の会 @cpyuhshi2013

やはり、最後のところでしょうね。Fonagyもアナ・フロイトセンターの長老から大反発を食らったと聞いたことがあります。精神分析家だけでなく、英国人はアメリカ的簡略化への敵意の流れがあるように思います。よく言われる、クリケットvsベースボール。スヌーカーvsビリヤード的な。とは言え、簡略化の twitter.com/pirotan21/stat…

2018-05-06 17:41:14
電気イヌ @pirotan21

勉強になります。フォナギーのメンタライジングも、ビオンのアルファ機能も、実践的には同じところに辿り着くかもしれないということですね。地図を描く際に入口から描くか、出口から描くかの違いかもしれません。確かにMBTは、セラピーを短期に区切ったとしても、まずは出発することを勧めます。 twitter.com/cpyuhshi2013/s…

2018-05-06 21:24:54
臨床心理士有志の会 @cpyuhshi2013

その二つは実践的には同じことかもしれません。到底意識できないことは誰にも意識できません。できることは、できそうなことをやり続け、結果的に、当初は不可能に見えたことができるということか、と。 twitter.com/pirotan21/stat…

2018-05-06 20:06:12
臨床心理士有志の会 @cpyuhshi2013

全てでなくても、指導的な地位にいる人には、分析/セラピーを受ける、というか、そういう人を指導者にすべき、と思います。Nickに聞いてみないとわからないですが、多分、MBTをやる人も個人分析/セラピーを受けた方がいいて思います。セラピスト自身が、メンタライジングできることが本質だとすれば twitter.com/pirotan21/stat…

2018-05-06 19:58:57
電気イヌ @pirotan21

MBT(メンタライゼーションに基づく治療)は、最新の精神分析的心理療法です。しかし、その治療作用と技法は、従来の精神分析と大きく異なります。従来の精神分析は、患者が自由連想し、分析家が解釈し、患者が無意識を洞察する・・・というイメージでした。

2018-04-30 16:29:07
電気イヌ @pirotan21

しかしMBTでもっとも大事にされていることは、患者が自分や他人の気もちに触れていられること、言葉にできること、とくに自分(相手)の行動が相手(自分)の気もちに影響していることに気づいていることです。これをメンタライゼーションと言います。

2018-05-14 21:11:23
電気イヌ @pirotan21

MBTがどうして患者を良くするか。それは、治療者が患者の気もちに触れ続けることが、今まで怖くて触れられずいた自分や他人の気もちに関わるように、患者を勇気づけるからです。つまり治療者のメンタライジングが患者のメンタライジングを促すのです。

2018-04-30 16:42:51
電気イヌ @pirotan21

このようにMBTは精神分析の治療作用論を刷新したため、従来の精神分析とは相当に異なる技法を用います。前意識的な心理状態に注目し、探索的な問いかけを多用し、転移解釈にこだわらず、転移はあくまで探索の素材として用います。

2018-04-30 16:47:50
電気イヌ @pirotan21

なぜこれほど変貌したのに、MBTが精神分析の末裔と言えるのか。私の意見では、今ここで患者が何を感じているかを治療者が感じ取っていくというプロセスが、治療に繋がっていくという精神分析の根源的な信念に、何ら変化がないばかりか、むしろよりいっそう純化されているからなのです。

2018-05-01 20:53:04
電気イヌ @pirotan21

無意識を取り扱わなくても、自由連想させなくても、解釈しなくても、精神分析は精神分析でいられる。本質的なのは治療関係をひたすら感じ考えていくことであって、それさえ維持されていればいいのだというこの思いきり。これがMBTの物凄いところであり、また敵の多いところだと思います。

2018-05-01 20:58:11