ハート・オブ・ダウントロッデン・ソウルズ ＃６

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ハート・オブ・ダウントロッデン・ソウルズ】#6

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

（これまでのあらすじ：ニンジャスレイヤーはザルニーツァと戦闘し、これを退けた。ゾーイを任されたコトブキはフジミ・ストリートを目指して逃走するが、途中、ゾーイは名状しがたい超自然の力を発揮し、危険な状態に陥る。危機は脱したものの、コトブキはただならぬものを感じるのだった）

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（激化するソウカイ・シンジケートと過冬の抗争によって、フジミ・ストリートへの経路は断たれていた。ゾーイは「海のほとり孤児院」の地下通路を用いてフジミ付近にショートカットする事を提案する。ゾーイはこの孤児院にかつて在り、そこで三人の少年との交流、つらい別れを経験していた）

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（ゾーイを裏切り、シンウインターを手引きする結果となった職員のネルソンは罪滅ぼしの為にゾーイを案内し、彼女が孤児院に来るに至った経緯を語る。彼は記憶喪失のゾーイが手にしていたという品を手渡した。それはランダムな八つの刃が飛び出した奇妙なスリケンであった）

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プリンス・ディストリクトはフジミ・ストリートの隣接街区だ。異常なオーロラの空の下、断続的な銃声や叫び声は激しく、民家の住人は鎧戸を固く降ろして、じっと、この恐ろしい夜が過ぎるのを待っていた。　1

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「歯医者の王子様」「牛」「高級野菜店」などのネオン看板の光が濡れた街路に映り込む幻想的光景の中、血なまぐさい争いが展開されていた。「ザッケンナコラー！」「スッゾオラー！」「タマッタルケンノー！」対立クローンヤクザは廃棄物タンクや街頭タヌキの陰から互いにチャカで銃撃を繰り返す。　2

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BRAKKA！BRAKKA！「グワーッ！」「アバーッ！」過冬バッヂをつけたヤクザ達が銃撃戦に敗れて地面を転がった。だがそのとき、KRAAASH！「牛」の建物のシャッターを内側から破壊し、狂暴なバッファローが暴れ出た。「GRRRRR！」「スッゾオラー！」「アバーッ！？」ソウカイクローンヤクザ轢殺！　3

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「ハーッハハハハ！ソウカイヤ、何するものぞ！」牛にまたがったニンジャは燃える鞭で巧みに殺人バッファローを操り、残忍な笑い声を響かせて、クローンヤクザを跳ね飛ばしながら走り去った。ナムアミダブツ。……その二分後。死臭漂う街路のマンホールの蓋が開き、コトブキが顔を覗かせた。　4

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「行ったようです」コトブキは下に向かって言い、マンホールの蓋をどかして、地上に出た。「わたし、マンホールは慣れていますよ。……嗚呼、何という事でしょう……激しい戦闘が繰り広げられていますね」「ここからなら、フジミはそう遠くない」ゾーイも這い出した。　5

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「スーサイド＝サン、無事だといいけど」「通信によれば、争っているのはソウカイヤと過冬で、フジミ自体は難を逃れる格好のようです」コトブキは言った。「しかし、争いは争いです……住人たちは眠れぬ夜を過ごしている事でしょう。よくない事だと思います」「ソウカイヤっていうのは何なの？」　6

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「ネオサイタマのヤクザです」「それがどうしてシトカに？」「わかりません。たぶん、悪い目的があるのだと思います。悪行は悪行を呼び寄せるのです。ゆえにこそ、人は正しく生きていかないのだと思い……」コトブキは言葉を詰まらせた。ゾーイを後ろに庇い、カンフー・カラテを構えた。「思います」7

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南北に延びる路地、その南側から、近づいてくる影があった。コトブキはそのあと北を見た。北からも影。「スーサイド＝サン」コトブキはIRC通信を試みる。「予定通り、プリンス・ディストリクトに出たのですが……」『モシモシ。モシモシ！』「プリンス……」『聞こえるか！いいか、そこ……』　8

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「火の用心……火の用心、とくらァ」南からの影は上機嫌に呟いた。「オイランドロイドのお嬢ちゃん、どこ行くの、ッちう……話だの」闇に油断なき眼差しが光った。現れたのは明らかに危険な存在だった。ずんぐりと小柄で、いかつい顔つき。「誘拐は感心せんのォ」　9

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「誘拐？」コトブキは厳しい眼差しを返した。小柄なニンジャに続いて、ぞろぞろと現れたのはクローンヤクザ。過冬！「ドーモ。オーガフィストです。いやはや、儲けた儲けた。火の用心の安全パトロール中に、キンボシ・オオキイじゃないの」「……！」コトブキは後ずさった。ナムサン。そして、北！　10

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「コトブキ＝サン！」ゾーイが警戒を促した。「わかってます」コトブキは凄まじい速度で状況回避の手段を検討する。しかし北側の闇の中から灰白色のニンジャが進み出るのが先だった。「ンン？どうしたサイグナス＝サン」オーガフィストが声をかけた。「オヌシの受け持ちは、もう片付いたかよ」　11

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「2ブロック先から聞こえるぞ、お前の呑気な歌が」サイグナスは言った。そしてコトブキを見……ゾーイを見た。「何故こいつらがここに居る」「知らん知らん、今見つけた」オーガフィストは笑った。「ボーナスじゃ、ボーナス」クローンヤクザ達が拉致中腰姿勢を一斉に取った！　12

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「お前、名は何と言ったか……」「最悪です……腐れ縁でしょうか……」コトブキはひとり呟き、拳に力を込めた。ゾーイが心配そうに見た。「知っているの」「サイグナス＝サン」コトブキは名を呼んだ。彼女とサイグナスには面識があった！南米の地において！　13

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「なんじゃ。貴様の情婦かよ？」オーガフィストがコトブキ越しに尋ねた。「そんなら言う事聞かせろ」「サイグナス＝サン！あの時、あなたの態度は奇妙なものでしたが……」コトブキは絶望的に説得を試みた。「手段を選ばぬエル・キケンに示した嫌悪感は偽りではない筈です。ですから……」　14

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サイグナスは苦笑した。「懐かしい話を持ってくるものだな、ウキヨ。あれは俺の趣味ではなかった」「この子を連れて行くのは果たしてどうなのですか！あなたの誇りにもとるのでは……」「……？」サイグナスは首を傾げて見せた。「あの件と、そのガキを比べるのか？無理筋だ。それはボスの所有物だ」15

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「コトブキ＝サン……」ゾーイはおずおずと呟き、それからサイグナスに向かって言った。「この人のこと傷つけないって約束してくれる？」「人とはな」サイグナスは鼻を鳴らしたが、回答は留保した。「それはお前が"イイ子"にするか次第だ、ゾーイ＝サン」「まどろっこしい！」と、オーガフィスト。16

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拉致中腰姿勢のクローンヤクザ達はじりじりと前ににじった。「ひとつふたつブン殴って言う事聞かせりゃ、話は早い」それを率いるオーガフィストが言った。サイグナスはゾーイに答えた。「今この時の安全は保証してやってもいい。お前が一緒に来るのならば」「アタシが行けば……！」　17

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ナムサン！これは良い警官・悪い警官メソッドの一種である。過冬のニンジャに良いも悪いもない。ワイズマンは酷薄なるシンウインターの忠実なる戦士なのだ！コトブキはしゃがみこみ、ゾーイの肩に手を置いた。「いいですか、ゾーイ＝サン。わたし、今、しっかりと考えています。状況打開の可能性を」18

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「でも……」「いいですか！」「でも……」「いいですか……」サイグナスの眉がぴくりと動いた。「謀っているな！ナメるなよ！」彼は怒声をあげた。「やれ！オーガフィスト＝サン！」「カカレ！」「「ハイヨロコンデーッ！」」クローンヤクザ殺到！だがその時であった！「イヤーッ！」　19

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カカカカッ！飛び出そうとした拉致中腰クローンヤクザの足元に立て続けにスリケンが突き刺さった！「グワーッ！？」「グワーッ！」バランスを崩し、将棋倒しになるクローンヤクザ達！サイグナスはスリケンの飛来方向を素早く見上げた。ナムサン！隣接民家の屋根上に影！　20