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2018年5月23日

集合論の非標準モデルについてのお話

集合論のいろいろな議論の背景にあるけど普段はあまり議論されないメタレベルの考察にちょっとだけ触れました。p進大好きbotさんの質問に答える形で、非標準モデルの存在について説明しています。
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ゼルプスト殿下 @tenapyon

数学カフェの講演用のテキスト書く手が止まっているのは、「ZFCのモデルであること」の定義にまつわる疑念がなかなか解消できないから。

2018-05-20 18:29:28
ゼルプスト殿下 @tenapyon

集合MがZFCをみたす(M |= ZFC)というのとクラス L がZFCをみたすというのは、端的に同じではない。当日そのことを話すか話さないかは別にして、ここの自分の理解をいい加減なままにしておきたくはない。

2018-05-20 18:29:28
p進大好きbot @non_archimedean

@tenapyon すみません、モデルの理解が足りなくて気になっているのですが、集合がZFCのモデルであることとLがZFCを満たすことはどう同じでないのでしょう?

2018-05-21 23:42:14
ゼルプスト殿下 @tenapyon

@non_archimedean ええと、集合であるようなモデル M については、集合論の中で言語を再定式化というかゲーデル数化して「M は ZFCのモデルである」という文を書けるのですが、

2018-05-22 00:43:04
ゼルプスト殿下 @tenapyon

@non_archimedean L のような真クラスについては一般にはそんなことができないので「ZFCの個々の公理 φ について、その L への相対化 φ^L が証明できる」というメタな主張が「L は ZFCのモデルである」という主張の実態ということになるのです。

2018-05-22 00:44:46
ゼルプスト殿下 @tenapyon

@non_archimedean そこで、M が集合でありかつ定義可能なクラスでもある場合、「M は ZFCのモデルである」というのは2とおりの意味を持ちうるわけですが、この場合、言語のゲーデル数化を用いる定式化のほうが強い意味になります。それは ZFCが無限個の公理のリストだからで、

2018-05-22 00:47:28
ゼルプスト殿下 @tenapyon

@non_archimedean 集合論の中で「ZFCの公理のゲーデル数であるような数の集合」を定義して仮にそれを |ZFC| と呼べば、ZFCの個々の公理 φ についてそのゲーデル数 |φ| が |ZFC| に属することは証明できる一方で、|ZFC| に属するすべての数 n について ZFCの公理 φが存在して n=|φ| となる、などという主張は、

2018-05-22 00:50:23
ゼルプスト殿下 @tenapyon

@non_archimedean そもそも集合論の言語で書けないのです。キューネン『集合論』第IV章の演習問題に、そのあたりの重箱の隅を突っついた妖しい問題が多数収録されています。

2018-05-22 00:52:34
ゼルプスト殿下 @tenapyon

@non_archimedean ともあれ、「|ZFC| に属するすべての n について M は n のモデルである」という(ひとつの)主張は、ZFC の個々の公理 φ について、「M は |φ| のモデルである」を含意しますが、後者の主張を全部(無限個)とり揃えても、前者のひとつの主張には到達しないのです。ややこしいです。

2018-05-22 00:57:28
ゼルプスト殿下 @tenapyon

@non_archimedean で、真クラスである L の場合は、後者の主張すなわち個々の公理 φについての φ^L をすべて取り揃える形でしか「L は ZFCのモデルである」を主張できません。 現場からは(?)以上です。

2018-05-22 00:59:40
p進大好きbot @non_archimedean

@tenapyon ありがとうございます! 以前同様の話(その時はVでした)をどこかで読んで、ZFCが有限でないので書けないということしか説明されていなかったので理解が進みませんでしたが、おかげでクリアになりました! 定義可能性が絡んでたのですね。ちなみに個々の具体的なn∈|ZFC|がn=|φ|と表せるのは良いの

2018-05-22 06:57:26
p進大好きbot @non_archimedean

@tenapyon ですよね? もし定義可能でもある集合MがZFC+¬Con(ZFC)の(形式化の意味の)モデルである場合、定義可能(相対化)の方の意味でのモデルでもありM⊧¬Con(ZFC)が証明できてしまうことになりますが、それはM⊧⊥を帰結する(つまり定義可能なモデルはない)のでしょうか?

2018-05-22 07:05:28
ゼルプスト殿下 @tenapyon

@non_archimedean いえいえ、iPhoneで長文打つのつらいので、大学に着いたら詳しく書きますけど、ZFC+¬Con(ZFC)の定義可能なモデルは存在しますよ。

2018-05-22 09:06:48
p進大好きbot @non_archimedean

@tenapyon ありがとうございます。全然理解が足りなくてすみません。恐縮ですがよろしくお願い致します。

2018-05-22 09:43:58
p進大好きbot @non_archimedean

よく分からなくなっちゃった。ZFCの中でZFCの言語を再定式化ないしゲーデル数化したとして、元のZFCの項である集合M(定義可能集合でない)を内側のZFCの項とみなす方法があるのかな?

2018-05-22 09:49:28
p進大好きbot @non_archimedean

算術だと外側のnを内側のS…S0(という項を表すゲーデル数)に送る対応が書けるけど、集合論だと外側のMを内側の集合論の項を表す文字列ないしゲーデル数に送る方法が思い付かない。

2018-05-22 09:52:39
p進大好きbot @non_archimedean

算術以外の充足性は気になるたびに考えてよく分からないというループに陥っているのでちゃんと教科書が手元に欲しい。

2018-05-22 10:01:28
ゼルプスト殿下 @tenapyon

というわけで、以下、p進botへの回答。話の発端はこちら☞ twitter.com/tenapyon/statu…

2018-05-22 09:51:25
ゼルプスト殿下 @tenapyon

ZFCが矛盾しない限りZFC+¬Con(ZFC)も矛盾しない。矛盾しないから、モデルが存在する。とくに可算モデルが存在する。そこで、ZFCから ∃r⊆ω×ω[(ω, r)|=ZFC+¬Con(ZFC)] が証明できる。ここで rは ω上の二項関係で、領域ωに関係記号∈の解釈を与えるもの。任意の可算モデルはこの形のモデルと同型。

2018-05-22 09:57:23
ゼルプスト殿下 @tenapyon

ZFCから証明できるのだから、Lにおいても同じことが成立: ( (ω, r)|=ZFC+¬Con(ZFC)となるような r⊆ω×ωが存在する)^L ということは、ある r∈L について ( (ω, r)|=ZFC+¬Con(ZFC) )^L となるけど、

2018-05-22 10:01:14
ゼルプスト殿下 @tenapyon

Lにおける ωは Vにおけるωと同じものだし、Lにおける |= 関係は Vにおける |= 関係を Lのメンバーに制限しただけの実質同じ関係。これを ωや |= 関係の「絶対性」という。 というわけで、ある r∈L について、本当に(つまりVにおいて)、(ω, r)|=ZFC+¬Con(ZFC) となっている。あとは、

2018-05-22 10:06:12
ゼルプスト殿下 @tenapyon

いわゆる L の自然な整列順序づけの意味で最小な rを選べばいい。このとき、(ω,r) は ZFC+¬Con(ZFC) の定義可能なモデルになっている。 ただしもちろん、この話は、ZFC+Con(ZFC) すなわち「ZFC自体のモデルが存在すること」が前提。ややこしいね。

2018-05-22 10:06:12
ゼルプスト殿下 @tenapyon

さてこの話は何ら矛盾を含まないんだけど、奇妙な感じは覚える。ZFC+¬Con(ZFC)のモデル M においては、「ZFCからの矛盾の導出」が存在している。いっぽう、実際にはZFCが矛盾していない(という前提でいま話してる)ので、ZFCからの矛盾の導出は存在しない。こりゃ一体どういうわけだ…

2018-05-22 10:09:08
ゼルプスト殿下 @tenapyon

と、謎をかけておいて、10時20分から講義なのでまたあとで!!

2018-05-22 10:09:46
p進大好きbot @non_archimedean

ここが疑問の発端でした。たぶんコード化への理解と、コンパクト性定理か完全性定理の証明への理解をもっと深める必要がありそう。

2018-05-22 10:13:54
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