そういうわけで、今回の試みは、おおげさに言えば「将来的な詰将棋の教材開発」を視野に入れたものでした。もっと多くの人が、「こんな教え方もあるよ」という工夫を発表してほしい、という願いをこめて。
2018-05-21 23:46:01大阪の講座でやった実践例を。この図に、駒を1枚追加して、打歩詰の局面を作ってください。答えは2通りあります。これは、参加していた小学生が3人とも解けました。 pic.twitter.com/C2pkG68886
2018-05-21 23:49:48この準備をしてから、次に、やはり同じく、この図に駒を2枚追加して、打歩詰の局面を作ってください。左右対称にひっくり返した図をカウントしなければ、答えは基本的に1通りしかありません。これも小学生3人が正解を見つけました。 pic.twitter.com/U8FZ4t5H0B
2018-05-21 23:52:03ところが、みなさんに考えてもらっているところを見てまわったら、次のような図を並べている参加者がいました。こういう答えは、実は教える側が期待していた、嬉しいものでした。 pic.twitter.com/zhBRrfipQL
2018-05-22 00:00:17この図は、正解図の双子と言ってもいいほどよく似ていて、王様のまわり8マスすべてに竜2枚が利いています。それでは、ここで56歩と打てば打歩詰になるのかというと…。
2018-05-22 00:03:26不思議なことに、56歩と打った瞬間に、76竜の利きが遮断されて、46玉と逃げることができます。つまり、この局面で56歩は打歩詰ではありません。
2018-05-22 00:04:58また、正解図の43竜を飛に変えた、次の図をごらんください。 pic.twitter.com/iU8q5lAwjY
2018-05-22 00:07:51この図では、56歩は打歩詰ではありません。しかも、56歩、54玉、63竜までで詰んでいます。竜よりも飛の方がいいことがあるという、打歩詰に関係する「成らず」をこの例で教えることができます。
2018-05-22 00:10:07実際に、これを「詰将棋」にしようと思うと、たとえばこんな図。23飛不成、35玉、36歩、34玉、43竜までの5手詰です。初手に23飛成とすると35玉で、36歩が打歩詰。 pic.twitter.com/1ot1jenGQg
2018-05-22 00:16:00最初のパズルから出発して、「詰将棋」を「作る」という方向性を提示した、ひとつの実例としてごらんいただければ幸いです。
2018-05-22 00:18:45もうひとつ、大阪の講座でやった実践例の報告を。この図は、現状では15歩が打歩詰です。ここで、「何か玉方の駒を呼んできて、15歩をその駒で取らせる」という、いわゆる打歩詰打開の方法を考えてみます。 pic.twitter.com/deKnqy51a2
2018-05-22 00:25:39たとえばこんな図。ここから「23銀引不成、同桂」と玉方の桂を呼んでくることで、「15歩、同桂」と打歩詰が打開できて、13銀成まで詰みます。 pic.twitter.com/u38vQwWWHH
2018-05-22 00:27:50そこで問題。最初の形に「先手の駒1枚(持駒でもいい)」と「後手の駒1枚」を追加して、先ほどの例のように、後手の駒を呼んできて打歩詰が打開できるような図を作ってみてください。少なくとも3通りの図を見つけること。
2018-05-22 00:32:17すると、参加していた小学生の1人が、こんな図を作りました。 pic.twitter.com/btxb5ADYDU
2018-05-22 00:35:17これも、実はこちらが期待していた誤答でした。もちろん、その子の読み筋は、「26桂、同銀」で「15歩、同銀」と取らせることができる、ということだったのですが…。
2018-05-22 00:37:15残念ながら、26桂を同銀「不成」ではなく同銀「成」と取ると、成銀は15に利いていないので、打歩詰は打開できません。そういう説明をしたら、その子は「おおっ」と驚いていました。
2018-05-22 00:39:42そういう驚きがあれば、将来詰将棋作家になれる素質がありますね。詰将棋の根本は、なんといっても驚きなのですから。
2018-05-22 00:41:48その説明をしたついでに、次のような図も並べて解説しました。こちらは、「16飛、同角成」と取らせれば15歩が打てますが、今度は同角「成」ではなく同角「不成」で打歩詰が打開できません。これで、玉方の「不成」という話も一緒にできたことになります。 pic.twitter.com/6wL4UpfxQd
2018-05-22 00:47:29話は東京で出題した問題に戻りますが、答えがいろいろあるので、お互いに答えを見せ合うのもおもしろいことを発見しました。実はわたしも、「なるほど、その解があるのか」といたく感心した答えを1つ目にしたことを告白しておきます。駒2枚を追加するだけでも、詰将棋の世界は広い…。
2018-05-22 00:57:36ここで裏話をひとつ。もちろん、最初に考えたのはこういう基本図なのですが、これに駒2枚追加では、なかなか桂合が出ない。うーん、おかしい…ということで、結局ああいう図にしたわけですが、はたしてどうだったのか。できるという人がいたら教えてね(香合も)。 pic.twitter.com/L17j5OrMWV
2018-05-22 01:02:59合駒を出す問題に取り組んでいて、まずどうやって歩合を出せばいいのか…と悩んでいる方にヒント。その駒(この場合だと歩)を将来に取って、その先の手順を進めたとき、持駒が歩なら詰まないが、歩以外だとどれも詰む、という局面を作ってやれば解決します。(この考え方は、講座でも説明しました。)
2018-05-23 03:22:23また詰将棋の教材用に思いついた問題を。この図に、銀4枚を追加して、詰んでいる局面を作ってください。ただし、銀は先手の駒でも後手の駒でもかまいません。成銀を使うのは禁止。答えはいろいろあります。 pic.twitter.com/MRmdKS9Dgg
2018-05-23 15:57:58さらに駒をもう1枚だけ使って、3手詰の詰将棋で、詰め上がりが先ほどの「銀4枚で詰み」になるようなものを作ってください。
2018-05-23 16:01:43