ストレイトロード:ルート140(34周目)
- Rista_Bakeya
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#あなたの創作のあらすじが知りたい 苦難の末に心までなくすギリギリ手前だったおっさんが、不思議な力を持つ少女に雇われ、気づけば荒野の真ん中でヤバいものを積んだ中古車を飛ばしていた。しかも凶悪な怪獣との追いかけっこ真っ最中でもある。彼らは逃げきれるのか……
2018-05-15 23:31:14#みなさんの創作のタイトルや由来を教えてください 最初に書いた「直線の道路を爆走する話」を後にシリーズ名とした。そこで二人が合流したからjunction。 「ストレイトロード -the first junction-」 #文学フリマ金沢 (い-30)他 #テキレボ にも持ち込みます。 c.bunfree.net/p/kanazawa04/7… #文学フリマ
2018-05-19 13:54:22今回のまとめの最後に、イベントレポートと次回告知があります。
まずは本編(ツイノベログ)から。
再開発が進む街に以前訪れた時の面影はなかった。更地にして災厄の爪痕を消したことが完成予想図から読み取れる。「こんなお行儀のいい街にしてって誰が望んだの?」藍は絵の中に遊び場が見当たらないと指摘した。段差のない道や大きな木の陰がそれだと言うなら、実践する姿が描かれないのは不自然だ。
2018-03-29 19:50:39「あの辺は近づかない方がいい」案内役の誘導で車を移動させる道中、隣人と揉めている一家を見かけた。「村が襲われたときあいつの家だけ焼かれなくて、それから威張ってるんだ」「例えば?」「歴史に残る家を今だけタダで見学させてやるって」口真似を聞いた藍が笑った。「それは学校行く気なくすわ」
2018-03-30 20:06:48私達が何を言っても少女は作り笑いのままうなずくばかりで、会話が全く成立しなかった。わざと矛盾する質問をして同じ反応を受け取った後、藍は少女が後ろ手で塞ぐ扉に疑いの目を向けた。「何を聞かれても答えるなって言われた?」少女がうなずくことをやめた。正確には頭を下に動かそうとして止めた。
2018-03-31 19:51:22早朝の電話は藍の母親からだった。最初は愛娘の近況をせがまれ、いつしか学歴の話へと移った。「箔をつけたくて学校を選んだわけじゃないの。良い環境で学んで賢くなってほしくて」親が英才を望んでも、当人がその意義を知らず理想像もなければ、恵まれた環境はただの甘やかしになる。藍はどうなのか。
2018-04-01 19:22:39突然の鼻唄の主はすぐ判っても曲名が解らない。前を歩く藍に尋ねると、背後を示された。「そこの壁に書いてあったじゃない」そういえば曲がり角の手前にスプレー書きの楽譜があった。「まさか音符読めないの。最低でも学校では習ったでしょ?」一応読めるが、立ち止まらず音符を拾えるかは別の問題だ。
2018-04-02 18:57:43実験の打ち合わせを忘れて教授と藍の激論が続く。終息を待っていると、急に窓の外も騒がしくなった。研究棟に隣接する学校が避難訓練を始めていた。校庭をうろつく着ぐるみは侵入者の役か。一度は校舎外に集合した生徒達だったが、その一人が何を思ったか着ぐるみに飛びかかり、仲間も次々と加勢した。
2018-04-03 20:03:55「風の魔女はどこだ!」「うちの子を返して!」夜が明けると宿の表が騒がしくなった。窓を開ける前に耳を傾けた。ベッドに服を隠して就寝中に見せる偽装が方々の家で一斉に行われたらしい。「この部屋ですね?」今度は廊下から声が聞こえてきた。ドアの前に向かう私の背中に無数の視線が刺さっている。
2018-04-04 20:53:01マラソン大会の号砲を開始地点で見届けた。「あなたはゴールで待ってて」そう命令された私は中継映像を通じて藍を追ったが、すぐに見失った。しばらくしてスクリーンの前で歓声が上がった。折り返し地点を同年代のランナーの集団が駆け抜けていく。よく見ると沿道で靴紐を結び直す藍の姿も映っていた。
2018-04-05 18:57:48瓦礫を乗り越え、表通りと分断された路地に入った。細い道の両側を埋め尽くす落書きを見ながら進むと、袋小路の手前で藍が私を立ち止まらせた。「親の前では健気な子が、裏では何抱えてるかなんて」人が倒れている。彼女の小さな身体は目隠しにならない。「きっと近くにいるほどわからないものなのよ」
2018-04-06 18:54:52「ぼくもこんなことできるようになれるかな」無邪気な発言の後ろで顔をひきつらせる親らしき人を、恐らく藍は見ていない。幸いその場では肯定も否定もしなかったので口論は回避された。「だって、なり方知らないし」わたしも突然だったから、と後に彼女は説明した。「ただの個性かもしれないでしょ?」
2018-04-07 19:21:18暴れる怪物を藍が沈めた後、私達は住民の避難場所となった学校で支援を手伝った。数日後、避難指示の解除を受けて帰る人々を見送っていると、小さな花園に気づいた。今回は学校周辺より街の端が大きな被害を受けた。その地域に住んでいた生徒の一部が、瓦礫の間に咲いていた花をこっそり集めたらしい。
2018-04-08 19:36:22