＃埼玉鎮守府 まとめ - お小遣いに交通費は含まれません（横須賀観光編） -

埼玉鎮守府渉外部 @SaitamaNavbase

----- お小遣いに交通費は含まれません（横須賀観光編） ----- #埼玉鎮守府

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埼玉県西部。 西部と言いながら埼玉県のほぼ中央に位置しているこの地域の主要な鉄道と言えば、西武鉄道と東武鉄道である。 JRももちろん通っているし決して重要ではないと言えないのだが。 #埼玉鎮守府

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すなわち西埼玉県民にとっての西武鉄道とは飯能駅から池袋駅までを繋ぐ西武池袋線と本川越駅から西武新宿駅までを繋ぐ西武新宿線、そして東武鉄道とは寄居町駅から池袋駅までを繋ぐ東武東上線を指す場合が多く、その間を縫うようにJRの路線があると大まかに考えていい。 #埼玉鎮守府

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西武・東武両鉄道共に狭山線や越生線などの路線もあるし大前提が間違っている可能性はあるが、西埼玉県民の認識はそれで合っていると思う。 都内（特に池袋か新宿）に行くのにわざわざJRを使う西埼玉県民はまれなので、やはりこの二社が主要だろう。 東埼玉県民ならJRに違いない。 #埼玉鎮守府

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何故唐突にそんな話をするかというと、どちらもみなとみらい線に乗り入れ元町・中華街駅まで乗換なしで行くことができるからだ。 うまくやれば座ったままで目的地まで行くことができるがうっかりすると立ちっぱなしになるなどと考えながら、隣に座るセーラー服の少女を何となしに見た。 #埼玉鎮守府

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肩までの髪を左右で飾り気なくふたつに結び、小さなバッグを大切そうに両手で膝の上に抱いている。その中には携帯電話と身分証明書、それからICカードが入っているのを知っていた。 「白雪」 「はい」 「乗り換えは横浜だからな」 「はい」 #埼玉鎮守府

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どこかぎこちない応えなのは海軍関係者であること、そして艦娘であることを知られないようにと伝えてあるからだ。 艦娘の存在が知られてしばらくになるが彼女たちは決して身近な存在ではなく、見た目通りの存在でもない。 #埼玉鎮守府

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艦娘は、外見上は普通の少女と変わらないが、各種の兵装を搭載することを前提とした身体を持っている。 それが最大限に発揮されるのは艤装を装着した時だが、そうでなくとも彼女たちは『意識と感情を持った兵器』なのだ。 #埼玉鎮守府

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どんな理由があろうと、兵器が人間に対して危害を加えることは許されていない。 ヒトの姿を持っているが故の理不尽を突っぱねることは許されない。 何か問題が起きて人間に危害を加えるようなことがあれば、たとえ彼女たちに非がなくとも最悪には解体処分が下される。 #埼玉鎮守府

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艦娘の本質が軍艦である以上艦娘に人権は与えられていない。艦娘に尊重されるべき人権はない。 つまり、彼女たちに何かあっても、彼女たちは自分自身を守ることができない。 そういった事情もあって、艦娘の監督者たる提督には彼女たちを保護することが求められていた。 #埼玉鎮守府

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駆逐艦という艦種のこの少女は、鋼鉄の艨艟だった時代には人々を護る側だったのだと、穏やかな振動に緩く感じながら何となしに思った。 #埼玉鎮守府

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横須賀駅の駅舎を出るよりも早く、正確には停車するよりも早く、一瞬だが曇天色の巨体が見える。 久しい艦がいると思い、そう言えば近頃はめっきりどこにどの艦があるかを追わずにいると気付いた。 同じようにその艦に気付いた白雪が控えた声で問うてくる。 「あれは空母ですか？」 #埼玉鎮守府

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「違、……いや、ああ」 あれは護衛艦だと言いかけて取り消す。今は空母だ。今は。分類上は。いや海軍年鑑などではずっと前からそうだったか。 "彼女"の建造計画が持ち上がって以来ずっと言われ続けそのたびに否定していたが、今では肯定するどころか自称するようになっていた。 #埼玉鎮守府

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逸見岸壁へと向かう。車窓からちらとだけ見えた曇天色の巨体はかつての自分の特等席に身を寄せ、その前に姿を見せていた。 "彼女"のために用意されたそこは、"彼女"とその後に続く"空母"たちがいることが多く、逆に（"彼女"と相対的に）小柄な艦がいると違和感を覚えるほどだ。 #埼玉鎮守府

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すなわち、大きく座り心地の良さそうなソファにゆったりと腰かけ膝に幼い少年を寝かせてこちらを見ている姿は、面影もないのにどこか艦娘の由良を思わせる雰囲気がある。 彼女の髪は桜色ではなく日本人らしい黒みがかった茶で、緩くまとめられたポニーテールではなくボブヘアだ。 #埼玉鎮守府

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着ているものもセーラーカラーの制服ではなく、ダブルボタンのブラックスーツ。但しスカートではないし、袖にラインも入っていない。 艦娘に幾分か長く接しているからか、どうも見知った相手を強く意識しているのだろう。 そう内心で自嘲していると。 #埼玉鎮守府

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「提督さん」 少女の幼さを持つアジア系とも欧米系とも取れる面差しのまま、由良に似た呼びかけで呼ばれ、また錯覚してしまう。 だいたい、この岸壁に大人が寝そべっても充分に余裕のあるソファを置いてのんびりするような艦娘がいるはずもない。ていうか何だこのソファ。 #埼玉鎮守府

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「何かご用ですか？」 「今横須賀にはどの艦がいる？」 問うと一瞬彼女の曇天色の瞳にノイズのようなものが走った。 よく見れば彼女がゆったりと頭を撫でている少年にも影響があるらしく、微かにノイズが出ていた。 「はい。今はですね、私ひゅうがと、きりしまと、それから……」 #埼玉鎮守府

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名前を挙げるたびに、彼女の髪に留められた『181』の数字が刻まれた髪留めがちらりと光る。 彼女が背にする巨艦の艦首両舷に記された数字も同じく、その数字は"彼女"が組織が変わっても変わらないことを表していた。 #埼玉鎮守府

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「ひゅうが」の護衛艦としての分類はDDH、ヘリコプター搭載護衛艦だ。現在はCV、空母に再分類されているが、その役割は航空機運用よりも情報統合と指揮統制を主とするようになっていた。 またその輸送力や補給能力を活かし、艦娘との合同作戦を行うことも多い。 #埼玉鎮守府

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「どのようなご用件でしょうか？」 膝の上の少年の頭を撫でながら問う彼女に、白雪は不安げな様子を見せていた。それはそうだろう。目の前の相手が何者なのか理解していないのだから。 というかこっちもこの少年が何なのか分からん。何か付属システム的なアレなのか？ #埼玉鎮守府

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ひととおり事務的な言葉を交わしてから彼女を紹介する。 「白雪、ひゅうがだ」 「ひゅうが……さんですか」 一応艦種なども説明するべきだろうがまあいい。 ソファに腰かけたままにこにこしている彼女を不思議そうな目で見て、それから彼女の右胸についているプレートに気付いた。 #埼玉鎮守府

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『JS HYUGA』 彼女が2009年に就役して以来ずっと記されてきた文字だ。 それを確かめてから白雪は、ちらりとこちらの、同じく右胸に目をやる。提督としてではない階級と名前が刻まれているプレートは、自分が正しくこの組織の一員であることを表していた。 #埼玉鎮守府

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彼女が立ち上がると共にソファと少年の姿が消えた。 くるりと顔をめぐらせるがその視界は巨大な自身に遮られる。それでも彼女はその『向こう』が見えているらしく、一歩後ろに下がる。 一瞬の間をおき彼女の前に現れたのは、やはりブラックスーツの、しかし壮年の男性だった。 #埼玉鎮守府

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アッシュブロンドを撫で付けた下、どこか厭世的に青みがかったグレーの瞳がこちらを見やり、彼は自ら名乗る気はないのかとんとんと右胸を指した。 そこに記されているのは、USSから始まる名前。 「は……」 まさか。いや、その必要性を考えれば当然なのか。 #埼玉鎮守府