武術とスパーリングについて

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光岡英稔 @McLaird44

【武術的な強さとスパーリングについて】スパーリングや乱取り、組手などの一見自由に見える攻防の練習で武術的に得られることは「本当に相手が何を、何時、どこでしてくるのか分からない」と「繰り返し敗者の感覚や気持ちから学べる」ことぐらいである。⇒

2018-05-31 12:01:27
光岡英稔 @McLaird44

これも大切なプロセスではあるが、スパーリングで起きる問題が「勝者が勝ちやすいルールに相手を引き寄せようとする」「いち早く決められたルール内の攻防に慣れ、ルールの範疇における予想予測が入りはじめる」ことが武術的には問題であり、同時に競技的には勝機を増やすためのプロセスでもある。⇒

2018-05-31 12:34:50
光岡英稔 @McLaird44

ここに本来の武術と競技武道の違いがある。しかし、この問題を回避しようと伝統武術にて組み立てられた「型稽古」にも同じような問題が浮上し得る。⇒

2018-05-31 12:34:51
光岡英稔 @McLaird44

型稽古の一つの問題となるのが「自由攻防において型通りに行かない問題」である。これは型の定義を指導者が理解し、そのコミュニティが共有してない事に問題の根幹がある。型と技の違いや、型とパターン練習の違いを定義できなければ型稽古は無意味となる。⇒

2018-05-31 12:34:51
光岡英稔 @McLaird44

それは、スパーリングにせよ、型稽古にせよ、慣れることが第一段階の目的となるが、その慣れから脱する方法が第ニ段階で提示されなければ何れの稽古も「一定条件の中でも獲得された、条件付けが必要な一定の強さ」になってしまう。⇒

2018-05-31 12:34:52
光岡英稔 @McLaird44

もし、そのように、その流儀流派の体系が組まれているなら、その流儀流派は自分達の身内のルールだけに対して強かったり、応じられることになる。と言うことは自分達の慣れているルールの外や、流儀流派の枠から出たところでは一網打尽にされる可能性がある。⇒

2018-05-31 12:34:53
光岡英稔 @McLaird44

その問題を経験的かつ実践的に解決しようと歴代の武術家たちは試みて来た訳である。そこで生じた現象が他流派間での交流である。日本、中国、フィリピンなどの東南アジア諸国でもそうであり、自流が確立されて来た頃に次の第二段階へ進むべく「他流との交流」を始めるのである。⇒

2018-05-31 12:34:53
光岡英稔 @McLaird44

自流では「相手が何を、何時、どこでしてくるのかが分かるようになって来た」その頃に、改めて他流から「相手が何を、何時、どこでしてくるのか分からない」ことを教わりに行く。ここに他流派との交流の意味がある。⇒

2018-05-31 12:34:54
光岡英稔 @McLaird44

ただし、武術の場合は他の伝統芸能や職人技とは異なり一つ重要な違いがある。それは、武術の技術技法とは相手を殺傷することが第一次的な目的として作られており、技術交流が一歩間違うと(間違えなくとも)片方の死に至ることを踏まえた上で交流があったことである。⇒

2018-05-31 12:34:54
光岡英稔 @McLaird44

互いに実力が拮抗すればするほど、片方が死に至る可能性も高くなり、事前に交流の目的を明確にして置かなければ流派間の因縁にまでなってしまう。⇒

2018-05-31 12:34:55
光岡英稔 @McLaird44

ただ、竹刀や木刀、軽い棒などでは殺傷性が低いので叩かれた後に耐えて叩き返すことなども可能になってくるので「どちらが早かった遅かった」など、「急所に入ったのどっちだの」との話になってしまい、結局のところ真剣での立会いまで事が進み片方が命を落とすことも少なくなかったようである。⇒

2018-05-31 12:34:55
光岡英稔 @McLaird44

はるか原初の頃から、この問題は武術界にあり、そのような経験から型稽古が発案・提案されたのではないかと考えられる。⇒

2018-05-31 12:34:56
光岡英稔 @McLaird44

それは、最初にも述べたように型稽古では「何を、いつ、どこで」が大前提として分からないことを学び、「敗者の感覚」を実際の攻防で死ぬ前に身に付けておくことに型稽古の醍醐味がある。⇒

2018-05-31 12:34:56
光岡英稔 @McLaird44

この「敗者の感覚」を知っておくことが、いざと言う時に死を免れることへ繋がれば、それで良いのである。それよりか、見誤って「負けてない、まだ行ける」などと言い死に至ってしまっては、未練がましく反省を死後にするしかなくなる。⇒

2018-05-31 12:34:57
光岡英稔 @McLaird44

スパーリングや組手、乱取りも目的を明確にし、型稽古からの延長にある稽古方法として取り組めるなら武術的な価値から離れずに居られるかも知れない。現代武道、格闘技、競技スポーツとして取り組まれる方々で「武術的な強さ」を目標としている方は、その様に取り組まれると良いのではないだろうか。⇒

2018-05-31 12:34:57
光岡英稔 @McLaird44

また、伝統武術/武道で型稽古を中心に稽古する人間も然り、その型の定義に沿って稽古指導できるよう御自身で型の定義、意味、命題などを明らかにし、ご自分と後世が迷いの道に入らぬよう稽古をされることをお進めする。

2018-05-31 12:34:58