ツイッター小説『ノストラダムスの、なつやすみ。』(2)

小説アカウント(@yokobayashidai2 )で毎日7時頃と21時頃に投稿中のツイッター小説『ノストラダムスの、なつやすみ。』をまとめました。
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まとめ ツイッター小説『ノストラダムスの、なつやすみ。』(1) 小説アカウント(@yokobayashidai2 )で毎日7時頃と21時頃に投稿中のツイッター小説『ノストラダムスの、なつやすみ。』をまとめました。 1015 pv 3

(2)

横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

少し恥ずかしい話になるのだが、ある稽古の帰り、僕は同級生の佐々木と『アニメの主人公的立場になった時に欲しい能力』を格付けし合った事がある。氷、炎系から始まり『能力無効化』『精神支配』果てには『時間停止』系まで飛び出したが最終的には時間停止系のアダルトビデオの話に移行した。(2-1) pic.twitter.com/hh1WDAJnpO

2018-05-27 07:27:09
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横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

場の空気が流れたのは何もいやらしい気持ちだけが原因ではない。僕達は結局、本気では考えていなかったからだ。主人公的立場、なんていうモノを。 なのに大王さん。だからその、なんといいますか。恐怖の大王とか、世界虐殺機構とか突然言われましてもね。許容出来るキャパがないです。 (2-2) pic.twitter.com/EoxBQSB7QI

2018-05-27 20:07:12
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横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

アンゴルモアフォビアっていう菌がAからQまであって私はIを持ってこの星に潜伏した。恐怖の大王は総称の事で本来は九十九年に私刑が実行されるはずだったけど九才の私には荷が重すぎたんだよね。朝のマック眼前で繰り広げられる大王さんワンマンショーで僕の手元にあるポテトは冷めきっていた。(2-3) pic.twitter.com/bQvmfpEqo4

2018-05-28 07:15:35
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横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

例の件の後、大王さんは僕の手を掴み走り出した。このまま何処かへ連れて行かれるのだろうかと期待や恐怖を抱く僕の眼の前に現れたのは、黄色いMマーク。彼女はそこで頭がグンニャリしそうな自分語りを始めた。意味不明な単語。電波な内容。すべらない話のテンションで話す彼女。死んだ目の僕。(2-4)

2018-05-28 20:18:48
横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

店内にいる疎らな客は、なぜ誰も耳を傾けないのだろう。なかなかエキセントリックで際どい会話をしていると思うが。そう、際どい。際どいと言えばマーズだ。あの夜の直後に大王さんと、これは。僕は正気に戻り、正気でない状況に頭を抱える。混沌。とりあえず冷めたポテトはコーヒーで流した。(2-5) pic.twitter.com/jb9G5NPXEY

2018-05-28 20:23:05
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横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

「で、先輩。」「なんだね、後輩。」「話を変えても良いですか?」「七月になると毎年性欲がヤバいってエピソードトークはいい?」「(永遠にも感じられる沈黙)」「わかった。」「一緒に逃げ出すんですか?」「うん。」僕は聞きたい事があり過ぎて考えあぐねる。「ただ、直ぐには行かない。」(2-6)

2018-05-29 07:06:43
横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

「八月三十一日。」後回しにしていた宿題で阿鼻叫喚する日。「その日がリミット。あとは全部サヨナラするの。世界の全て。」大王さんはトレーのシートで作ったメモを紙飛行機で渡し「今の話を聞いても一緒に逃げたいなら明日この場所へ来て。」などと席を立った。「体験版があるからね。」と。(2-7)

2018-05-29 21:05:02
横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

そんな大王さんの背中に僕は端的な質問を投げかける。「あの、どうして、僕、なんですか?」 大王さんは振り返らずに答えた。「出会っちゃったからなー。」 七月に似合わない、冬物の制服が汗もかかずに僕と冷房を冷やかしていた。 (2-8) pic.twitter.com/4XMyFuSVXL

2018-05-29 21:11:40
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横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

部屋に戻るとマーズはベッドで夢の中だった。僕はまずまずの手際で朝食を作る。それらは寝起きの悪い彼女からも○の評価を頂いた。そこからは取り止めのない会話。朝のニュースとか。クラブの愚痴とか。あえて昨日の事には触れないように。マーズと僕。隠していた事はお互いに違ったけれど。(2-9)

2018-05-30 07:16:38
横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

もし大王さんの話を鵜呑みにすれば、だ。彼女は人類に潜伏するパターンの恐怖の大王で、広義の地球外生命体だという。一九九九年に世界を滅亡させるつもりが、あまりに滅ぼす材料が不足していた為、更に九年後まで滅亡の期間を延長することで、人類に最後の審判を下そうとしていたらしい。(2-10)

2018-05-30 21:22:37
横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

そして、それらを阻止する為に結成されたのが、所謂正義の組織。彼らは人造人間『アタッチメント・ドゥモーゴリオン』に搭乗し、アンゴルモアフォビアの殲滅を日夜目論んでいる。こうして恐怖の大王と人造人間の戦いは続くのだ…ではない。いやいやいや。いやいやいやいや。いや、なに、それ。(2-11) pic.twitter.com/vE8K36TYop

2018-05-30 21:33:25
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横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

大王さんからは『口外禁止』と告げられ、仮に漏洩したら命の保証は無いと言われた。2ちゃんねるに『先輩が宇宙人だった件ww』というスレを勢いで立てなくて良かった。まあ、あの不可思議な現象は体感した以上認めざるを得ない訳だが、それにしても、である。更に『逃避』とは何が何だか、だ。(2-12)

2018-05-31 07:08:12
横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

だからそう。あれは確認だったのだと思う。翌日に待ち合わせ場所へ向かったのも観劇と偽り出掛けたのも全て。目的のベンチには猫のように笑う女性が一人。相席をお願いすると大王さんは、いつものように黄金糖をくれて意地悪く囁いた。「これで共犯ね。」違うぞマーズ。確認だぞ一旦、なんて。(2-13)

2018-05-31 21:29:31
横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

公園の隅には元気いっぱいに背を伸ばす向日葵の群衆。そんな群集にも負けないような、真っ黄色でガーリーなスケジュール帳を先輩はショルダーポーチから取り出した。 『出兵までにしたい100の事!』  そう丸字で書かれたページを『バン!』と開く。 「八月三十一日に私は逃げ出すつもり。」(2-14) pic.twitter.com/dRrYke5rE2

2018-05-31 21:33:02
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横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

今は七月。逃げ出すまでの間は随分なスケジュールが空く。そこで、と彼女は人さし指を僕の鼻に向けた。「この八月三十一日までの約一カ月。私が『出兵までにしたい100の事』を叶える諸々に付き合って欲しい。」大王さんは、その期間を、一緒に逃げるかどうかの材料にして貰えればと語った。(2-15)

2018-06-01 07:11:15
横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

「私のノストラダムス感にゲロりそうになったら即ドロップアウトでお願いします。」ちなみに項目の方は『済』という意味の『×』が多数付けられており、それらをよく眺めると『バレンタインに2人で』や『クリスマスに恋人と』と記されていた。春巻先輩の影。すでにゲロりそうである。(2-16)

2018-06-01 22:05:30
横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

「行きたい場所とか、やりたい事が、たっくさんあるんだ」 大王さんは耳打ちをした。僕にしか聞こえない声で。 「友達にも、クラブにも、恋人にも、学校にも、アンゴルモアにも、世界にも、全部秘密でね。」 この事を知っているのは聞き耳をそばだてている向日葵、数本だけ。 (2-17) pic.twitter.com/U58L5MidOM

2018-06-01 22:09:19
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横林大々(よこばやしだいだい) @yokobayashidai2

二人。 二人だけの夏休みだ、と。 大王さんが微笑みかける。 こうして7月初旬。 大王さんと僕の夏休みが始まった。 (2-18) pic.twitter.com/xPPBwTCRUD

2018-06-02 06:35:53
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(つづく)

バケツエンターテイメント @Baketsu_Enter

「ツイッター小説『ノストラダムスの、なつやすみ。』(3)」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1235348

2018-06-09 08:48:20

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