気力、精神的エネルギーには限りがある

最大のパフォーマンスを発揮したら、その後には休養が必要。脳も疲弊し、修復する時間が必要だからだ。
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shinshinohara @ShinShinohara

緊張が長く続く仕事をすると、後で反動が来る。これ、知られているようであまり知られていない様子なので書き留める。5月病もその一種。新しい環境に精神的な緊張を強いられる1ヶ月を過ぎて、5月になって精神的疲労がタイムラグで表面化するのが5月病。これは起きて当然なので、自分を許すべき。

2018-06-03 19:38:24
shinshinohara @ShinShinohara

たぶん、メカニズムは麻薬と同じ。麻薬は一時的に脳を活性化するが、その刺激に脳が慣れると、同じ量の刺激には反応しなくなる。中毒者は増量することで刺激を得ようとする。 これに対し脳内麻薬は生産量に限界があり、増量できない。このために刺激に慣れてしまったらそれっきり。気力減退に終わる。

2018-06-03 19:44:03
shinshinohara @ShinShinohara

「刺激に慣れる」という仕組みは、脳の過度な疲労を回避するための巧みな仕組みなのだと思う。生命の危険もあるから、ターボをかける仕組みは一応備えるけど、それは脳を疲労させ、損傷する恐れもある。だから休養を与え、損傷を修復する仕組みとして備えているのだろう。

2018-06-03 19:46:08
shinshinohara @ShinShinohara

なのに現代人は、最大のパフォーマンスを常時期待される。期待されるから、本人も最大のパフォーマンスを常時維持しようと努める。でもそれは脳に休養を与えず、脳の損傷を修復する時間を与えない乱暴な行為。船のメンテナンスを許さずに航海するようなもの。沈没は免れない。

2018-06-03 19:48:35
shinshinohara @ShinShinohara

気力(精神的エネルギー)は、1日あたりに出力できる量が限られていると思った方がよい。近年、この説は心理学や経済学でも認められるようになっているそうだ。もし1日分を超える気力の出力をしてしまったら、後で反動が来て、気力を振り絞ろうとしても出なくなる。

2018-06-03 20:34:17
shinshinohara @ShinShinohara

自分がかつて素晴らしいパフォーマンスをした「思い出」を規準にしてしまうと、脳は疲弊し、傷つき、修復する余裕を失ってしまい、メンテを受けずに航海を続ける船と同様、沈没する。たとえ大丈夫と思っても船は定期的にドックでメンテを受けるように、心もドックで休める必要がある。

2018-06-03 20:36:43
shinshinohara @ShinShinohara

フォードは世界に先駆けて週休2日、1日8時間労働を導入。しかも高給を約束。当時、労働者は安い給料で長時間こきつかって働かせるかが儲けを増やす経営のコツだと思われていたのが、フォードは革命的にそれを転換した。労働のパフォーマンスを最大化するのにその労働時間が最適だと考えたからだ。

2018-06-03 20:55:13
shinshinohara @ShinShinohara

共産主義への恐怖も手伝って、フォード方式を導入する国が資本主義国で増えた。日本の法律も戦後、フォードよりも長いものの、48時間労働に制約されたのもその影響。資本主義国が共産主義国に経済力で打ち勝ったのは、パフォーマンスを最大化する労働時間に制約したことが大きい。

2018-06-03 21:00:01
shinshinohara @ShinShinohara

気力、精神的エネルギーには限りがあり、ムリをすると後で休養と修復する時間を要する、という知恵を、バブル経済で失ってしまったように見える。バブルは働けば働くほど儲かった時期。「24時間働けますか」という歌が否定的に受け取られなかったのは、儲かったからだ。

2018-06-03 21:15:22
shinshinohara @ShinShinohara

ところがバブル崩壊しても働き方を変えられなかった。一度膨れ上がった経済規模を必死に維持しようとして、もう儲からなくなっていたのに残業に次ぐ残業を続けた。日本がどんどん疲弊していった。日本経済新聞が「2020年からの警鐘」という特集を組み、死んだ目の日本人を描いたのはその頃。

2018-06-03 21:17:58
shinshinohara @ShinShinohara

精神的エネルギーには限りがある。絞り出そうにも出せない。短期間なら絞り出せるが、そのあとに反動が来て結局は休息と修復を必要とする。つまり、長い目で見ると精神的エネルギーの総量は決まっているのだ。なのにそれをムリに絞り出そうとするとどうなるか?

2018-06-03 21:19:48
shinshinohara @ShinShinohara

疲弊し、壊れるのだ。ドックでメンテを受けない船は沈没するように、人間も壊れてしまう。日本を再生させたいなら、限られた精神的エネルギーの総量以上を決して絞り出そうとせず、有効に活かすことなのだ。それが「知恵」というものだろう。

2018-06-03 21:21:46
shinshinohara @ShinShinohara

チンギス・ハーンの重臣となった耶律楚材は「一利を興すは一害を除くに如かず」という言葉を残している。何かを付け足そうとするより、余計なことを一つ削ることの方が効果が高い、という意味の言葉だ。バブル崩壊後、精神的エネルギーを無限と仮定したような日本の姿勢に最も求められる教訓だ。

2018-06-03 21:25:37
shinshinohara @ShinShinohara

一利を興そうと仕事を増やすのではなく、儲けがないのに「今までそうしてきたから」という「一害」を除くことに専念してみよう。フォードは経験則から、週40時間以上の労働は持続可能ではなく、従業員の精神的エネルギーを枯渇させ、パフォーマンスを悪くすることを見いだした。その知恵に戻るべき。

2018-06-03 21:28:13
shinshinohara @ShinShinohara

その知恵を持っていたはずのアメリカは、ソビエト崩壊で自ら放棄した。海外からいくらでも働き者が来てくれて、成功を望む人間が長時間労働を厭わなかったからだ。「長時間働けない人間は貧乏でも仕方ない」という論理は、資産家が自らの儲けをカモフラージュするのに好都合だった。

2018-06-03 21:36:13
shinshinohara @ShinShinohara

日本もその論理にならおうとする動きがある。しかしアメリカがその論理を曲がりなりにも採用できたのは、移民や外国人がいくらでもアメリカで働きたがったからだ。つまり、本来なら国内の精神的エネルギー総量は限りがあるが、外国人を輸入することで補っていたのだ。

2018-06-03 21:38:38
shinshinohara @ShinShinohara

しかし日本は移民を中途半端にしか許していない。研修生という形で導入しているが、日本はアジアの他の国と比べて待遇が悪くて評判になっている。これでは長時間労働するインセンティブが働くはずもない。アメリカの方法を真似たくても真似られるはずがない。

2018-06-03 21:53:13
shinshinohara @ShinShinohara

当のアメリカも「精神的エネルギーの輸入」を続けられなくなっている。長時間働かなければ貧乏暮らしという経済システムにアメリカ人が拒否反応を示し、サンダース氏がダメならトランプ氏を選ぶ、という挙に出た。精神的エネルギーの使い捨てシステムを続けることを、アメリカ自身が拒否しつつある。

2018-06-03 21:56:05
shinshinohara @ShinShinohara

精神的エネルギーは幸い、適切な休養と修復する時間を確保すれば、再生産できるものだ。一時的な利益を追って疲弊させるのではなく、休む時間を奪って修復する機会を与えないのではなく、精神的エネルギーが持続的に得られる方法を取り戻すべきだ。

2018-06-03 21:59:14
shinshinohara @ShinShinohara

それには、繰り返すが耶律楚材の「一利を興すは一害を除くに如かず」という知恵が、今の日本には最も必要だろう。増やそうとするな!むしろ減らせ!そうすれば精神的エネルギーは回復する余裕を取り戻し、結果的に日本は元気を取り戻せるだろう。

2018-06-03 22:01:50