突発現パロSS、第八.五話

あっやべって感じでかきました。
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鉢植えホットケーキ @in_KabeWall

翌日、大井はいつもの道を通って出勤する。コンビニの前を通り、少し前まで夜に店員として立っていた鹿島を思い出した。 思えば鹿島の勧誘に成功してからこの短期間のうちに、自分が彼女を会社に招いた事すら忘れてしまっていた。

2018-06-05 22:02:15
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なぜあの時急に鹿島を勧誘したのだろうか。 ビジネスの世界で成功しそうだからなんてただのこじつけなのは、大井の中では明らかだった。 北上に会えない寂しさから、顔を見知ったコンビニ店員に助けを求めてしまったのか。毎晩のように通っていたのだから、鹿島の名にも覚えがあって当然だ。

2018-06-05 22:12:32
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自分の一時の感情で鹿島の人生を変える決断をさせてしまった。 考えれば考えるほど罪悪感が膨れ上がり、運命の一言で全て片付けてしまいたくなる。 照らす朝日を手で遮り、大井は自嘲的な気分で歩みを進めた。

2018-06-05 22:19:46
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「おはようございます大井さん、調子はいかがですか?」 考え事をしながら通り過ぎようとした休憩所から声がかけられる。 「おはようございます、まあまあです。榛名さん、もう戻られてたんですね」 「はい、先程報告書を提出したところなんです」 座って休んでいる榛名の手には透明な飲み物があった。

2018-06-05 22:27:23
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大井の視線に気付いた榛名はペットボトルを小さく掲げ、照れ臭そうにミルクティーです、と教えてくれた。 「ほんと社内で流行ってるんですね透明シリーズ」 「水のようなのに甘くて......この世の不思議が詰まってるって比叡お姉さまも感動してました」 「目に浮かびます」

2018-06-05 22:29:57
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業務を終えてからまだ寝ていないだろうに、榛名の顔に疲れは見えない。 大井が感心していると、榛名はソファを立って近づいた。 「大井さん、辛ければ無理はなさらず」 「え?」 体調は万全だと思っているが、確かに直前の考え事のせいで表情が暗かったかもしれない。 「ご心配ありがとうございます」

2018-06-05 22:43:20
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「榛名さんこそ、業務明けからずっとここにいるんでしょう?早いうちに休んでくださいね」 「はい、もう少し寛いでから帰ろうと思ってます」 榛名はにこにこしながら大事そうにペットボトルを握る。よほど透明ミルクティーが気に入ったのだろうか。

2018-06-05 22:51:01
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榛名と話して暗くなっていた気分が少し晴れた。 大井が席につくと同時に電話が鳴った。また球磨からだ。 『おはよークマ、鹿島はどんな感じクマ』 「もう定時連絡受けるのは問題なさそうです。報告書もいくつか読んでます」 『ほほう要領良いやつクマね!もう船舶免許とらせちゃうクマ』

2018-06-05 23:01:39
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『待つクマ木曾、これついでに大井のとこ持ってけクマ。てことで、鹿島には待機中教科書と報告書好きな方を読ませるクマ』 「姉さん、さすがに急ぎすぎでは」 『むー......そうクマね、入社してまだ三日しか経ってないクマ......木曾、やっぱりそれ置いてくクマ』

2018-06-05 23:09:04
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『うん、今日も定時連絡と報告書読んだりするクマ。大井も艦娘についていろいろ教えてやったりするクマ』 それじゃ、と言って電話は切られる。球磨は鹿島に巡洋艦の艦娘として働く事を期待しているようだった。 いろいろ、の内容を考えていると、鹿島が挨拶して入ってきた。

2018-06-05 23:16:51
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「今日もあっちの部屋ですか?」 「ええ、移動しましょうか」 席からドアまでの短い間にいる何人かに挨拶しながら、二人は昨日と同じように部屋へ入っていった。

2018-06-05 23:18:48