タイトル未定(継続中)

りえぷぅ @riem124blue

1 Shota 安田「ありがとうございましたぁ！」 お辞儀をして職員室を出た。 午後の授業が始まり、生徒はみんな教室の中。 廊下はひっそりとしてる。 時計を見ると13時半を指そうという時間。 外に出ると見えたのは、真っ青の空。 安田「えーぇ天気やなぁ…。」

りえぷぅ @riem124blue

2 確か近くに公園があったはず…あぁ、あったあった。 こどもの笑い声にそれを見守るお母さんがベンチにひとり。 うん、あっこで食べよう。 彼女が作ってくれた弁当が入ってる鞄をちらりと見やった。 ベンチにゆっくり近づく。 あれ…？ その顔に見覚えがあった。 忘れる訳がなかった。

りえぷぅ @riem124blue

3 安田「…りっちゃん…？やない…？」 リナ「えっ…？…章ちゃん？！」 安田「うわっ…！やぁっぱそぉやー！！うわぁー！！(笑)」 リナ「えー！なんでこんなとこにいるのー？！」 思わず２人で声上げたら、遊びに夢中だった子どもたちがわーっと近寄ってくる。 子供「おじちゃん誰ぇ？」

りえぷぅ @riem124blue

4 リナ「ママと同じ歳なんだから、“おじちゃん”はやめて！“お兄ちゃん”でしょっ？」 安田「あはは！こんなちっちゃい子ーからしたら、おじちゃんもしゃあないよなぁ？こんにちはぁ～♪」 しゃがんで目線を合わせると、ニコニコ近寄って来る子と、恥ずかしそうにする子、それぞれ。

りえぷぅ @riem124blue

5 安田「え、待ってぇ？りっちゃん３人のお母さん？！」 リナ「残念でしたー！そこの小学校で上の３人はお勉強中でーす！」 安田「てことはぁ…６人？！」 リナ「そっ♪」 安田「まぁーじでぇ～？すごいなぁ！(笑)」 リナ「でしょ(笑)」 安田「今その小学校に行ってきたところやねん。」

りえぷぅ @riem124blue

6 子どもたちはまた走って遊びに向かう。 リナ「あー、お仕事で？」 安田「おん。」 リナ「それはそれは、お世話になっております～。」 安田「やめてや(笑)」 リナ「で？これからサボり？」 安田「なんでやねん(笑)休憩や。お昼まだやってん。」 リナ「あー、なるほど。お天気いいしねー？」

りえぷぅ @riem124blue

7 安田「そー、確か公園あったな、思て。」 リナ「あ、どーぞどーぞ気にしないで食べて？」 安田「はい、ほんなら頂きます(笑)」 鞄からお弁当を出して、早速食べ始める。 リナ「愛妻弁当ですか。」 安田「あー、まだ“愛妻”…ではないなぁ。」 リナ「そっか。まだ結婚してないんだ。」

りえぷぅ @riem124blue

8 安田「んー、まだやなぁ。」 リナ「＊＊が言ってた。かわいくてすごくいい子だーって。」 安田「ふはは、まぁなぁ。」 リナ「良かった、そんな人に出会えて。」 安田「一応気にしてくれてたとか？」 リナ「そりゃあーねー…例え一時だとしても愛した男が不幸になるなんてイヤだし。」

りえぷぅ @riem124blue

9 安田「ふは…そぉか…。」 俺もめちゃめちゃ愛してたなぁ…あん時は絶対立ち直れんと思った。 過去と言えるようになるんやなぁ…。 リナ「あっ、お仕事って、楽器屋さんだったよね？」 安田「おん、そーやで。」 リナ「ちょうど良かった！ウチのホテルでピアノ買いたいんだけど。」

りえぷぅ @riem124blue

10 安田「えっ！ホンマに？」 リナ「うん、チャペルとスィートルーム増設したのよね。そこに置きたいの。」 安田「えっ、もしかして２台？」 リナ「そっ♪」 安田「えっ、もしかしてグランドピアノ？」 リナ「当たり前でしょ！どぉ？お願いできる？」

りえぷぅ @riem124blue

11 安田「もちろんや～ん♪そんなん、喜んで～やわぁ！早速見積り出すで？」 リナ「助かる！(笑)あ、ついでに今あるピアノのメンテナンスも頼もっかな？調律？」 安田「おぉ、えぇ調律師行くで！」 リナ「じゃ連絡先教えて！名刺とかあるでしょ？」

りえぷぅ @riem124blue

12 安田「あるある！裏に俺の携帯も書いとくな……よし♪はい。」 リナ「あーありがと。じゃ改めて連絡するから！」 安田「ありがとうございます！(笑)」 リナ「じゃーそろそろ帰ろっかなー！あっ、間違っても彼女に“元カノに会った～”とか言わないのよ？」 安田「へっ？！なんで？！」

りえぷぅ @riem124blue

13 リナ「相変わらず…何でも馬鹿正直に言えばいいってもんじゃないでしょ！知らない方が幸せなこともあるんだから。」 言っても後ろめたくないような過去になってるて、今日確信したから、もし聞かれたらきっと正直に言うとこやったけどなぁ…。

りえぷぅ @riem124blue

14 リナ「大切なら、余計なことは言わない、余計なことはしない…浮気なんてもっての外だからね！」 安田「浮気なんかせぇへんよ～。知っとるやろ？俺一途やから(笑)」 リナ「んー…まーそっか…。じゃ、とにかくまた連絡するから、よろしくね！さっ、チビたち～帰るよぉ～！」

りえぷぅ @riem124blue

15 りっちゃんは大きなバッグを抱えて、子どもたちの所へ向かった。 子供「おじちゃん、バイバーイ！」 リナ「“お兄ちゃん”っ！！」 安田「あはは！バイバーイ！！」 あー、めっちゃカワイイ！ りっちゃんにはあんまり似てなかったな…ダンナさんに似てるんやろか…。

りえぷぅ @riem124blue

16 良かった…自然に話せて…。 やっぱ時間てスゴいねんなぁ…。 あんなに好きやったのに、今はやっぱり〇〇のことが１番大切やと思う。 安田「ごちそうさまでしたぁ。」 よし、仕事がんばろ！

りえぷぅ @riem124blue

17 Subaru 先日、とある会社から色んな種類の楽器修理をまとめて依頼された。 大変やったけど、やり甲斐はあるし、この仕事好きやし、気合い入れてやり遂げた。 そのお礼とかで来店した社長がウチの社長と談笑。 俺はヨコの隣で完全に聞き役。

りえぷぅ @riem124blue

18 横山「いや、コイツこんな愛想無いですけどねー？腕はめっちゃいーんですよ～♪」 社長「いや、素晴らしかったですよ。」 横山「こんなちっさな会社ですけどねぇ、こーゆーヤツがおるから俺はやってけとるんです。誰ひとり欠けてもアカンのですよ～♪」 ご機嫌やな…(笑)

りえぷぅ @riem124blue

19 まぁ、悪い気はせぇへんけど。 横山「いやいや！あちらさん機嫌よぉ帰って行きはったわ！はは！」 機嫌えーのはどっちやねん(笑) 横山「まぁ、また頼むで、すばる！」 俺の肩をバシッと叩くと、事務所に戻って行く。 俺は店の定位置へ。 ◇◇「ベタ褒めでしたね♪」

りえぷぅ @riem124blue

20 渋谷「あぁ…まぁ、当たり前の仕事しただけやし。」 ◇◇「あ～照れてる～！部長ってばカワイイ～♡」 渋谷「しばくぞ、コラ！」 ◇◇「きゃ～こわーい♡」 コイツの扱いにも慣れたもんや、俺(笑) ◇◇「あっ、□□！」 顔を上げると、彼女が俺らを交互に見て小さく手を振った。

りえぷぅ @riem124blue

21 あー、もぉそんな時間か。 今日は２人でいつもの居酒屋に行く約束。 いつものように先に仕事を終えた彼女が、店に顔を出した。 ◇◇と話をする彼女に目配せだけして、閉店準備を始める。 横山「すばる！今日…あ。」 事務所から出てきたヨコも彼女の姿を確認した。 横山「そぉか…。」

りえぷぅ @riem124blue

22 渋谷「すまん、先約や。」 横山「や…えぇねん。あ、シャッター閉めたらすぐ終礼するから。」 そう告げて事務所へ戻った。 やりかけの修理品や部品を片付けてシャッターを半分閉めると、彼女が隣にやって来た。 □□「じゃ、いつものとこで待ってるね？」 渋谷「おん。」

りえぷぅ @riem124blue

23 閉めかけのシャッターから彼女を外へ出すと、それを下までおろす。 そして終礼を終え、彼女の元へ。 居酒屋でそれぞれ好きなもん頼んでビールを流し込む。 あ～たまらん…。 そう、ここまではいつも通りやった。 「おぅ、渋谷、久しぶりだな？」 聞き覚えのある男の声。

りえぷぅ @riem124blue

24 渋谷「おぉ…先輩、お久しぶりです！」 もう過去のこと。 バレていないとはいえ、この人の嫁と男と女の関係だったって思い出すと…顔を合わせるのは気まずい。 彼女も…きっと覚えているんだろう…そんな顔した。 先輩「相変わらずこの店で飲んでんのか(笑)」 渋谷「まぁ、気に入ってるんで。」

りえぷぅ @riem124blue

25 先輩「彼女は…変わってないっぽいな？(笑)」 渋谷「勘弁して下さいよ(笑)」 先輩「ちょーど良かった、おまえに連絡しようと思ってたとこだったんだよ。」 渋谷「え？なんすか？」 ちょっと…緊張。 先輩「仕事のことなんだけどな？」 あぁ、仕事のことか…。