日本産キクラゲ類の分類について
- benitengunokai
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日本産キクラゲ類の分類に関する論文が公開されました.日本産“Auricularia auricula-judae”および“A. polytricha”の分子系統解析と形態比較に基づく分類学的検討 doi.org/10.18962/jjom.…
2018-06-11 20:05:57本研究の結果,日本でキクラゲAuricularia auricula-judaeとされていた標本を含む26 サンプルはA. heimuer,A. minutissima,A. thailandica,A. villosulaの4 種に同定され,A. auricula-judae s. str.は見られませんでした.
2018-06-11 20:05:58この結果は中国とロシアでの先行研究によって示されていた「A. auricula-judae s. str.はヨーロッパにしか分布していない」とする仮説を支持しますが,これについては北日本産サンプルや先行研究にて供試された標本などを用いたさらなる検証が必要です.
2018-06-11 20:05:58また,A. polytrichaとされていた標本を含む26 サンプル(うち2つは栽培系統)はA. corneaと同定され,A. polytricha s.str.やA. nigricans(=? A. polytricha)は見られませんでした.この結果は従来日本においてA. polytrichaとされてきた菌の中にA. corneaが含まれていることを示しています.
2018-06-11 20:05:58Kobayasi(1981)はA. corneaが南日本に分布している可能性について言及し,本種にナンカイキクラゲという和名を与えました.本研究の結果はこのKobayasiの予測を裏付けるものであり,A. corneaが日本において少なくとも関東以西沖縄まで広く分布することを示しています.
2018-06-11 20:05:59日本にA. auricula-judae s. str.やA. polytricha s. str.が分布しているのかどうか?日本産キクラゲ類の和名はどうするのか?については今後の課題です.おわり.
2018-06-11 20:05:59@Takashirouzu A. auricula-judae s. str.をセイヨウキクラゲとでもして、現行和名が保存される方がいいなぁ。A. auricula-judae s. str.は国内分布(今の所)してないようだし。
2018-06-11 22:32:24和名キクラゲは残すとして,じゃあどれをキクラゲと呼ぶべきかは難しい問題ですね.一応,科博にある小林義雄のA. auricula-judae標本は調べてみるつもりですが,最終的にはデータベース委員会等で決めていただきたいところです. twitter.com/sakumad2003/st…
2018-06-12 05:31:42@Takashirouzu まぁそこは扱った研究者の意向や総合判断も出していいとこでは、と思うけど。公式、非公式は問わず。
2018-06-12 07:42:52@sakumad2003 研究者としては学名まではデータに基づいて判断できますが,和名はいろいろな方のお気持ちが関わってくるので闇が深すぎて扱いきれません.特にキクラゲ類は商業利用されている種が含まれるため,その業界にも詳しい方にご判断いただきたいところ.例えば共著者の長澤先生とか.
2018-06-12 07:52:58@sakumad2003 例えば品種登録にがっつり関わってくる日本産アラゲキクラゲですが,仮に全てA. corneaだったとしても「今後ナンカイキクラゲと呼びましょう」とはならないかと.和名アラゲキクラゲ据え置きで学名をA. corneaに変更するのが最も混乱がないでしょうね.これは長澤先生のご意見ですが.
2018-06-12 07:58:09@sakumad2003 日本産キクラゲの方が厄介で,これはどこまで標本を掘っていっても明確な答えには行き着かなそうです.小林義雄の標本についてはある程度調べてみるつもりですが,さらに古いものに遡り始めるとかなり大変なことに… 最終的には学会等で“政治的に”決めていただくのがよいかと思ってます.
2018-06-12 08:11:05@sakumad2003 あと今回のサンプリングでは北日本産サンプルが不十分ですので,その辺も同時進行でカバーしていく必要はありますね.ただ,今のところヨーロッパからしか確実な分布が確認されておらず,中国と極東ロシアで“いない”とされている種が北海道にはいた,というケースはまあなさそうですが.
2018-06-12 08:16:44@Takashirouzu よく分かるけどさ、その役回りもいずれ代替わりするのよ。政治もね。その役割を軽減する仕組みとしてのデータベース委員会ということもその通り。でも、長澤先生的役回りはきっと残る。その時に小林義雄標本とか、安田篤標本とか、調べる研究史スタンスを持ってるのは大事だと思うよ。なので応援。
2018-06-12 08:20:57@sakumad2003 ありがとうございます.頑張ります.しかし歴史的に古くから知られている生物の和名を調べるのは大変ですねー.現生種や標本の調査に加え,古文書を繙く本草学的アプローチも必要になってきますね.
2018-06-12 08:26:36@Takashirouzu あれ?つぶやいたつもりだけどTLで見てると落ちてる??安田篤も菌類雑記でアラゲキクラゲとか書いてるよね。その引用標本は科博にあるんじゃない?
2018-06-12 09:10:22@sakumad2003 小林標本に加えて安田標本も一部調査する必要がありますね. TNSF標本リストでAuriculariaとHirneolaを確認しましたが,A. auricula-judaeはそれらしきものがありますが,A. polytrichaは見当たりませんね.植物学雑誌(26: 420)でも特定の標本は引用していないようです.
2018-06-12 09:28:35面白い課題ですね。周北極的に考えて、寒帯ー寒温帯の移行帯が保存されている場所が大陸にはあまり無いということかもしれないね。内陸は乾燥帯挟んじゃうから。熱帯ー暖温帯要素だと東アジアには移行帯があるけど、他の地域には無いということもある。植物でなく菌類ではどうか。いつかやりたい話。 twitter.com/Takashirouzu/s…
2018-06-12 08:34:18@yokuyama いつも食べてたアラゲキクラゲ,(和名にも優先権を認めるのならば)あれナンカイキクラゲやから! しかも厄介なことに元のA. polytrichaの学名自体が揺れているんですよ.インドがタイプ産地なんやけど,その実体がよくわからんのよね.アメリカ産の同種は別の学名になっちゃったし.
2018-06-12 08:34:26@yokuyama アラゲキクラゲA. polytrichaとナンカイキクラゲA. corneaは背側の毛の長さで(一応)見分けられる.一方,A. polytrichaと米産A. nigricans(元A. polytricha)は形態的に識別するのはほぼ不可能で,優先権的にはA. nigricansに軍配があがる.つまりA. polytrichaはシノニムになる可能性がある.
2018-06-12 08:42:26@Takashirouzu ああ、そんでインド産は正体不明やからA.polytrichaは消えちゃうかもしれないのね。インドで徹底的に標本集めなきゃ。
2018-06-12 08:45:02