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「昭和恐慌の研究」史観は正しいか?-『平成大停滞と昭和恐慌』を中心に-

『平成大停滞と昭和恐慌』を読み返してたので、それの感想と疑問点をまとめた。本当は本丸である『昭和恐慌の研究』をやるべきだが、再読中なのでそれはいつかまた.....
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Finch @omotesando24ji 2018-05-31 08:48:16
田中秀臣・安達誠司『平成大停滞と昭和恐慌』(NHKブックス) 読了 15年前の2003年に出版された本だけど、現在から見るとかなりツッコミどころがあると思うので、後出しジャンケンにならない程度で、それを検証して綴っていく。今回は財政出動の記述について。
Finch @omotesando24ji 2018-05-31 08:48:17
この本では、リフレ政策を「インフレターゲット付き量的緩和」(P.124)といった拡張的な金融政策と定義しており、「政府通貨発行益を利用した減税や社会保険料等の見直しの組み合わせ」を補完的な政策としている。
Finch @omotesando24ji 2018-05-31 08:48:17
平成デフレ不況の処方箋として「デフレ・ギャップを解消するような金融政策と中立的な財政政策(P.63)」が推奨されており、財政は飽くまで中立が条件とされている。財政出動に関してはOECD加盟国でチェコに次ぐ第二位の「巨額な」財政赤字(P.87)を理由にネガティブな評価がされている。
Finch @omotesando24ji 2018-05-31 08:48:17
財政政策をやるにしても、もっぱら減税が推奨されており、財政出動に関しては、積極的な評価がされていない。矢野浩一先生によるとリフレ派は財政出動を否定してないらしいが、本書を読む限り、安達・田中コンビはかなり消極的だと云える。以下引用
Finch @omotesando24ji 2018-05-31 08:48:18
“このような超積極財政を、(中略)OECD加盟国の中ではチェコ共和国に次ぐ第二位の財政赤字を記憶している我が国で実施しようとしても、政治的な支持は得られにくいだろう。(P.87)”
Finch @omotesando24ji 2018-05-31 08:48:18
“但し、現在の財政赤字の状況では、デフレを払拭させるような大規模な財政出動は到底不可能であると考えられるため、やはり昭和恐慌当時と同様に「中途半端」な財政出動にならざるを得ないだろう。(P.167)”
Finch @omotesando24ji 2018-05-31 08:48:18
安達・田中は、本書が書かれた当時、財政支出の乗数を約1.2程度と見積もっており、実質GDPベースで約100兆円以上の追加財政支出が必要と計算している。(P.86~P.87)
Finch @omotesando24ji 2018-05-31 08:48:19
しかしながら、クルーグマン「さっさと不況を終わらせろ」で書いていた通り、世界同時不況後の研究において、ゼロ金利下では財政支出の乗数は絶大であると報告されている。現時点で評価すれば、本書での財政支出の乗数の見積もりは過少評価であったであろう。(尤もこれは完全な後出しジャンケンだが)
Finch @omotesando24ji 2018-05-31 08:48:19
例えば、Auerbach & Gorodnichenko “Measuring the Output Responses to Fiscal Policy” nber.org/papers/w16311.… アントニオ・ファスタ 「過小評価された財政乗数」 econdays.net/?p=7183 (リンク切れ。以前は道草に翻訳があったらしい)
uncorrelated @uncorrelated 2018-05-31 10:20:03
線形近似を行なうからゼロ金利での乗数は過大に推定されている云々と言う議論もあって、結論が出ているわけではないことには注意しましょう。 twitter.com/omotesando24ji…
Finch @omotesando24ji 2018-05-31 10:22:53
@uncorrelated どもども。ありがとうございます。
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:30
『平成大停滞と昭和恐慌』へのツッコミを向井文雄先生の『日本国債のパラドックスと財政出動の経済学』を引用しながら書いていこうかと思う。なお向井先生には引用許可を頂き、それについて、この場を借りて感謝を述べる。
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:31
①問題ある図4-4 本書では、P.88の図4-4の「米国大恐慌前後の消費者物価上昇率と財政収支の推移」からニューディール政策では大恐慌からの回復において、金融政策が主で財政政策は従と結論付けているが、36-37年における巨額な退職軍事年金の一時金支給が抜け落ちている。
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:31
「日本国債のパラドックスと財政出動の経済学」(2013)のP.40の図1より 以下において書籍から引用する場合、向井先生の書籍は向井[2013]、安達・田中「平成大不況と昭和恐慌」を、安達・田中[2003]と表記する。図表はシェイブティル氏のHPから孫引き。d.hatena.ne.jp/shavetail1/201… pic.twitter.com/qAAUjvKow0
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Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:31
これは向井先生の独自研究ではなく、クリスティーナ・ローマーも同じ見解を持っている。 クリスティーナ・ローマー「大恐慌から得られる今日の政策への教訓」(2013年3月11日) econ101.jp/%E3%82%AF%E3%8…
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:32
引用(長いのでスクショ) “(退職軍事年金)手当は巨額でした.支給された総額は,年間GDPの約2パーセントにのぼりました.そして,実際にこれを受け取った320万人の退役軍人にとって,これは大金でした。” pic.twitter.com/6kjLgq7ZZt
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Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:33
もっとも、この事実は、大恐慌研究の本場であるアメリカにおいても忘れ去られていた事実であり、安達・田中のこの本が書かれたのは2003年、「STAP細胞騒ぎではないが、不正な操作とも受け取られかねない問題がある」(向井文雄)と論ずるのは酷だと個人的に思う。
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:33
引用(スクショ) “私のお気に入りの証拠が1つありまして,米国在郷軍人会によってなされ,長らく忘れ去られていた研究が出典です.この研究では,在郷軍人会のメンバーに「手当でなにをする予定か」と直接に質問しています.” pic.twitter.com/YnyWf7Hwj4
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Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:34
従来の大恐慌研究で、大恐慌からの脱出において金融政策が主導的な役割を果たしたと結論付けられていたが、昨今の研究においては財政政策の再評価はされているとローマーは論じている。
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:35
以下、引用(スクショ) “まずは財政政策からはじめましょう.政府支出・税の変化が景気回復のツールとしてどれほど効果的なのかについて,1930年代の教訓からどんなことが学べるでしょうか? こうまとめましょう:【財政政策は試してみれば機能する】” pic.twitter.com/hOHGNVY92K
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Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:35
ミルトン・フリードマンは「大収縮を終わらせたのは金融政策だが、大恐慌を終わらせたのは第二次世界大戦だ。」とこの本のインタビューで言っていたな。(うろ覚え) 大恐慌を見た経済学者11人はどう生きたか amazon.co.jp/dp/4502653101
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:36
向井[2013]では大恐慌研究の変遷について以下のように整理されている (P.34)
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:36
①1930年代~1960年代 ケインズ経済学が隆盛であり、大恐慌からの回復はニューディール政策に伴う財政出動の成果と考えられていた。
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:36
②1970年代~2000年代 マネタリズム、新古典派経済学の隆盛と共に、財政政策は否定され、金融緩和政策の効果及びその後の戦争特需の効果によるというのが通説となった。これはフリードマン=シュウォーツ「大収縮」の影響。
Finch @omotesando24ji 2018-06-05 06:35:36
大恐慌研究において、「何が大恐慌を終わらせたか?」は、財政政策から金融政策を経て再び、財政政策に戻った感がある。 今日はここまで!
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