佐藤正美Tweet_20180501_15

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佐藤正美 @satou_masami

「人間の生活を一番よく知っている人が一番立派な文学作家なのだ。私はもうそれを信じて疑わない。他はみんな附けたりだ。それでなくて何が文学というものが面白かろう。文学だと思って読まなければ面白くないような文学は私はもういらない」(小林秀雄、「批評について」)。

2018-05-04 19:49:40
佐藤正美 @satou_masami

「この世を如実に描き、この世を知りつくした人にもなお魅力を感じさせるわざを、文学上のリアリズムと言う。これが小説の達する最後の詩だ。文学上のリアリズムについて、いろいろ異なった解釈があるような事を言うものもあるが、恐らく巧みな嘘にすぎないのである」(小林秀雄、「批評について」)。

2018-05-04 19:53:47
佐藤正美 @satou_masami

私は、たぶん、文学を「作家が己れの精神を晒した自叙伝」として読んでいるのかもしれない――作品(小説)が たとえ 巧みなフィクションであっても、作家が制作するするからには、作家の精神の中で産まれるので。

2018-05-04 19:57:35
佐藤正美 @satou_masami

勿論、作品は制作物であるので、作品に綴られている事を そのまま作家の思想であると速断するほど私は呑気じゃない、作品の魅力は、作家の視点(主題)・構成力そして「文体」に存するでしょうね。「文体」が作品のすべてを包んで作家の人生観(人生をみつめた思い)を物語る。

2018-05-04 20:01:44
佐藤正美 @satou_masami

職業的作家が物する文と われわれが綴る文との究極の相違点は、「文体」に存するのではないかしら。そして、「文体」は「自分を凝視した」極際で工夫されるのではないかしら。

2018-05-04 20:04:23
佐藤正美 @satou_masami

したがって、文学は余暇にできる嗜み事じゃない。そして、文学に専念しても費やした労力に見合う報酬を入手できる訳でもない。そんな文学に魅惑されるという事には、一体、どういう事由があるのか――「文体」が伝える「理屈のない魅力」、それが文学の魅力なのでしょうね。

2018-05-04 20:09:30
佐藤正美 @satou_masami

文学作品が私を揺すぶっても、私の生活の中で具体的な反響(形、かたち)が直ちに顕れる訳じゃない。しかし、作家の精神に感応すれば、私の精神の上に なにがしかの波紋(うねり)が拡がるのは確かです。

2018-05-04 20:15:04
佐藤正美 @satou_masami

したがって、文学作品を読んだ後の私は以前の私に止(とど)まることはない。唯々、作品に運ばれてゆくのみ、「文学だと思って読まなければ面白くないような文学は私にはもういらない(小林秀雄)」。そして、作家の体温(文体)を感じられない作品に私は惹かれない。

2018-05-04 20:18:58
佐藤正美 @satou_masami

「僕は幽霊の正体をみよ、と言うのではない。要らざる幽霊をでっち上げるな、と言うのだ」(小林秀雄、「文学界の混乱」)。

2018-05-12 12:04:48
佐藤正美 @satou_masami

「弥次馬のこしらえた幽霊を分析して、枯尾花を見せてくれたり、『非常時』を見せてくれたりして一体誰が感心する。ましてやこの幽霊、実は弥次馬のこしらえたものではなく、どうやら当の批評家が知りつつ便宜上発明したものと疑えるに至っては沙汰の限りだ」(小林秀雄、「文学界の混乱」)。

2018-05-12 12:10:39
佐藤正美 @satou_masami

そして、でっち上げられた「概念」群が一人歩きして「様々な意匠」を纏(まと)う――あたかも、そういう事物が実存するような錯覚を生ずる。

2018-05-12 12:12:39
佐藤正美 @satou_masami

あるがままの世界を見てたまげて、「それがそうある事態」を考えるのであれば「概念」も地に着いた思考の手立てになるでしょうが、他人が拵えた「概念」を験証しないで、「概念」を多量に脳味噌に貯蔵しても知的愛玩物(あるいは、「がらくた」)が山積みされた状態でしょうね。

2018-05-12 12:15:52
佐藤正美 @satou_masami

「概念」を持つこと自体は悪いことじゃない、それは一つの「意味」を持つことだから。しかし、その「概念」が「真」であること(あるいは、実感であること)を証明しなければ――論証して具体例を示さなければ――、自分の意見を構成する(身になった)概念にはならないでしょう。

2018-05-12 12:19:34
佐藤正美 @satou_masami

「論証する」ということは、その「概念」が使われる文脈がある、ということです。そして、その文脈とは、その人の生活空間でしょうね。

2018-05-12 12:21:00
佐藤正美 @satou_masami

「概念←→言語←→現実」という関係の中で、頭のいい一人が「現実を総括する『概念』」を示せば、他の人たちが寄ってたかって その「概念」を演繹して様々な意匠を纏った「概念」が増殖する。

2018-05-12 12:24:48
佐藤正美 @satou_masami

「迷ひをば意念のなせる業(わざ)成(なれ)ど、教ゆる者も意念なりけり」(「ぬれほとけ」)(「近世色道論」、日本思想体系 60、岩波書店)。

2018-05-12 12:30:49