【ダージ・フォー・ネオサイタマ】♯2

ニンジャスレイヤーの二次創作小説です。
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J0SHUA @kj0shua2112

【ダージ・フォー・ネオサイタマ】 #2 #josh_txt

2018-06-21 20:52:09
J0SHUA @kj0shua2112

(これまでのあらすじ:フィルギアはエーリアスとフジキドに、ネオサイタマで相次ぐ失踪事件と、それに関連していると思われる”オバケ屋敷”の情報をもたらした。フジキドは微かなニンジャの予感を辿り、その場所へと向かう……) #josh_txt

2018-06-21 20:51:35
J0SHUA @kj0shua2112

ネオサイタマ、ウシミツ・アワーの月明かりが、やや異様なアトモスフィアを放つ洋館の前に立つ、同じく奇妙な三人の姿を微かに照らし出す。女、男、女。「とうとう来ちまった……」「ウム」一番小柄な女と一番大柄な男、エーリアスとフジキドの声が闇に響く。周囲に街灯は殆どない。 1

2018-06-21 20:53:08
J0SHUA @kj0shua2112

「私も独自に情報を探ってみたけど、ここ最近のネオサイタマで起きた行方不明事件の中で、何件かはこの周辺2kmに集中しているわね」ハンドヘルドUNIXの画面の明かりが、残る一人の女、ナンシーの顔をぼうっと照らし出す。「で。ここがそのホラーハウスって訳?」 2

2018-06-21 20:56:19
J0SHUA @kj0shua2112

「ヴァンパイアやウルフマンの話は小さい頃から知ってるけど、何だかまるでカートゥーン……そういえば、あなた達も一応伝説めいた存在だったわね」ナンシーはいたずらっぽく笑う。なにおう、とエーリアスが応えた。「俺たちが本気出せばオバケなんてベイビー・サブミッションだぜ、実際」 3

2018-06-21 21:02:39
J0SHUA @kj0shua2112

「アンタはどうなんだ?オバケが怖くて泣きついてきても……知らねえからな」「私は恐怖よりもジャーナリストとしての好奇心のほうが勝るかしら。それに、私にもこのタリスマンがあるわ」ナンシーが指さす先には、サイバースーツのホルスターの中で月明かりを受けて鈍く光るデリンジャー。 4

2018-06-21 21:06:32
J0SHUA @kj0shua2112

「ゴーストの1匹2匹ならなんとかできるわ。でも相手が実際ニンジャだったら、そのときはお願いね」言うや否や、ナンシーは特派員の偽装腕章を付け、フラッシュライトを洋館玄関に向けた。「時刻はウシミツ・アワー。現在、我々は謎の失踪事件が相次ぐと噂になっている洋館前に来ております」 5

2018-06-21 21:09:41
J0SHUA @kj0shua2112

イチロー・モリタ特派員もまた腕章を付け、担いだカメラでナンシーの様子を撮影し始めている。((なンだろね))二人からのアイコンタクトを受けたエーリアスは、左手人差し指をこめかみに当て、周囲のスキャンを行うとOKサインを出した。その腕にもまた、特派員腕章が付けられている。 6

2018-06-21 21:12:45
J0SHUA @kj0shua2112

「それでは潜入を開始したいと思います。気をつけて進みましょう……」「ナンシー=サン、ところで今回のコレって許可とかは」「もちろん取ってあるわ。当然よ」ナンシー・リー報道特派員はハッキングによって得た偽装許可証を提示した。エーリアス特派員は渋い顔でそれを改めた。 7

2018-06-21 21:15:40
J0SHUA @kj0shua2112

ナンシーはカメラに向かって語り続ける。「慎重に行くわよ。今回もインパクトのある映像が撮れるかも……」3人の特派員は、それぞれの使命感に燃えながら館の玄関を開き、中へ足を踏み入れていった。雲の切れ間から顔を覗かせるドクロめいた月が「インガオホー」と呟いた。 8

2018-06-21 21:18:50
J0SHUA @kj0shua2112

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2018-06-21 21:23:08
J0SHUA @kj0shua2112

玄関は外観よりも更に広い印象を与えるものであった。左右に廊下が伸び、上へと続く階段もある。かつてエントランスの高い天井から吊られていたであろう大きなシャンデリアはいまやホール床に突き刺さり、 砕け散らばったガラス破片のキラキラとした輝きが三人を出迎える。 10

2018-06-21 21:24:04
J0SHUA @kj0shua2112

「オジャマシマス……やっぱり誰もいないみたいだな」周囲のクリアリングをすばやく終えたニンジャスレイヤーとナンシーもやや警戒を解く。「ただのヤンクのたまり場にしては、不穏なアトモスフィアね」ナンシーはフラッシュライトをあちこちに当て、モリタ特派員に撮影すべきポイントを伝える。 11

2018-06-21 21:25:50
J0SHUA @kj0shua2112

「エーリアス=サン。オヌシは何か感じぬか?」エーリアスはこめかみに人差し指を軽く当てながら応えた。「今の所、何も……ッ!」エーリアスがまず反応し、続いてニンジャスレイヤー、ナンシーが得体の知れぬ気配に驚き辺りを見回す。ZGGGGG…… 12

2018-06-21 21:28:49
J0SHUA @kj0shua2112

地鳴りめいた音、振動。地面のシャンデリアが不気味にシャラシャラと音を立てる。恐らくここをたまり場にしたヤンクの残したゴミであろう、タノシイドリンクの空き瓶がひとりでに階段から落ち、三人の足元の方へ転がってきた。「ポルターガイスト……ずいぶん歓迎されてるわね」 13

2018-06-21 21:31:01
J0SHUA @kj0shua2112

ナンシーはやや怯みながらも、歩みを止めず奥へと進んでいく。フジキドはその後に続きつつ、何気なく足元に転がる瓶を拾い上げた。よく見ればそれはかつてトチノキが使っていたものによく似た哺乳0100110「ニンジャスレイヤー=サン!」 14

2018-06-21 21:34:46
J0SHUA @kj0shua2112

フジキドはエーリアスの声で我に返った。手の中の瓶はタノシイドリンクのものに戻っていた。「どうしたんだよ、ドリンクの瓶なんか見つめて。……大丈夫か?」エーリアスはフジキドのやや平常と異なるアトモスフィアに気づいた。 15

2018-06-21 21:39:02
J0SHUA @kj0shua2112

「……問題ない。先へ進もう」ニンジャスレイヤーは瓶を捨て、二人に悟られぬよう、手の汗をトレンチコートで拭った。タノシイドリンクの瓶は、カラカラと嘲笑うような乾いた音を立てながら、暗がりの中に消えていった。 16

2018-06-21 21:42:03
J0SHUA @kj0shua2112

……その後三人は順番に部屋を改めていく。時折扉の内側から飛び出してきたバイオネズミやバイオコウモリがエーリアスを怯えさせたが、最初に感じた異常な現象自体は鳴りを潜めていた。 17

2018-06-21 21:45:53
J0SHUA @kj0shua2112

「これで調べた部屋の数は大体半分。油断は禁物よ」「ウム……」だがナンシーやフジキドの声色にはわずかながら余裕が取り戻されていた。「……」「どうした、エーリアス=サン。何か感じるか」「いや、なんて言うか……」 18

2018-06-21 21:48:53
J0SHUA @kj0shua2112

エーリアスには暗い部屋の中、彼女を心配する二人の視線を感じる。そして、それ以外の”モノ”も。人の気配は無い。だがエーリアスは肌に感じていた。出処も数もはっきりしない、それでいて、こちらの心の底を見透かしてくるような輪郭のない害意を。 19

2018-06-21 21:52:05
J0SHUA @kj0shua2112

三人がエントリーしたのは書斎めいた部屋である。机に飾られたフクスケや花瓶がかつての家主の裕福さを語り、その上に積もる埃は家主が去って過ぎた時間の長さを語る。「いくつかの家具は最近動かされた形跡があるようね」ナンシーとフジキドは手分けして部屋の中を照らし、撮影を続ける。 21

2018-06-21 21:58:13
J0SHUA @kj0shua2112

エーリアスは伏せられた写真立てを手に取り、中の写真を見た。父親と母親らしき大人。二人の周りには息子や娘と思しき何人かの子供。だがそのうちの一人の顔は、何故か黒いもやがかかったようにあまりはっきりと写っていない。 22

2018-06-21 22:00:56
J0SHUA @kj0shua2112

((ここに住んでた家族か……?))エーリアスが写真をもう一度よく見ようとしたその瞬間、彼女は背後から一際強い視線を感じ、思わず振り返った。部屋の入口付近に、赤い服に身を包んだ少女が立っていた。年の頃は7,8才。髪は長く、その表情は伺い知れない。 23

2018-06-21 22:03:01
J0SHUA @kj0shua2112

エーリアスは二人の特派員の方を振り向いた。「オイ、ニン……」ニンジャスレイヤー=サン。こんな所に女の子がいるぞ。だがエーリアスがその言葉を発する前に彼女は床に引き倒された。何者かが猛烈な力でエーリアスの足首を掴んでいる!「アイエエエ!」 24

2018-06-21 22:06:13