モズの提案により彼女に身柄を引き渡されることとなったリョーは血のジュセーに連れられ、メッセージで指定された座標へとやってきた。「誰も……いませんね」「いいえ、もう来ている」「えっ」反射的な回避動作。直後、リョーの立っていた地面が弾ける!1 #e7Ltx
2018-06-17 17:26:36「初めまして」重い黒槍の一閃。それが火のリョーと木のモズのファーストコンタクトであった。「ぬん!」「うわぁ!」続けざまに振るわれた黒槍を炎の壁が爆砕し、追撃の手を失ったモズは急速後退する。「処断は保留では?」ジュセーは苛立ちを隠さずモズへと物申した。2 #e7Ltx
2018-06-17 17:28:22「私闘は制限していない。なんなら君も、彼女を痛めつけるなら今のうちだぞ」「僕のやり方では取り決めに障る。わざとそうしたな、アンタ」獲物を狙い合う二者の視線が交差し、剣呑な雰囲気が辺りを包む。「あの」リョーはおずおずとその中へ歩み出た。「わたし、これからどうしたら」3 #e7Ltx
2018-06-17 17:29:48「ぬん」もずさんこれ時々言いますもんね。そして一応は上司のはずのモズを“アンタ”呼ばわりするジュセーくんとの関係性いい… 2、3 #e7Ltx
2018-06-17 22:58:27きょとんとした表情を浮かべたモズだったが、すぐに鋭い歯を覗かせて微笑んだ。「君は私が預かる。やってもらうことがあるでな」「はい」「ジュセー、君は座標852で土のイルマと合流しておくれ。大仕事だ」ジュセーは『やれやれ』といった様相で頷き、風のようにその場を去っていく。4 #e7ltx
2018-06-17 17:33:10かくしてリョーはモズに連れられ、樹海の奥へと足を進める。木陰から現れたオールド・キティが、黒槍の残骸を拾い集めていた。5 #e7Ltx
2018-06-17 17:36:45「早速だけど、まずはこれね」モズの拠点でリョーが与えられたのは、大量の木材であった。「木炭を作ってもらいたい。火の管理が大変でね、加減を覚えるにもいいだろう」「わかりました!」思いのほかまともな鍛錬法を提案され、リョーの心はにわかに燃え上がる。6 #e7ltx
2018-06-17 17:38:01「もうダウンか」肉塊を見下ろす。ジュセーはイルマの下で諜報任務にあたっていた。「あんまりおもしろくないな」オオトリが何かを蹴り転がし、暗闇に水音。数人のインタビューで得られた情報はそれなりに大きなものだ。魔獣と暗黒売買……センダイン炎上の火元は一つではなかった。10 #e7Ltx
2018-06-17 17:43:23「うわあやってるねえ。仕事熱心もほどほどに……ってのは話が違うか!ガハハ!」イルマがゆったりと入室しかけて後ずさる。「ああすみません、今そちらに」彼女は趣味は異なれど話の通るよい上司だ。獲物の争奪もなく好き勝手できる部分はオオトリ・ジュセー共に認める美点であった。11 #e7Ltx
2018-06-17 17:49:38