水の神殿。まどろむミヤコのフートンに、何かが入り込んでくる。それはミヤコの背中にぴたりと寄り添うと、その首筋に鋭い牙をあてがった。「モズ……今度は私を外へ連れ出しに来ましたね?」「ありゃ、起きてた」侵入者、もといモズは口を離すと、仰向けに寝転がった。1 #e7Ltx
2018-06-18 20:36:29「許しませにょ」モズを捕まえ馬乗りになったミヤコは、その身を隠すことも忘れモズの首に手をかける。全てモズのせいだ。「いい眺めだね」「黙っててください」手に力が篭ってゆく。2 #e7Ltx
2018-06-18 20:38:15「私ばっかりこんなにして。たまにはお返しだってするんですよ?」モズは答えない。狡猾な女だ。まるで「殺していいよ」と言わんばかりの柔らかな笑みが、ミヤコの心をざわめかせる。3 #e7Ltx
2018-06-18 20:41:43「君がいないとダメなんだ」ミヤコの左腕に、モズの鋭利な爪が食い込む。「また、そういうこと、言って」稚拙で危うい感情表現。モズはミヤコの腕を強引に引き寄せると、滴る血を啜った。4 #e7Ltx
2018-06-18 20:43:47「ひゃー……」「あんまり見ないほうがいいかも」寝室の外で待機するのはリョーとネコだ。少し離れたところにコセンもいる。「こういうの、痴情のもつれって言うんですかね」「勘弁してくれ」金髪緑眼、胸部を除いて同じ容姿の二人の関係は、コセンには頭痛の種のようである。5 #e7Ltx
2018-06-18 20:46:03実は初期ミヤコは青目だったんですよね…でもある時もよさんが描いてくれたミヤコ表情集から緑目になり…結果その後うまれたもずとはなんか同一の色設定になった…のがこうして文章にしてもらえるのなんだかうれしい… #e7Ltx pic.twitter.com/Wtp4posnkh
2018-06-18 22:53:44そうこうしているうちにミヤコがよろよろと服を着始め、リョーとネコは慌てて扉を離れる。「センセイ、出立ですか」「たまには外に出ないと鈍ってしまいますからね。仕方なくです」「あはは……」ふくれっ面のミヤコに対して、共に出てきたモズは心ここにあらずといった表情だ。6 #e7Ltx
2018-06-18 20:48:59「口に血がついてますよ。拭いたらどうなんですか」「ぉう」モズの塩対応が神経を逆撫でしまくるのか、威圧的なミヤコにはネコもコセンもタジタジだ。「モズさん?」「……ん?」何か考え事だろうか。リョーはその血がどちらのものか訊きかけて、やめた。7 #e7Ltx
2018-06-18 20:51:13モズは思考を巡らせる。ミヤコの血から読み取った直近の記憶映像──そこに映りこむ不穏な人物。『ミヤコミヤコ。あなたのラヴァーに"お返し"をしてみませんか?』"宴"のイツキ。姿を見れば事件が起こる、それはまさしく凶兆に他ならなかった。8 #e7Ltx
2018-06-18 20:53:30センダイン地下中枢。イルマ一行はシバレリアに蠢く暗黒教団"スカット"のアジトを発見した。しかし爽快感ばかりを求める哀しき集団の抵抗は激しく、魔獣を解き放たれてしまう。よりにもよって民を巻き込む恐れのある危険な場所で!10 #e7Ltx
2018-06-18 20:57:35