- kj0shua2112
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(これまでのあらすじ:ネオサイタマで頻発する失踪事件、その元凶の屋敷にたどり着いたニンジャスレイヤー一行。エーリアス、ナンシーと共に内部を探索するが、不可思議な現象によりナンシーとエーリアスはそれぞれフジキドから分断されてしまう) #josh_txt
2018-06-22 20:52:16「ヤバイな……どうするか」エーリアスは呼吸を整え、暗い部屋の中でひとりごちる。幸いにして、エーリアスを二人から引き離した存在はそれ以上彼女に直接的な攻撃は加えてこないようであった。だがドアは固く閉ざされ、エーリアスはおろかニンジャスレイヤーの力でもびくともしない。 1
2018-06-22 20:54:44加えて先程の怪異との接触時に、エーリアスは相手のニンジャソウルを強く感じ取っていた。エーリアスのカラテは弱く、単独行動は不向きだ。まず戦力の分断に出た敵は狡猾で、油断ならぬ相手であるとみて間違いないだろう。「とりあえずこの部屋から出る方法を考えるか」 2
2018-06-22 20:58:10エーリアスは部屋を見回し、備え付けの窓に歩み寄った。幸い、鍵はかかっていない。窓を開け、外を見る。一瞬、このまま地面に降りて逃げることも頭をよぎったが、エーリアスは首をぶんぶんと振ってその考えを振り払う。((しっかりしろ俺!二人を助けねえと)) 3
2018-06-22 21:05:39外壁には梁が渡されている。((窓伝いに隣の部屋に行ってみるか……?))エーリアスは意を決し、窓枠から身を乗り出すとニンジャバランス感覚を駆使し、外壁の梁に足をかけ、そろそろと進み始めた。 4
2018-06-22 21:09:40エーリアスの身体は比較的小柄である。それでも木製の梁が不穏な音を立てると、彼女は思わず下を見てしまい、その度に目をぎゅっと瞑ってみたり、深呼吸をしたりして恐怖を打ち払う。((しっかりしろ、ニンジャだぞ)) 5
2018-06-22 21:12:09((もう少しで隣の窓だ、ここで手を伸ばせば……))エーリアスが窓枠に手をかけようとしたその時である。CRACK!エーリアス足元の梁が突如破砕!彼女が伸ばした手は窓枠に届くこと無く虚しく空を切り、エーリアスはそのまま自由落下!「ウワーッ!」 6
2018-06-22 21:17:38「アイエエエ!」エーリアスは3階の高さから地面に叩きつけられる!エーリアスのカラテは弱く、ウケミもままならぬ!「グワーッ!」だが幸い地面の芝がわずかながら衝撃を吸収したか、エーリアスは腰をさすりながら四つん這いになり、起き上がろうとした。 7
2018-06-22 21:21:02「イテテテ……何だってんだ。さっきと言い、どうなってやがる」エーリアスは地面についた己の手に目をやった。芝生の011感触が歪00001コンク010リート0101雨10010101「オイ0010どうなっ001010 8
2018-06-22 21:25:34((……SHIT。ウカツだったわ。エーリアス=サンだけでなくニンジャスレイヤー=サンとまではぐれるなんて))意識を取り戻したナンシーは己の状況を整理する。自分はエーリアスを追っている最中に床が抜け、落下。上階は瓦礫で見えない。衝撃で身体はやや痛むが骨は無事。 10
2018-06-22 21:32:58そして問題なのは、瓦礫に身体が挟まっており、自力での脱出は困難という点だ。カメラは書斎に置かれたままだろう。フラッシュライトも紛失してしまった。ナンシーの首筋に、豊満なバストに、汗が滲む。「いよいよもって呪いめいてきたわ。あるいは……」ニンジャ。 11
2018-06-22 21:38:42先程までの出来事を考えればその可能性は非常に高く、ニンジャスレイヤーと引き離された今、それは非常に危険な状況を示唆する候補である。流石のナンシーも悲観的になりはじめたその時。……少しずつ、上から瓦礫を取り除く音が聞こえ始めた。 12
2018-06-22 21:43:23徐々に明かりが見え始め、身体が楽になっていく。ナンシーは当然ニンジャスレイヤーが彼女を助けに来たのだと予想した。「……オイ、大丈夫か!しっかりしろ!」だが、その声の主は、彼女の予想を超える人物であった。「まさか、こんな所で再会できるとは。しぶとくて何より」 13
2018-06-22 21:46:34ナンシーを瓦礫の中から助け出した無精髭の男は、彼女を引き起こして立たせると、芝居がかって額の汗を拭う仕草をした。「特ダネあるところに名ジャーナリストあり。実際俺たちは、相変わらずこんな生き方をしてる訳だ」「あなたは……?」ナンシーは男に問いかけようとした。 14
2018-06-22 21:49:10しかし、彼女は言葉を続けられなかった。何かニューロ011ンにローパスフィルタがかか011010ような感覚。「一緒に来てくれ。アマクダリ・セクトをひっくり返せるかもしれない大特ダネがあるんだ」ナンシーは言われるまま、男に手を引かれ走り出す。 15
2018-06-22 21:51:09未だ残る落下の衝撃と救出された安心感によって鈍化した思考の中で、ナンシーは目の前の男の手の温もりと、男が提供するという情報の未知なる価値への期待に包まれていた。危険は去り、ジャーナリストとしての成功の未来が待っている。 16
2018-06-22 21:52:22((ニンジャスレイヤー=サン。私は腐ってもジャーナリスト。どうやら私には、私にふさわしい戦い方がまだできるみたいなの。もう一度だけチャンスが巡ってきた。アマクダリを倒すために、お互いにベストを……))ナンシーの思考は柔らかな光の中に溶けていく。 17
2018-06-22 21:55:00ナンシーの手を引く男が走りながら後ろを少し振り返る0110010ナンシーは男と目が合った。優しげで細い目。ナンシーにとってよく知った特徴的な10101よく知った?ナンシーの心に不意に微かな疑問が生まれた。 18
2018-06-22 21:57:41その輪郭が徐々にはっきりしていくにつれて、腰に仕込まれたデリンジャーが、少しずつ重みを増すように感じられた。「ナンシー=サン。ここだ。この場所こそ俺達の切り札だ」先程まで自分たちを包んでいたように感じられた光はいつの間にか消えようとしていた。 19
2018-06-22 22:00:15二人がたどり着いたのは病室めいた冷たい空間だった。目の前には緑色のリノリウム床と、一見して不潔そうな手術台。脇には、メスの類や様々な薬品瓶、注射器。その全てが、まだ乾ききらぬ血の跡で覆われている。ナンシーは思わず顔をしかめた。 20
2018-06-22 22:03:04「実際、ネオサイタマのど真ん中に怖い怖いオバケ屋敷だなんてカートゥーンめいてるよな。あるいは質の悪い迷信。だけど失踪者がこれほどまでに相次いでいるとなれば話は別だ」ナンシーはこの声の主を、この細い目の持ち主をよく知っていた。 21
2018-06-22 22:05:32男はナンシーに背を向け、なおも語り続ける。「知ってるよな?ネオサイタマでは人身売買が当たり前のように横行している。マケグミやらビズで虎の尾を踏んじまったサラリマンやらを拾ってきて、臓器を違法に摘出。カネモチの爺様たちの余命を1年2年伸ばすお役に立つんだとよ」 22
2018-06-22 22:07:20「ここで消えた連中もそういう事なんじゃないかと踏んでる。ここは違法臓器ブローカーのアジトで、可愛そうな人達はオバケにさらわれてハラワタを盗まれちまったって寸法だ」「……ホゼ=サン」 23
2018-06-22 22:10:43