- rshibasaki
- 9166
- 16
- 1
- 1
誤解のなきようお願いしたいのだが、「安全保障」はたしかに人間心理の問題で、究極的には我彼が「どう感じるか」が問題。よって、拡大解釈してしまえば「すべては人間の心理というソフトの問題」→「ソフトのみが重要」ということになりがちだが、人間が物理界に生きている以上はハードの制約を受ける
2011-04-13 01:29:09そしてそのような人間の行動に制約をかけるハードの問題を忘れるな、というのが(古典)地政学の役割だと私は解釈しております。
2011-04-13 01:30:35アメリカでは、ナチスの地政学(ゲオポリティーク)の人種差別的な匂いに対する嫌悪感や、自国の人種問題および50年代以降の社会学の盛り上がりによって、地理というハードな部分を忘れ、もっぱら「社会」というソフトな要因だけに注目して学問を発展させてきた経緯がある。
2011-04-13 01:34:59これは国際関係論(IR)でも「社会学化」が進んだことで「準ソフト化」にさらに拍車がかかったわけで、その究極が1979年に発表されたケネス・ウォルツの「国際政治の理論」。ただしこれに不満を感じたローゼクランスやジャービスのような同僚たちが「地理のようなハードな要因も入れろ」と反発。
2011-04-13 01:40:14それをウォルツの弟子のウォルトやポーゼン、それにローゼクランスの弟子だったミアシャイマーなどの「ネオリアリスト」たちが、ウォルツの「準ソフト化」していた国際関係に「地理」というハードな要因を入れて独自の理論を構築しはじめる。ここに米国で(古典)地政学が認められる土壌が出来てきた。
2011-04-13 01:43:38また、現在のアメリカのアカデミックに古典地政学の議論を持ち込んだのは、基本的にアメリカ生まれではない知識人たち。キッシンジャー、ブレジンスキー、グレイなど、いずれも米国生まれではないヨーロッパ系の人々。
2011-04-13 01:45:53アメリカに地政学を「復活」させたのは、実は冷戦終了後の「大戦略」の選択についての議論の影響が大きい。アメリカにとってのソ連消滅後の脅威の分析をしていくと、必然的に地理的な考察を入れていかないと無意味になってしまうから。
2011-04-13 01:49:32インターネット(ソフト)の登場のおかげで、たしかに大戦略の議論でも地理が無意味になったような感覚もあるし、実際にそのような論文もいくつか散見できるが、問題は人間が地理的な制約を受ける物理環境(ハード)の中でしか生きられないという冷酷な事実。よって地理と地政学は消滅せず。
2011-04-13 01:56:13鋭い質問です。批判地政学は古典地政学に対して「イデオロギー的な面がある偏った考え方だ!」と批判するんですが、実はそれを批判しているお前らも批判をするという時点でイデオロギーから自由じゃないでしょ?と応答してます。@macron_ 古典地政学は批判地政学に対してどう応答
2011-04-13 02:03:51@macron_ つまりこれは私がブログで書いてきたことにもつながるんですが、「完全に中立な立場なんかあるわけがない」ということですね。誰かの意見を批判している時点で、すでのその批判した人物は特定の思想的ポジションをとっている、ということです。
2011-04-13 02:07:29Geopolitics by Jeremy Black http://t.co/hC24S5S via @amazon 古典地政学専門ではないが、軍事史家からの批判地政学に対する批判ではこの本が秀逸。
2011-04-13 02:12:37私もこの視点は非常に大切だと思います。@macron_ 古典地政学のほうがずっと中立的だと感じちゃう
2011-04-13 02:14:46@masatheman すると次なる不安に人は襲われるワケですよ。自分の好みを他人の好みとすりあわせるにはどうすればいいのか、と。「マクロンは切腹するべきである」と考えてる人に「ハイわかりました」とは言えませんのでね。。。
2011-04-13 02:16:45@masatheman というのも批判地政学は「悪い魔王(資本家だったりファシストだったり)を打ち倒せば、光の世界が訪れる」みたいなRPG的世界観を前提にしてる気がしてならんのですよ。
2011-04-13 02:19:00いや、実際その通りなんです(笑)@macron_ RPG的世界観を前提にしてる気がしてならん
2011-04-13 02:22:39@masatheman 当方が古典地政学に信頼を置くのは「部族どうし・氏族どうしのせめぎ合い」という古~くからの仕組みに由来してると思うから。近代からの啓蒙主義的な個人主義はたしかに個人の権利を広げたけど、「部族どうし・氏族どうしのせめぎ合い」の残滓を一掃できなかったのだ と。
2011-04-13 02:34:12いわば人間の「本能」を忘れていないわけですね。逆がリベラルの「理性」。"@macron_:当方が古典地政学に信頼を置くのは「部族どうし・氏族どうしのせめぎ合い」という古~くからの仕組みに由来してると思うから
2011-04-13 16:07:30おれが思うには、ブルジョア対プロレタリアまたはマジョリティ対マイノリティという【上⇔下の構図】を無視し共同体間の角逐という【内⇔外の構図】にすべてを還元する態度や、逆に、【内⇔外の構図】を無視し【上⇔下の構図】にすべてを還元する態度が致命的にまずいと感じている。
2011-04-14 15:05:59裏を返せば【上⇔下の構図】と【内⇔外の構図】の双方が思考のベースとして据え付けられていれば、決して中立や中庸ではないけど、思想の左右で互換性のある対話ができるのではないかと思っている。
2011-04-14 15:06:58