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バイオテック・イズ・チュパカブラ #3

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第1巻「ネオサイタマ炎上」より 「バイオテック・イズ・チュパカブラ」#3 #NJSLYR
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(あらすじ:タマチャン・ジャングルで奇怪なキャトルミューティレーション事件が多発。調査に乗り出したニンジャスレイヤーとナンシーは、そこに謎のニンジャの関与を疑い、これをチュパカブラと呼称する。2人は現地の農民たちにインタビューを開始。一方その頃、同じジャングル内の温泉旅館では…)
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夕暮れ近く。健康に良くないガスが充満する、温泉旅館ニルヴァーナの露天岩風呂。寂しげな風が吹いて松の枝を揺らし、見事なサンスイのハーモニーを奏でる。時折、湯の中から大きなコケシ・オートマトンがいくつか姿を現し、おごそかなレーザー光線を発射していた。
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誰もが思わず心躍り、ハイクを詠みたい衝動に駆られるだろう。だがムギコは独り、緑色の湯に肩まで浸かって、鼻から顎を覆う漆塗りガスマスクから溜息を漏らしていた。「恐れ入ります」「動物禁止な」とミンチョ体で縦書かれたノボリがはためき、ミニバイオ水牛の入浴を無言のうちに拒んでいたからだ。
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「せっかく連れてきたのになぁ……」ムギコは、とげとげしい大岩の上にライトアップされた赤いトリイを、ぼんやりと眺め上げた。その根元では、ミニバイオ水牛のモウタロウが、湯気に紛れて楽しげに8の字旋回を続けている。バイオ動物であるモウタロウは、ムギコとは根本的に違うクリーチャーなのだ。
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あの子は成長した、ムギコは独りでも大丈夫だ。ノボセ老は深く頷きながら、岩露天風呂の様子をうかがうフスマをぴしゃりと締めた。彼に残された隻眼はたちまち、温かい祖父の眼差しから、ソードマスター・ツジゲッタンのように鋭い古参デッカーの眼差しへと変わる。「……では話を聞かせてもらおうか」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
タマチャン・ジャングル・レンジャーマッポ隊の2人がチャブの前に正座する。「アイエエエエ……。ノボセ=サン、温泉旅行を邪魔してすみません」「水牛を連続で殺害して内臓と体液を抜く、異常アニマルネクロフィリア犯罪者らしき存在が、近頃このタマチャン・ジャングルを騒がせているのです!」
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コワイ! 連続殺害事件とは! 幽玄なタイガーを描いた墨絵ビヨンボの陰で、ノボセ息子夫婦の表情がこわばる。「大丈夫です、この温泉は現場から遠く離れていますし、周辺には水牛もいません。しかし、ジャングル中心部はひどいものですよ! 農民や無関係な市民も被害を受けていますよ!」とマッポ。
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「それで、何をしろと?」ノボセ老はマッチャを啜りながら問う。「事件解決まで、ご家族の方はこの宿から出ないでください。ただ、ノボセ=サンは……可能であれば……明日、調査にご協力いただけないでしょうか。このような異常性犯罪者にどう対処すべきか……我々はノウハウに欠けているのです」
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「スゥーッ、ハァーッ」ノボセ老はチャドーの呼吸を整えながら、静かにマッチャを啜った。そして目を閉じ沈思黙考する。「死んだら終わり」「困っている人を助けないのは腰抜け」……平安時代の哲人ミヤモト・マサシが遺したアンヴィヴァレントな2つのコトワザが、彼の胸を去来する。まるで禅問答だ。
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(((わしはまだ死ぬわけにはいかぬ。ネオサイタマの影の巨悪を暴き、法の裁きを下さねばならんのだ。だが…))) 伝説的デッカー、ノボセ・ゲンソンの答えを待ち、レンジャーマッポ達は息を飲む。老人は目をかっと見開いて膝を叩いた。 「…明日ではなく、今から動こう」「「ヨロコンデー!!」」
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ナンシーは独り、吸血ヒルが潜むタマチャン・ジャングル奥地を進む。車に積み込んでいた重金属酸性雨除けのレインコートとロングブーツが、思わぬところで役に立った。車のタイヤは農場に駐車している間に何者かによってパンクさせられていたため、そこから1キロ先の川辺で乗り捨てざるを得なかった。
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竹林に混じって立つ古い電柱から、ノイズ混じりのミニマルテクノと呟き声が聞こえてくる。ハッカー教団の電波を拾ったスピーカーが、虚しいプロパガンダを続けているのだろうか。下栄えに覆われた微かなアスファルトの痕跡、朽ち果てたノボリや自販機が、かつてここが国道だったことを暗示していた。
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(((タイヤをパンクさせたのは誰なの? 農民たち? でも、あの鋭い切断痕はまるで水牛の腹の傷跡のようだったわ。まさか、私たちの追っているチュパカブラが?)))ナンシーはIRC空間内でひとりごち、ログを遺した。(((チュパカブラの正体は何なの? ニンジャ? 本当にそうかしら?)))
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その時だ! 「ウオー! ウオー!」突然、竹林から巨大なバイオパンダが姿を現し襲い掛ってきた! ナムアミダブツ! だがナンシーは反射的にショットガンを腰溜め射撃する! 「アババーッ!」バイオパンダはワイヤーアクションのように吹っ飛び、返り血がナンシーの白いPVCコートを染め上げた!
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だが、タマチャン・ジャングルの恐ろしさはこんなものではない! 「ウオー! ウオー!」さらにもう一頭のバイオパンダが、ナンシーの死角となる密林から姿を現し、おそるべき爪を剥き出しにして飛び掛った! ナムサン!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イヤーッ!」竹林の上から声が聞こえたかと思うと、続けざまに三枚のスリケンが放たれた! 隙間わずか1センチほどの竹と竹の間を抜ける、信じ難いほどの精密投擲である! 「アバババババーッ!」三枚のスリケンはバイオパンダの両目と股間に突き刺さり、瞬時に失禁かつ絶命させる! タツジン!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「Wasshoi!」ニンジャスレイヤーが竹林の上から3回前方宙返りで着地する。偵察に出ていた彼が、時宜を得て戻って来たのだ。「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」「アバーッ!」ニンジャスレイヤーは、ニンジャらしい無慈悲なキックで、ナンシーが傷を追わせたもう一匹の猛獣を絶命させた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「悪くないわ」ナンシーは返り血をぬぐいながら、平然と言った。ダイダロスとのIRC電脳空間での死闘をくぐり抜けてからというもの、彼女は日に日に逞しくなっているようだ。常にザゼンドリンクをオーバードーズしているかのような、恐ろしい冷静さが身についてきた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「こちらも悪くない」と、常に喉を責めさいなんでいるかのようなニンジャスレイヤーの不吉な声が、鋼鉄メンポの奥から聞こえた。「この先に、あの農民が言っていた通りの特徴を備えた廃工場がある。チュパカブラの秘密を解く鍵が、そこに隠されているに違いない」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ニンジャスレイヤーとナンシーは、猛獣の襲撃に注意を払いながら、国道跡を進んでいった。その数百メートル後方……錆び付いた自販機の陰に隠れて彼らを観察する、奇怪な影! 前傾姿勢で二足歩行するこの謎の存在は、人間とは思えぬ俊敏さで竹を飛び渡り、迂回しながら廃工場へと先回りするのだった!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第1巻「ネオサイタマ炎上」より 「バイオテック・イズ・チュパカブラ」#3終わり #4へ続く #NJSLYR

コメント

オスツ🍣 @alohakun 2011-04-18 07:12:09
バイオテック・イズ・チュパカブラ #1 http://togetter.com/li/121054 バイオテック・イズ・チュパカブラ #4 http://togetter.com/li/125105
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