中学の頃に作った遊びが禁止された話

他人に迷惑かけちゃダメ
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がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

「手のかからない子だった」というのは、好きなことをずーっとやっている子だったからだ。 空想の世界で遊んだり、何かを作ったり、暇なら自分で遊びを考えて一人でも、他人とでも遊ぶ子だった。 割と遊びの中心だったと思う。 僕が遊びを提案してみんなそれに乗るけど、リーダーではなかった。

2018-07-08 09:48:20
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

幼稚園~高校までそんな感じだったと思う。 リーダーは別にいるけど、遊びを作るのは僕。 中学では「無表情鬼ごっこ」と「アクロバットすごろく」が流行して禁止令が出された。

2018-07-08 09:58:45
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

「無表情鬼ごっこ」というのは、校舎内で行う鬼ごっこだ。 鬼は『無表情でスキップしながら手を羽ばたかせる』という条件がつくだけなのだが、これが怖い。 めっちゃ怖い。 最初、みんな舐めてかかる。 「ああ、それだけ?楽勝っしょ!」と思う。 しかし追われた時、皆恐怖のあまりパニックになる。

2018-07-08 10:04:16
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

まず見た目が異様。 無表情でスキップしながら羽ばたいている様は、本能的に「ヤバイ」と思ってしまう狂気を持っている。 発見された時、ほとんどの人が「ひぃっ」とか「うわぁっ」と悲鳴をあげる。 そして全速力で逃げ出す。

2018-07-08 10:13:24
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

そして、そろそろ引き離した頃だろうと振り返った時、思ったより近くにいるのだ。 ここで全ての人がパニックになる。 「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 スキップというのは意外と速く走れる。 50mなら本気で走った1秒落ちくらいだろう。 トップスピードは無いが加速力はほぼ変わらないのだ。

2018-07-08 10:18:05
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

いやいや、それでもスキップでは追いつけないでしょ、と思う方。 甘い。 曲がりくねった校舎内では高いトップスピードはコーナーで不利になる。 スリップダウンやオーバーランで大きくタイムロスをする。 スキップは室内戦では丁度良い速さなのだ。

2018-07-08 10:25:52
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

そしてなにより、恐怖である。 恐怖によりパニックになれば、力が入らず、まともに走れなくなるのだ。 自分より圧倒的に足の早い者が、簡単にスキップで追いつけてしまう。 足の速さによる鬼ごっこの格差が無くなるのだ。 これは鬼ごっこの革命であった。

2018-07-08 10:29:51
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

最初は僕の所属している美術部で「体力づくりの一環」として行っていたが、それを見た卓球部が「雨の日野球部に体育館取られるから、俺達もそのトレーニングをしたい」と申し出てきたので許可した。 卓球部は部員数最大の部活で、そのトレーニング(無表情鬼ごっこ)には40人が参加することとなった。

2018-07-08 10:35:42
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

鬼は3人に増え、校舎は阿鼻叫喚に包まれた。 一応、バレるとヤバイので職員室の階は禁止エリアとなっていた。 しかし…

2018-07-08 10:46:59
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

「先生、男子が変な事してます!」 隣の合唱部のクレームにより、「無表情鬼ごっこ」は禁止となってしまった。 僕は首謀者としてこってり絞られた。 そして二週間後に「暇だな~」と考えたのが「アクロバットすごろく」だった。

2018-07-08 10:54:31
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

書き忘れたけど「無表情鬼ごっこ」は鬼の方が圧倒的に面白い。 パニックになる人を見るのがこんなに面白いとは思わなかった。 僕のドSな性癖はこの時に作られたかも知れない。 ドMな人は追われる方がいいのかもね。

2018-07-08 11:00:44
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

「アクロバットすごろく」は「無表情鬼ごっこ」の反省を踏まえて開発されたトレーニングである。 「無表情鬼ごっこ」は校舎全体を使ってしまった事によって多くの人に発見され、クレームへと繋がった。 よって規模を縮小し、美術室だけで完結する物にした。 「体力づくりの一環」というのは同じ。

2018-07-08 11:06:31
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

ルールは簡単。 美術室の机をマスとし、サイコロを振り、出た目の数だけ机の上を飛んで進み、止まった机に書いてある事を実行し、一番速くゴールした者の勝ちである。 マスには主にトレーニグメニュー「腕立て10回」とか「腹筋20回」とか書いてある。

2018-07-08 11:09:53
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

稀に「好きな人を教える」とか「好きな人に告白する」というマスもある。 美術室の机は安定性が高く、ちょっとやそっと飛んだくらいではひっくり返ったりしない作りだった。 せっかく人をコマにしてすごろくをやるんだからと、サイコロの目を1マスでは無く「1ジャンプ」とした。

2018-07-08 11:17:38
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

1ジャンプで飛べるなら、1マス飛び越えて2マス分進んでも良いのだ。 「告白」なんて絶対したくないから、みんなそこは飛び越えようとする。 しかし、上手く飛ばないと美術室の机でもひっくり返る危険性があるという、リスク・リターンが絶妙なシステムが出来上がった。

2018-07-08 11:21:06
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

これも中々流行った。 卓球部も混じり、一週間以上は続けられたと思う。 徐々に慣れてきて、1マス飛び越しは当たり前になり、対策として絶対に止まりたくないマスは2マス続くようにした。 すると2マス飛び越しが出来る者も出てきた。

2018-07-08 11:32:12
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

そしてやはり怪我人が続出した。 机がひっくり返ったり、着地に失敗したりして、みんな生傷が絶えなくなっていた。 最後はあっけないもので、滅多に来ない美術部顧問が来て見つかるというものだった。

2018-07-08 11:34:38
がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

これ以降「変な遊び」を作るのを禁止されてしまった。 なんか顧問も課題とか出してきて、それをやるようになったと思う。 結局やらずに漫画ばかり描いてたけど。 「アクロバットすごろく」で分かったのは、中学生は告白より怪我を選ぶということである。

2018-07-08 11:37:55