2018 FIRST HALF, 10 BEST SONGS

めちゃくちゃキュートなミクさんvoiceのレシピをご存知のはるまきごはんさん。切ない終わりの予感に満ちているのに音はこんなにも弾んで楽しげ。

リンちゃんの声がやっぱり好きだなぁって、年に数回思えるだけの持続性があることは幸せなことです。
ついでにこの人の「少女如来の許し方」はイントロが最高です。

純粋に「聴いててキモチイイ」としか言えない曲に出遭えると嬉しいものだ。

身構えることが困難な、鮮やかな奇襲。「あ、やべぇ逃げ出さないと」と思ったなら即退避すべし。0:34まで行くと逃げられなくなります。
あらゆる苦痛や罪悪を快楽に変換する麻薬のような作用を持っている。

センチメンタルの天才みたいなピコン氏がこれを…？　という意外性たっぷり。でも骨子は変わらず、表現の仕方と物言いが変わったのかな、という気持ちにはなってきた。ウェットだったりドライだったり、いずれにせよこの人の唄はいつも俯きがちに零している。

最も評し難い部類の曲。好き、だけでは済まされない、愛着というよりも執着に近い気持ちで聴いてしまう。
ウタの声は非常にナイーヴ、なのにリリックと畳み掛け方はヒステリック。まずそのちぐはぐさにやられる。間奏で段々と、そしてやがてフォルテッシモに至るピアノは、鍵を打ちつける指が見えるかのように“強すぎる”。歌声は抑揚の少ないまま、それ以外の音が彼女の感情の起伏を雄弁に訴える。繰り返し聴けば聴くほどに、その波に抗えないまま揺さぶられ、心がざわつくのだ。

元来、ユキちゃんの声からは感情を読み取りづらい。彼女特有の“希薄さ”や“欠落感”を上手に生かしてくれると、こういう曲が出来上がるのだなぁ。
朗々と歌うことも感情豊かに歌うことも、必要条件ではないのだ。当たり前のことだけれど。
ぽつぽつ落とすように、呟きに少しだけメロディを混ぜるように。それだけで満たされる歌だ。

春野氏自身が歌った「深昏睡」には大変お世話になっております。
「楽園」も好きなんだけど、ミクとはまた違う甘さでもってして彼は歌ってくれた。ミクver.はどこか舌っ足らずな幼さが魅力だが、ORIGAM-Iはどこか微笑みを浮かべていそうな絶妙な声質がたまらない。

これも表現が難しい。一つ言えるのは、掠れた喇叭のような音で響かされている声が魅力。vocaloidやutauを楽器的扱いをしている部分は大なり小なりどんな曲でもあるだろうが、特に顕著じゃないだろうか。彼は曲に丸ごと声を捧げている。パイプオルガンのように重なり合うコーラス部分なんて、賛美歌のようだ。

聴き始めは全然好きじゃないと言うか、「そうね、相変わらず上手よね」程度だったのが、通しで聴いたらチリチリと感情移入が始まっていた。
明白な場面が提示されているわけではない。こちらだって明確なストーリーを求めているわけでもない。なのに、端々から「そういうこと」を匂わせる実に微量なエッセンスを勝手に嗅ぎ取って、勝手にああ悲しいなぁって涙してしまう。この引力は何だ。

総括。
この半年も愛着を抱いていろんな曲を聴きました。
今回纏めてわかった傾向は、やっぱり「祈り」とかに弱いんだろうなぁってことでしょうか。願いとも想いとも少し違う。叶わないと知っていても尚、懐き続けるもの。私なりの「祈り」に近い感覚を感じ取ると、その曲を好きになりがちです。