【英霊剣豪201x番勝負】 第六節『トリプル武蔵』

文章の長さが大体これぐらいになってくると我慢ができなくなる 5:https://togetter.com/li/1246589 7:https://togetter.com/li/1246827
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劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると助かります。忙しい方は後ほど投稿されるtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)

2018-07-14 21:01:00
劉度 @arther456

鷹が鳴いている。よく生き残っているものだ。ワイバーンが飛び交う戦場だというのに。上空から襲いかかってくるワイバーンの鉤爪を避けながら跳躍する。すれ違いざまにワイバーンの細い首を斬り落とす。飛ぶことに特化した体の造りのせいで、ワイバーンはあまりに脆い。1

2018-07-14 21:03:01
劉度 @arther456

着地する前に、次のワイバーンが襲いかかる。鋭い牙を刀で弾き返す。着地し、大地を踏みしめ刀を振る。真空波がワイバーンを切り裂く。普通の立ち会いでは使わない技だが、こうした化け物相手には有効だ。しかし、私が求めていたのは、こんな奇術めいた剣ではない。2

2018-07-14 21:06:00
劉度 @arther456

戦場を一気に駆ける。ワイバーンに構っていても埒が明かない。彼らを操る大将を討つ。それが最速最大の打開策だ。道中のワイバーンを追い払いながら走ると、小山のような竜が見えた。間違いない。ワイバーンを操る竜の王、ファフニールだ。3

2018-07-14 21:09:00
劉度 @arther456

ファフニールはこちらに顔を向け、炎を吐き出した。疾走し、炎を避ける。さて、どこから斬ったものか。最初から頭は無理だ。大地を踏みしめる足か、不気味にうねる尾か。何にしろ、斬り甲斐のある獲物だ。咆哮を上げたファフニールに向かって、私は剣を構えた。4

2018-07-14 21:12:00
劉度 @arther456

「石垣山城、小田原の空挺部隊と交戦を始めました」「始まったか……」小田原城は、広大な海、相模湾に面している。そこに今、レジスタンスの村から出港したイージス艦が鎮座していた。指令部では、事態を見守っていた艦長が、驚きと呆れ、そして戸惑いのため息をついていた。6

2018-07-14 21:15:01
劉度 @arther456

「……そろそろ、腹を括るべきでしょう」艦長の横にはおぬいが控えている。「わかってる!もう、タイムパラドックスがどうとか、言ってる場合じゃないもの」艦長が今まで行動を控えていたのは、過去の世界で動くことが、未来にどんな影響を与えるのか、まるで検討がつかなかったからだ。7

2018-07-14 21:18:00
劉度 @arther456

「戦国時代でミサイルがぶっ放されたんだ。こうなったら、とことんやらなくちゃ……!」艦長は立ち上がった。「上陸部隊、及び北条軍に通達。我が艦隊はこれより艦砲射撃を始める!」「了解。『上陸部隊、及び北条軍に告ぐ。我が艦隊はこれより艦砲射撃を始める』!」8

2018-07-14 21:21:01
劉度 @arther456

艦長の命令を受け、にわかに指令部が慌ただしくなった。いよいよ戦闘だ。「索敵ドローン、射出」「全兵装、ロック解除!」「砲撃地点、小田原城海岸陣地」「砲撃準備完了しました!ご指示を!」艦長は頷き、通信機に向かって叫んだ。「武蔵さん、お願いします!」9

2018-07-14 21:24:00
劉度 @arther456

【作業用BGM】艦これ「第三次渾作戦ボス」10分ループ youtu.be/5QNZcuLbew4 @YouTubeさんから

2018-07-14 21:25:01
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劉度 @arther456

「任せろっ!全砲門、開け!」上陸部隊の先頭に立つ、褐色肌の女性が吠えた。海に浮かぶ彼女の背には、鋼鉄の巨砲が背負われていた。「撃てぇーっ!」轟音が響き、爆煙が彼女の体を覆い隠す。放たれた46cmの砲弾は、寸分違わず小田原城の海岸陣地に着弾し――そして、炸裂した。10

2018-07-14 21:25:01
劉度 @arther456

【英霊剣豪201x番勝負】 第六節『トリプル武蔵』

2018-07-14 21:26:00
劉度 @arther456

彼方の洋上からでもハッキリ見えるほど巨大な爆発が起き、数秒後、唸るような着弾音が聞こえてきた。上空の零式艦上観測機と視界をリンクさせた武蔵は、自分の砲弾が土塁に大きな穴を開けたことを確かめた。「提督よ。当てたぞ」《一発でど真ん中……流石です!》11

2018-07-14 21:27:00
劉度 @arther456

彼女は純粋な人間ではない。戦国時代からおよそ400年後、第二次世界大戦の最中に造られた軍艦の神霊をその身に宿し、軍艦と同等の力を振るう戦士だ。後の世で、彼女たちは艦娘と呼ばれている。武蔵は、その中でも最強と呼ばれた、戦艦『武蔵』を身に宿していた。12

2018-07-14 21:30:03
劉度 @arther456

人類史上最大の46cm砲の前では、いかに大要塞といえども一溜まりもない。問題は、弾がもう無いことだ。イージス艦の砲弾は、特地解放機構のお陰で補充できたものの、艦娘たちが使える砲弾は無い。何しろ彼女たちは、龍堂たちよりも40年以上未来からやってきているからだ。13

2018-07-14 21:33:00
劉度 @arther456

「今だ、まつり、立香!進めぇっ!」故に、ここから先の戦いは、機構とカルデア、そして北条軍に委ねられた。「は、はいっ!行きますよ、皆さん!」武蔵を追い越して、海岸に進むのは、まつりと立香たちが乗った船だ。ただの船ではない。現代から持ち込んだ、水陸両用兵員輸送車である!14

2018-07-14 21:36:00
劉度 @arther456

「上陸します!皆さん、掴まってください!」輸送車のキャタピラが砂を噛み猛進する。艦砲射撃によって崩れた土塁を乗り越え、市街地に突入した。まつりたちの役目は、敵陣の撹乱と砲兵陣地の制圧。それを可能にするのが、自衛隊から借りてきた水陸両用装甲車であった。15

2018-07-14 21:39:00
劉度 @arther456

道の先に化け物たちが立ちふさがる。「早雲さん!」「よっしゃ、任せろ!」砲座に座る早雲が引き金を引いた。12.7mm重機関銃が火を噴き、瞬く間に化け物を挽肉に変える。「ついでにこれもじゃ!」更に、近くの民家に焼夷弾を投げた。たちまち炎上、炎と煙が吹き上がる。16

2018-07-14 21:42:01
劉度 @arther456

放火を繰り返しながら、装甲車は砲兵陣地に辿り着いた。「皆さん、そろそろ出撃準備をお願いします」同乗するサーヴァントと、エージェント武将たちの表情が引き締まる。「よし、行くぞ!」早雲がグレネードランチャーを発射し、木造の門が破壊された。そこへ装甲車が突撃する!17

2018-07-14 21:45:01
劉度 @arther456

「やはり来たか、北条早雲!」曲輪の入り口では、大森藤頼が化け物を率いて待ち構えていた。「ここはワシの城だ!貴様らなんぞにくれてやるものか!かかれぇっ!」号令を受けた化け物たちがまつりたちに襲いかかる。更に藤頼も重機関銃を構え、装甲車を滅多撃ちにする!18

2018-07-14 21:48:00
劉度 @arther456

「小娘、右じゃ!」「はいっ!」装甲車は敵が薄い右側に突っ込んだ。その間に、早雲は煙幕手榴弾を次々と投げつける。視界を遮られ、弾幕が一瞬止んだ。「今です!」装甲車の後部ハッチが開き、乗組員が一斉に外へと飛び出した。たちまち、乱戦になった。化け物と武将たちが切り結ぶ。19

2018-07-14 21:51:00
劉度 @arther456

化け物は弱い。サーヴァントも武将も、そうそう遅れはとらない。だが、何しろ数が多い。藤頼は奇襲を読んでいたのか、それともただ臆病なだけだったか。いずれにせよ想定外の抵抗だ。「致し方あるまい……」クナイを振るっていた千代女は動きを止めた。20

2018-07-14 21:54:00
劉度 @arther456

「御屋形様!令呪をお願いしまする!」「わかった!」装甲車の前で戦況を見守っていた立香が、右手を掲げた。「令呪を以て命ず!望月千代女、宝具を解放せよ!」手の甲に刻まれた令呪が赤く輝き、千代女に魔力が送り込まれる。千代女は親指の腹を噛み、赤い血を外気に触れさせた。21

2018-07-14 21:57:00