ストレイトロード:ルート140(35周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビが毎日お届けしている、掌編という名の習作。今回は1701~1750。 終盤のリクエストコーナー以外は「おいしいもの」がテーマ、できるだけ甘いもの、という設定で書いてみました。 今後も引き続き1日1組つぶやいていきます。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya
小さな毛糸玉のような形の飴は、口に含むと優しい匂いを広げながら儚く溶けた。見た目以上に軽い。糸状の飴を絡ませただけとは思えない。「何か物足りないのよ」藍は早くも二個目に手を出していた。疑問の答えを探しているようにも見えるが、それにしても次を食べるペースが早い。戦略に嵌まっている。
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140文字で描く練習、1701。飴。
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軽率な行動が引き起こした事件の後、藍は珍しく親に叱られたらしい。収拾をつけるべく奔走していた執事が電話で教えてくれた。『甘いものを召し上がって一眠りしたら、多少は落ち着かれるかと』私が話す間、藍はボウル一杯の芋を潰す腕に苛立ちと怒りを込めていた。任せたのが皮剥きでなくて良かった。
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140文字で描く練習、1702。芋。 何を作ろう、に関心をシフトさせても結局、頭の中は元の場所へ飛んでしまう。
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携帯端末に表示された動画を見ながら、藍が危うい手つきで包丁を動かしている。果物ならまだしもパウンドケーキの薄切りはまだ難しいようだが、一本を丸ごと破片の山に変えても諦めは見られなかった。何を作りたいのか。答えは彼女と動画の作者しか知らない。「そろそろ次のケーキ焼いて」挑戦は続く。
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140文字で描く練習、1703。薄切り。
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「これ、何かに似てる気がするの」捕獲した怪物の幼体を輸送中、度々そう言っていた藍が、宿に戻るなり「わかった!」と菓子を作り始めた。完成品を見た私は腰を抜かした。エクレアを覆う糖衣だと判ってもなお、それが食べられるものという認識を頭が拒絶してしまう。それほどよく似ていた。特に顔が。
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140文字で描く練習、1704。エクレア。
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丘を下る藍はとてもご機嫌だった。籠一杯に収穫したオレンジを台車から私達の車に移すと、後部座席に眩しい彩りと柑橘の爽やかな香りが広がった。「まだまだ載るわね!」藍は再び丘を登っていった。昨日念入りに掃除した車内は確かに普段より広くなったが、それを全て埋めそうな程に今年は豊作らしい。
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140文字で描く練習、1705。オレンジ。
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藍の実家に滞在した折、彼女の父親に書斎を案内された。まず目に入ったのは棚の中央に鎮座する南瓜。不気味な笑顔の隣に、その中身らしきパイを食べる藍の写真が置かれていた。南瓜をくりぬいてランタンを作るまでは多くの家庭で行われるが、防腐加工まで施し何年も飾る親がいるとは聞いたことがない。
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140文字で描く練習、1706。南瓜(かぼちゃ)。 娘が作ったものなんだ、自慢に季節なんて関係あるものか。
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牧場の仕事を一日かけて手伝ったのは一晩の宿の対価だったはずだが、気前のいい牧場主は藍が集めた食材を幾らか分けてくれた。搾りたての牛乳を何に使うか早くも考え始めた藍が、空を仰ぐなり臨戦態勢を取った。「まずは運び出して」青い空の中央を怪物が旋回している。横取りの危機は確かに一大事だ。
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140文字で描く練習、1707。牛乳。 これは投稿失敗した昨日の分です。
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山道を走行中、小規模な崖崩れの痕跡を見つけた。安全確認の為に車を降りて現場を調べていると、助手席に残っていた藍が窓から顔を出し、斜面を指した。「そこに落ちてるものを拾ってきて」土の塊に無数の胡桃が混ざっていた。そして崖の上には転落を免れた籠と、困った様子で下を覗き込む誰かがいた。
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140文字で描く練習、1708。胡桃。
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私に買い物を命じた藍は「ケーキを焼く」と言ったが、携帯端末に届いたメモには材料と思えないものが入っていた。麻袋を何に使うのか。指示通りの品を揃えて宿に戻ると、藍はごく普通のフルーツケーキを焼き上げ、袋に入れて窓から投げた。向かいの家の子供が袋を受け取り、疲れた顔に笑みを浮かべた。
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140文字で描く練習、1709。ケーキ。
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進言された安全策を拒み、一人飛び出していった藍が、冷たい雨の中を戻ってきた。私は彼女を車に乗せ、柔らかいタオルと温かいココアを手渡した。「何も言わないの」「次の行き先が決まっているならご指示を。急がないのでしたら、少し休みましょう」藍はどちらにも首を振らなかった。手が震えていた。
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140文字で描く練習、1710。ココア。
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祭りを祝う菓子を作ろう。施設の庭で遊ぶ子供達を藍が呼び集め、食堂に連れて行った直後、悲鳴と笑い声を聞いた。駆けつけてみるとテーブル上の調理器具や本が砂糖漬けになっていた。用意した砂糖が日差しで溶け、袋から溢れ出したようだが。「いくら晴れでもそんなことある?」藍の推理は違うようだ。
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140文字で描く練習、1711。砂糖。
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長距離移動の準備のはずが、何故か食料品の購入が少ない。普段との差を不審に思い、車に積んだ冷蔵庫を開けてみると、最初の店で見かけたシロップの小瓶が上段を占拠していた。「貴女は当面これを毎度の食事になさるとの認識でよろしいですか」「よろしくない」藍はこの街で企んでいた作戦を白状した。
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya
140文字で描く練習、1712。シロップ。
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給仕係がスープを出した。テーブルを挟んで座る藍が私に言った。「今度は普通に食べて」前菜の時の挙動を怪しまれている。「あのオバサンの言葉を気にしちゃダメ。どうせあなたなんて興味ないんだから」紅き烈婦に煽られたことを彼女なりに心配していたのか。口にしたスープは見た目によらず甘かった。
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