『BL進化論』を読む際のジェンダー論・クィア理論的な注意点

『BL進化論』がセンス・オブ・ジェンダー賞を受賞したので、『BL進化論』を読んでジェンダー論・クィア理論的に気になったことをまとめました。
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薩摩和菓子 @satsumawagashi

センス・オブ・ジェンダー賞を受賞した『BL進化論』、確かに興味深い本ですが、 ①「女性向けでない」かつ「同性愛」の作品だけサンプルに漫画がない ②「性的指向/性的嗜好」という二元論を肯定している ③男性が性的役割の犠牲になるのも「ホモフォビア」扱い には留意してお読みください。

2018-07-22 19:52:35
薩摩和菓子 @satsumawagashi

①「女性向けの同性愛表現にしかクィア性(多形倒錯性やセクシュアリティの脱アイデンティティ化)はない」を言おうとすると、男性向けに登場するショタ、女装男子、TS娘が反例になってしまうからではないかと。

2018-07-22 20:18:10
薩摩和菓子 @satsumawagashi

②「性的指向/性的嗜好」という区別は、マイノリティの一部をマジョリティに包摂してもらうための「同一化受容戦略」でしかなく、自由主義的にも共同体論的にも意味がない「マジョリティから見て『同じ』『普通』『理解できる』」でしかない。(tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp/?action=reposi… p35-36) pic.twitter.com/BBtec1JCa6

2018-07-22 20:22:40
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薩摩和菓子 @satsumawagashi

③『スメルズ〜』の三島のように、「抑圧者の期待する男性役割に従ったから不幸になった、または、従わなかったから排斥された」、つまり「ミサンドリー」として説明すべき事例も、『BL進化論』で被害者性を指摘される男性は全員ゲイであるという理由で「ホモフォビア」扱いされている。

2018-07-22 20:32:07
薩摩和菓子 @satsumawagashi

続)「抑圧者の期待する女性役割に従ったから不幸になった、または、従わなかったから排斥された」という事例は「ミソジニー」として説明されている。つまり、被害者のサンプルが異性愛女性と同性愛男性だけだからこそ、「ミソジニーとホモフォビアしか存在しない」という「結論」が出せるんですよね。

2018-07-22 20:52:17
薩摩和菓子 @satsumawagashi

「ミソジニー(女性嫌悪)」と「ミサンドリー(男性嫌悪)」は両立するんですよね。問題視されているのは 「『嫌悪者の脳内にあるジェンダーロール(性的役割)』に従わない当事者への排斥」 や 「『嫌悪者の脳内にあるジェンダーロール(性的役割)』に従った場合に当事者に発生する不利益」 なので。

2018-07-22 20:52:36
薩摩和菓子 @satsumawagashi

BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす 溝口彰子 amazon.co.jp/dp/4778314417/… @amazonJPから 百聞は一見にしかずですので、リンクも貼っておきます。 pic.twitter.com/eccm5QjpFK

2018-07-22 21:18:23
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薩摩和菓子 @satsumawagashi

「ミソジニー(女性嫌悪)は存在するけど、ミサンドリー(男性嫌悪)は存在しない」という「家父長制」理論については、teapot.lib.ocha.ac.jp/?action=reposi… p56-58や、yonosuke.net/eguchi/wp-cont…、ピンカー「ジェンダー」『人間の本性を考える(下)』、ファレル『男性権力の神話』がオススメです。

2018-07-22 21:36:50

コメント

アリステロス @maboroshi840 2018年7月22日
クィア理論って結局ある人のセクシュアリティーなりジェンダーなりそのほか価値観、文化はこうあるものだという絶対的な規定を否定するけども、じゃあそういう価値観や文化をなくしたあとの社会はどうするのという部分では何も提起することのできないクッソ不毛な活動ですよね。社会には規範が必要であって、規範の否定は別の規範ではありませんから。
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