ＦＢザッカーバーグ氏の《ホロコースト否定論も削除しない》という意見表明を受けての私見

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ＦＢのザッカーバーグ氏による《ホロコースト否定論も削除しない》という声明で、所謂ホロコースト否定論の《取扱い》が注目されている。 個人的には、この論点は所謂《フェイクニュース規制》や《ＨＳ規制》の議論と極めて密接な関係があると思うのだけど、うまく説明しずらい所でもあるなぁ、と。

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所謂《ホロコースト否定の取締り》というのを《フェイクニュース規制の一形態》と考えてもらうと、関連性は解りやすいのかもしれない。 ホロコースト否定論を《歴史的事実との関係でなされるフェイクニュースの一種》と考えると、そこそこ解ってもらえるのかもなぁ、とも思うんだけど、どうだろうか。

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《ホロコースト否定論》と《法的にこれを違法とする事の是非》については、沢山の議論が積み上げられてきている。欧州諸国では、周知の通り、ホロコーストを違法とする立法が広範囲に成立している、という現実もある。

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ドイツで成立したのが１９８５年頃。フランスでは１９９０年の《ホロコーストに対するいかなる異議申立ても禁止する》という通称「ゲソ法」。 その他、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグ、チェコ、ポーランド、スロヴァキア、スイス、リヒテンシュタン、ポルトガル、スペイン...などなど。

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また、２００８年には、２７のＥＵ構成国によって 《ジェノサイドや、人道に対する犯罪、戦争犯罪を容赦したり否定したり相対として矮小化したりすることを罰するよう各構成国に推奨する決定》 も出されているそうで、この程度に《ホロコースト否定論》についてはナーバスな話にはなってる訳です。

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この《ホロコースト否定論》を巡る攻防、正直、いまから追いかけるだけでも結構タイヘンではあると思う。Ｗｉｋｉのページも、読むだけでもそこそこシンドいくらいの量になってたりはしますし。サラっと読んで理解しきれる量でもないのかな、とは思います。 u0u1.net/LeRp

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事例としては、とりわけ《ロイヒター・レポート》と呼ばれる事例が有名にはなってます。これもＷｉｋｉのページをちょっと貼っておきます。 u0u1.net/LeRy

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この事例、まぁ要するに《ガス室はなかった》と主張したエルネスト・ツンデルというオッサンがカナダで訴訟になったお話なんですが、この時に使われたのが、カナダ刑法１７７条の《虚偽の報道の流布罪》。 フェイクニュース規制の法律が使われています。 pic.twitter.com/UVLFymAB3x

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勿論、カナダにはヘイトスピーチ規制法も、ジェノサイドスピーチ規制法もある訳ですけれど、このロイヒター・レポートの事例では、フェイクニュース規制の条項が用いられた、というのは結構重要なんじゃないかな、とは思います。

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で、このロイヒター・レポートに関する事案では、最終的には《言論の自由》を理由に最高裁は《無罪》の判決を出しても居る訳です（別に、エルネスト・ツンデルのホロコースト否定論が認められた訳ではなく）。

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《歴史的事実に対する意見の表明》というのが、表現の自由との関係で、厚く守られるべきだというのは、国連の自由権委や人種差別撤廃委でも繰り返し言われてきてる点でもあります。こういう点からみても、ここにある《葛藤》はかなり大きい、というのは伺えるんですが。 pic.twitter.com/ICBPvY1IWK

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既に書いたように、欧州諸国ではホロコースト否定論は既に広範囲で《違法化》されている。 他方で、《歴史的事実に対する意見の表明》は原則として違法化されてはならないという要請もある。 この葛藤の中で、ザッカーバーグ氏の今回の意見が結構な論争を呼ぶのは、不可避ではあるんでしょうねぇ。

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なを、所謂《フェイクニュース規制》という枠組みについては、最近だといくつかのＮｅｗｓがある。 １）マレーシアでのフェイクニュース規制法に関する件 　および ２）エジプトにおけるフェイクニュース規制法の件。

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マレーシアの件については、アムネスティさんが抗議を出したことでもＮｅｗｓになった。現在では、既に廃止の方向だとか。 まぁ量刑が《１０年》と、かなり重たいことに加え、政治闘争に利用される懸念が強い状況でもあったみたいなんですけど。 pic.twitter.com/ThIHZEiBE8

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また、エジプトにおけるフェイクニュース規制の件も、かなりキナ臭いモノではある。これも、詳細な内容はイマイチ解らないけれど、伝わってくる内容だと、政治的に利用されるために作られてる感が強く、かなりキナ臭いように思う。 twitter.com/kanda_daisuke/…

神田 大介 @kanda_daisuke

エジプトでとんでもない法案が可決。フォロワー5000件以上のツイッター、フェイスブック、ブログなどは個人アカウントでもメディアとみなし、政府がフェイクニュースを流したと判断すれば刑事罰を受ける。ロイター。 reut.rs/2L0U6iy

2018-07-19 12:50:11

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先ほども挙げた通り、カナダでは普通にフェイクニュース規制条項はある。 しかも、ロイヒター・レポートの事例では《言論の自由》を理由に適用されなかったという《抑制的な判断を示した先例》もある。 なので、フェイクニュース規制という《仕組み》自体を否定しようとは私は思わない。 pic.twitter.com/t3w6XXo17Q

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しかし、マレーシアやエジプトのように、政治的意図でこうした《仕組み》が利用される可能性は、極めて高い訳で、ここに対しては《強い警戒感》を持っていなければならないとも思う。

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また、ちょっと翻って、ＦＢのザッカーバーグ氏の件。 ユダヤ系でもあるザッカーバーグ氏がこうした抑制的判断をする事には、それなりの《強い決意》も必要だったんだろうなぁ、とは思うんだけれど。 それでも、私なんかは悩ましいな、と受け止めていたりもする。

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それは、ＦＢがホロコースト否定論を《削除しない》という対応をしてみても、結局、ホロコースト否定論に対する反発はずーっと続く。 結局は、法規制を求める声をより一層強くする方向に行くんじゃないか、と思えるからだ。 そこで理性的な法制度が設計されるならいいんだけれど...ここは解らない。

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既に書いた通り、欧州諸国では既に《ホロコーストを法規制する》というのがスタンダードになっているという事情もある。 ザッカーバーグ氏はむしろ《ＦＢでは自主規制をする》という方針を取りつつ、米国等での法規制論を抑制したほうが良かったんじゃないだろうか、という気もする。

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このへん、どうなっていくんだろうか？ この議論、今後も注目して見ていきたいと思っている。