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バイオテック・イズ・チュパカブラ #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第1巻「ネオサイタマ炎上」より 「バイオテック・イズ・チュパカブラ」#4 #NJSLYR
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(あらすじ:タマチャン・ジャングルで奇怪なキャトルミューティレーション事件が多発。調査に乗り出したニンジャスレイヤーとナンシーは、そこに謎のニンジャの関与を疑い、これをチュパカブラと呼称する。2人は農民たちから得た情報を元に、ジャングル奥地に遺された廃工場へと辿り着くのだった…)
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「活力バリキ!!」「実際安い!!」……虚飾的な標語とともに、ドリンク剤を持った半裸のスモトリとオイランが笑う。今にもサイレン塔からブルーズが聞こえてきそうなほどレトロなヨロシサン製薬の看板が、工場の壁に掲げられていた。看板に浮いた激しい錆は、化粧を落としたマイコを思わせる。
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「ぱっと見は、数十年前に遺棄された、ヨロシサン製薬のドリンク工場だ」正門前に立ったニンジャスレイヤーは、微かに残ったタイヤの跡を手で触れて調べる。「当時の推定従業員数は5000人。閉鎖により一帯は過疎化……やがてジャングルに呑まれた」ナンシーがカメラを回しながら言葉を続ける。
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「そこへ何者かがやって来た…」ナンシーは放置された数台の黒塗りバンを映す「農民たちの噂が真実だとするならば、およそ1年前に。そしてドリンク工場は、彼らの手で謎の生体兵器工場に作り変えられた。夜な夜な謎の吼え声や怪光が漏れ、そして数週間前に……爆発」カメラは崩れ去った西区画を映す。
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「電気やシステムはまだ生きている」ニンジャスレイヤーは、正門の柱の上に置かれた2台のダルマ・ガーゴイルを指差した。殺人レーザー発射装置が隠されていたダルマの両目にスリケンが突き刺さり、バチバチと火花を散らしている。先ほどの偵察時に、ニンジャスレイヤーがこれを破壊していたのだ。
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2人は初代ヨロシ=サンの銅像が建つ正面玄関から侵入を試みる。『お世話になっております』ナンシーのLAN直結ハッキングによってロックが解除され、ノイズ交じりの電子マイコ音声が鳴った。人気のないエントランスが姿を現し、割れた巨大金魚鉢や「タイムイズマネー」と書かれたショドーが見える。
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「何、この臭い……?」ナンシーが顔をしかめた。奥の廊下からだ。ナンシーは懐からサイバーマグライトを取り出し、耳の後ろに備わったバイオLAN端子とLANケーブルで直結する。かなりの光量のライトが壁を照らし、そこを長く住処としていた吸血コウモリたちを追い払った。
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サイバーマグは、漢字サーチライト技術を応用した、スゴイテック社のハイテク機器だ。ガラス部分に有機液晶が仕込まれ、LAN直結者から転送された文字やイメージを壁にプロジェクトする。この程度の暗闇はニンジャにとって何の苦でもないが、建物内の地図が表示されるのはフジキドにも有難かった。
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2人は異臭が漂う廊下へと進む。頭痛を覚えたナンシーは、懐から小型ガスマスクを着用せざるを得なかった。そしてサイバーマグの文字を『重点』に切り替え廊下を照らす。「ナムアミダブツ……!」そこに見えたのは、惨殺された水牛の死体の列だった。比較的最近にミューティレートされたものばかりだ。
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「これを追おう、ナンシー=サン。チュパカブラのところに連れて行ってくれるかもしれん。ニンジャ、殺すべし……」ニンジャスレイヤーが先頭に立って、バリキドリンク工場内の廊下を歩く。壁に並んだパイプからは時折得体の知れない液体が漏れ出し、配電盤からは火花が散っていた。
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水牛の死体は、何十メートルも続いていた。途中で、バリキドリンク自動販売機同士の細い隙間に、ニンジャスレイヤーが何かを見つけ、おもむろに引きずり出す。それは惨殺された職員の死体だった。白衣を着て、胸にはヨロシサンのバッジを付けている。比較的新しい。死んで数週間といったところだろう。
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「この装置は何?」ナンシーは、職員の死体が背負っている無骨な装置に強い興味を抱いた。ランドセルのように背負う形をしており、本体は角ばった銀色。パトランプとスピーカーグリル、そしてスーパーのレジで使うようなコード付端末が備わっている。大量生産されたものではなく、試作品の類だろう。
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「皆目見当がつかん」と、ハイテクに疎いニンジャスレイヤーが答え、先を急ごうとする「今は捨て置こう、ナンシー=サン。ニンジャを殺さねば」。「待って……すごく、気になるの。LAN直結用のプラグがあるわ。マニュアルが読めるかも。5秒だけ待って、一瞬よ」
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そう言い終わらぬうちに、彼女は自らのLANケーブルを謎の背負い型計測装置に直結していた。赤い起動スイッチを押すと、膨大な情報が一瞬にしてナンシーのニューロンを駆け巡る。急いだせいで、頭がくらくらとして鼻血が出る。「大丈夫か、ナンシー=サン?」「……これはニンジャソウル測定器だわ」
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「ニンジャソウル……測定器だと?」フジキドは耳を疑う。ナンシーはスーパーのレジで使うようなコード付計測具を彼にかざし、手元のトリガを引いた。『ハイ、513メガカラテです』背中の赤いパトランプが回転して、スピーカー部から無表情な電子マイコ音声が漏れる。ナムサン! 何たる冒涜的技術!
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「そんな機械などに頼らなくても、私はニンジャソウルを感じ取れる。チャドーの精神集中を行えば、それこそ風の流れを感じ取るように」ニンジャスレイヤーはそこで口をつぐんだ。自分が少々冷静さを失っていることに気付いたからだ。
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「確かにそうだわ」ナンシーが静かに言う「でも、これで明らかになったこともある。あなたの言うとおり、ここにはニンジャがいるわ。そして、この職員たちはそれを発見しようとしていた。恐らくは、ヨロシサンのバイオテック実験によって生み出された、何か恐るべきニンジャを」
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それから二人は無言のまま、再びドリンク工場の廊下を歩く。ナンシーの計測器は、数十キロカラテほどの微弱なニンジャソウルを検出し続けていたが、それが隣にいるニンジャスレイヤーの影響なのか、あるいはチュパカブラの痕跡なのかはわからなかった。時折意味不明にパトランプが明滅した。
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「課長室」と書かれた部屋の前で、水牛の死体の列は終わっていた。計測器の値は徐々に強まっているが、端末をニンジャスレイヤーの方向に向けたときほどに強力な反応が起こることはなかった。「開けるぞ」と、メンポの奥からニンジャスレイヤーが静かに囁いて、勢い良くキックを入れる「イヤーッ!」
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CRAAASH!! 鶴の描かれたフスマが破壊され、ナンシーがすかさず最大光量にしたサイバーマグの光で課長室の内臓部をえぐり回す。静寂。安らぎ。ニンジャスレイヤーは、スリケン投擲の動作のまま止まっていた。敵の気配は無い。測定器の値も数百キロカラテから上昇していない。
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二人は警戒しながら、ハカバのように暗い課長室に潜入した。「しめた、有線端子だわ」ナンシーが掛け軸の裏に小さな穴を発見し、LAN直結とシステムハックを試みる。十秒後、ブーンという音とともに、建物内全体の電灯が灯り、どこか遠い場所からタービンや大型排気ファンの作動音が聞こえ始めた。
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電灯が灯った課長室の光景は、あまりにマッポー的だった。床には無数の基盤や水牛の骨が散乱し、壁にはトレーニング用の木人や黒いニンジャ装束が吊るされている。課長机の下には、笹を敷き詰めた粗野な寝床と、液体入りの薬瓶。壁に掛けられたヨロシサン歴代社長の写真は顔が赤く塗りつぶされていた。
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「チュパカブラはどこだ?」ニンジャスレイヤーは抜け目ないジュー・ジツの構えを取りながら部屋の中を探索する。「どうやら居ないようね」ナンシーが計測器をあちこちにかざしながら言う「これまでの証言をもとにすると夜行性の可能性が高いわ。狩りに出かけたのかも…」。言い終わろうとしたその時!
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2011-04-25 06:46:10
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