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ラスト・ガール・スタンディング #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ラスト・ガール・スタンディング」 #4
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
両親と妹が自分を置いて失踪し、昼夜を問わずヤミキン・ファイナンスのバウンサーがアパートへ恫喝に訪れるようになった時。日常に何の楽しみも持たず、友人もおらず、勉強もできず、スポーツをせず、好きなアニメ・コンテンツも無かったショーゴーは何一つ取りうる行動を持たなかった。一つを除いて。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
その日のキョートの空は雲ひとつない快晴で、たいへんな暑さであった。四方に配置されたクロームのシャチホコ・スタテューが鈍く日光を反射する。校舎屋上に立つと、バイオセミの鳴き声が不快な湿気を伴ってまとわりつくようだった。ショーゴーは遺書は書かなかった。見せる相手がいないからだ。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
淡々とフェンスを乗り越えたショーゴーは、容易く下へとダイブした。落下は瞑想めいた時間であった。死角から落下地点へ、ゴミ箱を抱えた一人の女子生徒が歩き出てきた瞬間までは。「危ない!」と叫ぶ間などありはしなかった。さらに恐ろしい事に、激突しても意識は途絶えなかった。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
天地が反転し、ジゴクめいた激痛が、致命傷を負ったショーゴーを責め苛んだ。両脚は折れ、 感覚の失われてゆく手で自分のカリアゲ頭に触れると、温くトーフめいた感触、そして隣でうつ伏せになって動かない、長い黒髪の少女、広がる血の沼、声は出ず、名状し難い恐怖が彼を捉える。死ねない!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
アイエエ……アイエエ……。声が出ないショーゴーは喉の奥で悲鳴を上げた。アイエエ……アイエエ……アイエエ……パンク……アイエエ……アイエエ……ニンジャ……パンク……ニンジャ……ドーモ……ドーモ……「……?」ショーゴーは意思に反して混じる言葉を訝った。パンク?ニンジャ?
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ドーモ、ショーゴー=サン、俺様はパンク……ニンジャ……ファックオフ……ファッキンニンジャ……死んだらおしまいだぜ……ファキゴナファッキンファック……(誰だ?)……俺様はパンク・ニンジャ……今からお前は俺様……お前は死なないぜ……死んでたまるか……そう簡単に……(やめてくれ!)
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ファキゴナファッキンファキンブラッツニンジャ……(やめてくれ!死にたいんだ!苦しいんだ!)……苦しい?ファッキン苦しいだと?なら止めてやる……止めてやる……お前は俺様……今からお前はニンジャ……
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「イヤーッ!」ザゼン姿勢のまま垂直に飛び上がったショーゴーのジャンプパンチは、クローンヤクザの顔面を正確無比に撃ち抜いた。「グワーッ!」ワイヤーで引っ張られたように回転しながら吹き飛んだクローンヤクザは、一列に並ぶ控えのクローンヤクザ10人をドミノ倒しめいて巻き添えにクラッシュ!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イヤーッ!」さらに振り向きながら繰り出したショーゴーの回し蹴りは、反対側のクローンヤクザの顔面を正確無比に撃ち抜いた。「グワーッ!」ワイヤーで引っ張られたように回転しながら吹き飛んだクローンヤクザは、一列に並ぶ控えのクローンヤクザ10人をドミノ倒しめいて巻き添えにクラッシュ!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イヤーッ!」さらにショーゴーは壁際で体育座りをしていたクローンヤクザ25人に向けて両手をかざした。「グワーッ!」控えのクローンヤクザ25人の口から白いコロイド光が絞り出され、ショーゴーの手の平に吸い込まれる。全身を駆け巡るズバリ注射めいた強壮感覚!25人のクローンヤクザは絶命!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ここはトコロザワ・ピラーのトレーニンググラウンド・フロアである。もはやショーゴーに用意されたトレーニング・ボットとしてのクローンヤクザは全滅、しかしショーゴーは無限に湧いてくる力と暴力衝動を持て余していた。「嫌な事を思い出しちまったぜ!」
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ショーゴーはアフロヘアーを掻きむしった。ソウカイ・シックスゲイツが用意したザゼン・トレーニング・カリキュラムが、無意識下に押し込められていたあの日の記憶を、今まさに完全に引き出したのだ。「パンク・ニンジャか」ショーゴーは呟き、両手を握ったり開いたりを繰り返した。
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ショーゴーはクローンヤクザ達が倒れ伏すトレーニング・グラウンドを見渡す。タタミ、複数の木人やルームランナー、ケンドー・アーマー、神棚といった一般的な施設のそれはもちろん、重ラバー製のダルマ・サンドバッグや肺活量訓練のための井戸、電気の流れる危険なバーベルがある。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
鏡張りの壁面には「ゴジュッポ・ヒャッポ」「成せばなる」「辞めどきがつかめない」「高級感」といった自己啓発的な文言が仰々しくアーティスティックにペイントされている一方、天井には八つの目を見開くブッダデーモンの禍々しいフレスコ画が描かれ、トレーニーを決して油断させない。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
別室には致死的なスパイクが落下地点に設置されたアスレチック・トラックや、重油のプール、カマユデ、その他、口に出すのをはばかられる程の残虐な苦痛をもたらすニンジャ訓練用障害物が多数設置されている。まるで大首領ラオモト・カンの奔放なサディズムを忠実に反映させたかのように。
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「くだらねえ」ショーゴーは吐き捨てた。力づくで連れてこられたこの訓練場で、彼は過酷なザゼン・トレーニングを強制された。己のニンジャソウルを馴染ませ、同時に身体能力を鍛錬するのだ。この過程を経たニュービーは己のニンジャ新陳代謝によって短期間のうちに冷酷なカラテ戦士の体を手に入れる。
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いずれこんなふざけた組織はブチ壊してやる。ショーゴーは苛々と思考した。ニンジャの力を手にした彼は、自殺を試みる前の自分とはまるで違っている。彼の頭部の傷は他者の生命力を奪って急速に治癒し、カリアゲだった彼の髪はぐんと伸びて今の状態になった。そして憤怒と、生きる意志が湧いた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
気に入らないものを排除する力がいきなり手に入ったのだ。ここに自分が生きる意味が隠されている。ショーゴーはそう思った。それを抑圧するソウカイヤは、だから、敵なのだ。利用するだけして、あのソニックブームや、ラオモトを排除するだけの力を身につけたら、すぐにでも……
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「ドーモ、ショーゴー=サン。どうやらギリギリ仕上がったな、エエッ?」思考を断ち切ったのはヨタモノめいたドスを効かせた声である。ソニックブームだ。自動フスマを開いて入室した彼は金糸入りのニンジャ装束に身を包み、手にマキモノを携えている。「今日も役立たずのままだったら殺してたぜ」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「チッ、ドーモ」ショーゴーは渋々オジギした。ソニックブームはあの日以来、彼のメンターとなっている。時折トレーニングの様子を見に来ては、罵りを残して帰って行くのだ。「もうアンタだって殺せる」ショーゴーは言った。「やってもいいぜ」「ハッ!」ソニックブームは一笑に付す。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
彼は手にしたマキモノを開いて見せた。そこにはミンチョ体で「スーサイド」というカタカナが書かれている。「これがお前の名前だ。俺様がゴッドファーザーだ。ありがたく思えよ」ソニックブームは鼻を鳴らした。「スーサイド。自殺。お前を言い表すならこの単語しかねぇからな、エエッ?」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ソニックブームの挑発に、ショーゴーは不思議と腹が立たなかった。ある意味、真実だからだ。今までのショーゴーには、自殺を試みた事ぐらいしか特筆すべき事項が無かったのだから。だがこれからは違う。何もかも奪って、おのれの衝動のままに生きてやるのだ!このアフロヘアーを網膜に刻みつけてやる!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「それじゃとっとと行くぜ、スーサイド=サン。エエッ?初ミッションだ。お前は俺様の邪魔にならねぇようにして、せいぜい貢献しろよ?」ソニックブームがシャープかつ威圧的なメンポを装着した。一方スーサイドはニンジャ装束を着ない。上半身が裸、下はバッファロー革のズボンにエンジニアブーツだ。
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2011-04-23 01:48:56
ラスト・ガール・スタンディング #1 http://togetter.com/li/121698 ラスト・ガール・スタンディング #5 http://togetter.com/li/126892
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