佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』読書メモ集

佐藤真理恵『仮象のオリュンポス――古代ギリシアにおけるプロソポンの概念とイメージ変奏』(月曜社、2018)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』めくっているが、これはいい本だ。ちゃんと読むべきだし、ウーティス論を本にするときは(ウーティスに論及しているのもあるが)参考文献に組み込むことになるかもしれない。

2018-08-04 11:30:19
荒木優太 @arishima_takeo

レヴィナス的顔が、仮面ではないとされる一方で、レヴィナスの筆致には顔を一定方向に導くイメージ操作がある。仮面なき赤裸の顔とは、ある転倒によって見出されるのでは。『仮象のオリュンポス』のプロソポン概念史は、この難問に大きな示唆を与えてくれる気がする。

2018-08-04 11:34:50
荒木優太 @arishima_takeo

佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』。ペルソナの第一義が仮面であるのに対してプロソポンは顔。が、プロソポンは第二義以下で仮面や役割といった意味を獲得していく。近代的(?)人格観には回収できない顔=仮面の一致がありうる。

2018-08-08 14:06:58
荒木優太 @arishima_takeo

ギリシャ演劇では役者は男性のみと言う決まりごとがあるそうだが、興味深い。例えばレヴィナス倫理の顔は、即ち女性の顔だとされているが、ギリシャ演劇研究者からすれば、その時点で既に仮面であることが決定されている。メモ。

2018-08-08 15:11:28
荒木優太 @arishima_takeo

厳密にいえば、顔のエロス的関係で出会われる女性的なもの、か。

2018-08-08 17:17:51
荒木優太 @arishima_takeo

「砂の上に残された少年の「尻の跡」は、彼に熱を上げる者の欲望や妄想をかきたてるものとなりかねないがゆえに、「注意が要」るのである」(佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』)。そうか。

2018-08-09 12:40:29
荒木優太 @arishima_takeo

エイドラが向こう側から到来するものである以上、それが善きものであれ悪しきものであれ、それらと「行き当たって」しまえば否応なく受け入れざるをえない。by佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』

2018-08-09 12:43:52
荒木優太 @arishima_takeo

この「コレー」という語は、「瞳、瞳孔」という語義の他に、「少女」という意味も併せ持っている。これはおそらく、自身の姿が瞳に小さく映るという上述のような現象が、まるで瞳の中に少女や小さな人間が存在するかのようにみえることにも由来しているのであろう。by佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』

2018-08-09 13:39:21
荒木優太 @arishima_takeo

アイ・カップと呼ばれる杯。飲み物を飲むと仮面を被っているようになる。饗宴と演劇空間の同居。興味深い。 pic.twitter.com/KUsnqjMu4W

2018-08-09 13:52:29
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荒木優太 @arishima_takeo

佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』読了。これは素晴らしい著作だ。さしずめ現代版「仮面の解釈学」(by坂部恵)といったところか。古代ギリシャのプロソポン概念がもつ幅広さを正面の主題にしてはいるが、それでもって裏面では現代社会をきちんと論じていて素晴らしい。博識も楽しい。

2018-08-09 15:06:24
荒木優太 @arishima_takeo

アプロソポス(プロソポスの否定形、非人称態)を、悪と断じないところも共感する。イリアの有効活用がウーティス論での企図だから。

2018-08-09 15:08:41
荒木優太 @arishima_takeo

仮面/顔を、表層/深層=真相、うわべ/まことと理解することを斥けなければならない。この解釈図式に従えば従うほど、(ベルクソンに抗って?)「本当の自我」は深く深く沈み、不可視化され神秘化され、言葉の空中楼閣になってしまう。皮膚こそがもっとも深いのだ。

2018-08-09 15:14:23
荒木優太 @arishima_takeo

『仮象のオリュンポス』、直観的にあんまり盛り上がってない気がするけど、いい本なんで読むといいよ。私の次の著作になるはずの『ウーティス論(仮)』にも、ぜひ盛り込むことにしよう。

2018-08-09 15:17:50