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正体が化物なのを隠してるヒロインがよそよそしくて浮気を疑う彼氏の話

化物で有ることを隠して付き合ってるのを負い目に感じている後輩女子と、その負い目で態度がどこかよそよそしいのを浮気なんじゃないかと勘ぐるけど聞く度胸が無いから自分を高めて釘付けにしようと頑張る先輩男子の話!!!
金持ち 人外 帽子男 ガールミーツボーイ ハーレム SF スペオペ
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帽子男 @alkali_acid
>化物で有ることを隠して付き合ってるのを負い目に感じている後輩女子と、その負い目で態度がどこかよそよそしいのを浮気なんじゃ… odaibako.net/detail/request… #odaibako_alkali_acid
帽子男 @alkali_acid
アカネ・ヤマハラは化物だった。 二年前までは刺激臭のする黒ずんだ立方体で、ごろごろ転がりながら移動して、麝香めいた匂いをさせる白っぽい筒状の獲物を狩る暮らしを送っていた。 だから二足歩行の異種族、人間に会ったとき、最初は何なのかよく分からなかった。
帽子男 @alkali_acid
どこが中枢でどこが末端かも理解できず、人間の区別ができなかった。 ただアカネが、いや当時まだアカネという名前すらない化物だったが、とにかく彼女、あるいはそれが、地下熱脈を移動し地上の存在を蒸し殺す間欠泉型の天敵に追い込まれた時、助けてくれた人間が誰なのかも把握できなかった。
帽子男 @alkali_acid
人間は、練習艇から投射した牽引光線で化物をひっぱりあげ、間欠泉が噴出できない岩盤に逃がしてから、操縦席を降り、挨拶をした。 人間の胸につけていた偏光鉱物の紋章だけが、アカネの視覚に相当する器官の目を射た。
帽子男 @alkali_acid
アカネは恋をしてしまった。 およそ人間の感情とはかけ離れた思考形態であるはずの化物が、恋をしてしまったのだ。 人間の脳波を受容したために起きたある種の共鳴、とでもいうべきか、人間の脳と同じような構造を、黒ずんだ立方体の内部に生み出したのだ。
帽子男 @alkali_acid
遠ざかっていく練習艇を見送りながら、アカネは願った。人間になりたいと。おかしいだろうか。化物として化物らしい生命形態をまっとうすることが、あるべき化物だろうか。 ともかくそう願ったのだからしょうがない。アカネは住み慣れた大陸を転がりながら、人間の痕跡を求めた。
帽子男 @alkali_acid
そうして見つけた。何十年も前に墜落した古い貨物船。もはや連邦の記録にも残っていない。アカネは船殻の周囲を転がり回り、内部に侵入し、人間の死体と記録を見つけ、そして吸収し、名前と新たな肉体を得た。脳以外の器官も人間に近似させたのだ。
帽子男 @alkali_acid
それは人類に限りなく近い構造を持ち、さまざまな検査を通過しうる水準だった。 立方体が備える能力ではあったが、このようなかたちで発揮したのはアカネが初めてだった。 アカネは貨物船の役割をおぼろげながら理解し、空へ飛び立とうと動力の再起動を試みた。
帽子男 @alkali_acid
そううまくはいかなかったが、非常用動力源がはたらいて救難信号を虚空に発した。そうして人間はまた降りてきて、アカネを発見すると、人間と思い込んで救い出した。 さまざまな質問をしたが、アカネにはうまく応えられなかった。 だが見る間に言葉を学習し、意味を把握するようになった。
帽子男 @alkali_acid
「信じられない。何十年にもわたってあの惑星でひとり」 「仮死睡眠装置に入っていたんだ」 「走査にかけたが、全身ガンだらけだ」 「すぐ治療を」 「いや、ガンは急速に減っているんだ」 「なんだと」 「不思議な娘だ」
帽子男 @alkali_acid
「墜落船の記録から、個人名はアカネ・ヤマハラと分かった。肉体年齢は十三?十四?地球年ぐらいだ。そうだ…どうする…恐らく関係者は誰も生存していない…学院が?しかし…確かにあそこは学院の演習場になっているが…ああ、試験を…」
帽子男 @alkali_acid
アカネは、連邦航宙学院に入学した。あとで知ったが、アカネの故郷は学院の演習場になっているのだそうだ。 人間は不可解だった。とにかく入学試験を受け、不合格だった。だが航宙士適性だけは「秀」で、再試験が認められ、教材をもらえた。数時間ですべてを吸収すると、今度は満点だった。
帽子男 @alkali_acid
「協約違反の電脳化をしているんじゃないのか」 「数十地球年前の船の生き残りだからな」 「…あるいは異種族では」 「しかし走査は通っている」
帽子男 @alkali_acid
アカネがすぐに知ったのは、人間はさまざまなものを恐れているという事実だった。 アカネも故郷で間欠泉型の天敵を恐れていたので理解はできた。 まずアカネが入った学院は、連邦というものに属していて、それは遠い世界にいる異種族と対立していた。だから皆が異種族を恐れていた。
帽子男 @alkali_acid
それから人間は電脳、というものも恐れていた。 電脳というのは人間の中枢、脳を模倣したもので、人間はそれに頼りきっているくせに、電脳の能力が人間を超えるのを嫌がっていた。 だからこそ学院が存在し、高度な電脳にまかせればすぐに済むような、船の操縦や、港の管理などを人間に学ばせていた。
帽子男 @alkali_acid
高度な電脳も異種族も、連邦や学院の人間にとっては「化物」だった。見つけたら排除せねばならない。 アカネはどうやら自分が化物にあたることを認識して、こっそりふるまわねばならなかった。
帽子男 @alkali_acid
だからアカネは内気な少女になった。いつも学院の図書館で本を読み、人間のさまざまな慣習を学んだ。恋についても多くの本を読んだ。そうして気付いた。学院にも恋があるのを。恋は、男と女という体に差のある人間同士の組み合わせが多かった。
帽子男 @alkali_acid
アカネは形成したばかりの心臓を高鳴らせた。同じことがしたいと思った。 故郷で天敵から救ってくれた、あの偏光鉱物の紋章をつけた人間を探した。調べたところ、あの紋章は学院の首席が受け取る印だった。
帽子男 @alkali_acid
見つけた。 何人もの少女に囲まれた、目立たない少年。 「どこにでもいる普通の」とでも表現すべき容姿の。それが首席。 リュウガ・ギンセイ。同学年だった。一見何の取柄もなさそうだが航宙士の実技ではトップ。学生ながら数々の学院の事件を解決したトラブルシューターでもある。
帽子男 @alkali_acid
理事長から眼をかけられていて、古い寮を丸ごと住居にしていて、少女の何人かと同棲している。 「リュウガ君のことが気になる?」 見つめていると、隣のクラスメートが尋ねる。 「はい…あの」 「うーん。競争率高いよ?」
帽子男 @alkali_acid
だがアカネは近づいた。リュウガはそちらを見た。 「こんにちわ!」 「こんにちわ…えっと、君って転入生の」 「アカネ・ヤマハラです…あなたに…命を…あ、いえ…」 「どこかで会ったっけ…」 「それは…あの」 少年の取り巻きのうち、片目が銀の娘がじっと見つめる。 「あなた…なんだか」
帽子男 @alkali_acid
アカネはたじろいだ。 「…し、失礼します」 最初はうまくいかなかった。日をあらためて、もう一度近づこうとした。でもだめだった。四人も五人も彼女がいて、割り込む隙間がない。
帽子男 @alkali_acid
といてリュウガ本人はただの友達、義理の妹、おせっかいやきの幼馴染、うるさいクラス委員長、元ライバルといった扱いなのだが、アカネには越えられない壁だった。 しかも皆、頭が切れたり、勘が鋭かったりして、うかつにそばへ寄ると正体を見透かされそうだった。
帽子男 @alkali_acid
時間はすぎ、創立記念パーティーが開かれる。 二人一組でのダンスもある。古めかしい地球の習慣を復刻したもよおし。 リュウガを誘いたかった。でもできなかった。 恋をしているはずなのに、今一歩踏み込めない。化物のアカネは人間になったことで、人間のめんどうくささにとらわれてしまった。
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コメント

にょんギツネ @nyol2novel 2018年8月13日
まとめを更新しました。 帽子男さん著の人外少女のガールミーツボーイなSFスペオペ。
くりあ/CLEA-R-NOT-3 @Clearnote_moe 2018年8月13日
タイトルに偽りありじゃねーか騙されたなんだこれいいね一つじゃ足りないもっといいねさせろ。
moheji @mohejinosuke 2018年8月13日
かなり良い。 良いもの読ませてもらいました。
tamama @tamama666 2018年8月13日
なにこの名作 今すぐ書籍化とアニメ化はよ!
kenjirou_takasima @kenjirou 2018年8月13日
続きを読みたい! ハヤカワはすぐさまこの人にコンタクト取るんだ('・ω・')
権力の狗 @daken3gou 2018年8月13日
なにこれスッゴい面白いんですけど!?
yamamoto @deporika 2018年8月19日
すごく…(実家が)太いです…。
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