1945年8月14日から翌日正午までの話

数学史研究者 @redqueenbee1

1945年8月14日から翌日正午までの話などしたい 8月13日，シンガポール軍政顧問砂田重政を主賓とする宴会が陸軍省関係の建物で開催された． 「僕も前線には戦意なんかはありゃしないということを阿南陸相に話した」 3日夜，陸軍省軍務局軍事課員の井田正孝は，軍事課長荒尾興功・軍事課員の竹下正彦

数学史研究者 @redqueenbee1

予算班長稲葉正夫・内政班の畑中健二参謀・椎崎二郎参謀と共に，陸軍大臣室でクーデター実施を陸軍大臣阿南惟幾に迫った．阿南は即答せず，明日の朝に返事すると発言 内閣法制局参事官の佐藤達夫は，法制局長官室に乗り込む陸軍将校を見た． 「たまたま私が総理官邸の法制局長官室に入

数学史研究者 @redqueenbee1

っていたときのことだ．陸軍省のある幹部の将校が，長官室に乗りこんできて，「ポツダム宣言の受諾が，わが国体の変革を来たすことは明白だ．陸軍の顧問のM博士もそういっている．」と長官につめよった．村瀬さんは，「私は，そうは思わない．」とつっぱねて，一歩も譲られない．結局，将校は何か捨

数学史研究者 @redqueenbee1

てぜりふを残して，靴音をあらく立ち去ったのであった」 14日7時，陸軍省で陸軍大臣阿南惟幾と参謀総長梅津美治郎の会談が行われ，梅津はクーデター計画に反対して阿南は同意 14 日早朝，宮内次官大金益次郎は官舎に近衛師団長森赳の訪問を受けた 「突然に，一人でゞす．近衞師團長の地位にあるもの

数学史研究者 @redqueenbee1

が，一次官の官舎を訊ねるなどゝいう事は前代未聞です．大抵なら，向うか ら「話しがあるから，一寸」で片付けられてしまいます．それが，不意に私の家に現われ，「事態が斯の如くになつたのは，全く軍の責任だ．申譯ない．だがこれも今となつては詮方ない事……．せめて，日本の皇室の永遠のために，

数学史研究者 @redqueenbee1

一言申上げておきたい」と前置きし「今後の日本は，皇太子殿下に望みをかけるより途がないと思う．從つて，東宮殿下の御教育には，深甚な考慮が拂われねばならぬ．ついては，自分は，或る人を知つている．この人は，東宮殿下將來の御教育係として，掛替のない立派な適任者だと思う．是非名前を記憶

数学史研究者 @redqueenbee1

されて，將來御登用戴きたい」と云い，小學校時代の恩師の名を告げて，歸られたのでした．私は，その時，これは，なかなか見上げた人だ．こういう近衞師團長を得たことは，皇室として誠に心強いと感じ，森師團長の辭して行く姿が，強く，私の腦裏に刻まれたのでした」

数学史研究者 @redqueenbee1

8 時頃，内務大臣安倍源基は御前会議開催を申し入れた 「私は朝八時頃に当時の総理大臣の鈴木さんとそれから書記官長の迫水君と会つて，ただちに全閣僚と統帥部をまじえた御前会議を開くようにと申入れた．われわれとしては，陛下の最後の本当の御意志を十分聞いて，それを参考にして，閣僚の意見を決

数学史研究者 @redqueenbee1

める必要があると思つた．そのまま終戦するにしても，あるいは再照会するにしても，最後は陛下の御意志というものが，はつきりしないとスムースにいかないということを感じたものですから，全閣僚の御前会議を開こうと思つた」 8時30分，昭和天皇は内大臣木戸幸一に謁を賜った

数学史研究者 @redqueenbee1

木戸幸一「十四日になると，アメリカの飛行機が，バーンズの回答をビラにして，全国にばらまいたのです．これはたいへんなことで，もしそういう交渉が行なわれ，あんな回答をよこしているということが津々浦々にいる軍隊に知れたら，もう収拾のつかん状態になります．私は驚いて，すぐに陛下のところへ

数学史研究者 @redqueenbee1

伺い，「もう一刻も早く，最後の断を下すほかはないと思います」と申し上げましたら，「自分もそう思うから，至急にそれを取りはからってくれ」との陛下のお言葉です」 続けて，天皇は総理大臣鈴木貫太郎と内大臣木戸幸一の列立拝謁を賜う． 「それで総理も参内してきましたので，相談

数学史研究者 @redqueenbee1

したわけですがこのとき総理に，「最高戦争指導会議はいつ開けますか」と聞いたところ，「実は，陸軍は午後一時まで待ってくれ，海軍のほうも必勝の作戦を考えているから少し待ってくれといっておる」といわれる．それで私は「それはたいへんだ．こんな時期に必勝の作戦なんてあるもんじゃない．

数学史研究者 @redqueenbee1

こうなったら最高戦争指導会議と閣僚の全員を至急にお召しになって，陛下から最後のご決意をお示しいただくほか方法はないと思う」といったら，総理も，「いや，自分もそう思っているんだ」ということです．そこで早速，陛下に状況をご説明申し上げ，十時半に，再びご文庫の防空壕で最高戦争指導会議と

数学史研究者 @redqueenbee1

閣僚の会合が開かれたわけです」 10時30分頃，近衛歩兵第2聨隊第1大隊の佐川博男は分散地白山の陣地で巡察中，命令受領者から聨隊命令を聞いた 「「直ちに宮城乾門に集合して師団参謀の支持を受くべし．服装は軽軍装」であった．早速駈けつけて見ると第一大隊の鈴木中尉外四名いずれも腕に覚えのある

数学史研究者 @redqueenbee1

顔見知りの仲間ばかりである．しばらくしてK参謀が急ぎ足で来て人名点呼をするや，「敵潜水艦はすでに東京湾に潜入し，天皇陛下をアメリカに拉致せんとしている．誘導者は近衛文磨，木戸幸一，鈴木首相，東郷外相等である．諸官は御文庫周辺に待機して以上の者を一歩たりとも内に入れるべからず，直

数学史研究者 @redqueenbee1

ちに斬るべし．」一瞬緊張して「おや」と腑に落ちない一同の気持を察してか「速やかに配置につけ」と有無を言わせない態度で足早やに宮城内に立ち去って了った」 11時，宮内省大臣官房総務課長筧素彦は，宮内省総務局長加藤進から玉音放送準備を命令された

数学史研究者 @redqueenbee1

11時頃，日本放送協会常務理事兼国内編成局長の矢部謙次郎は，情報局の久富次長から電話を受けた 「いよいよきたるべきものがきたな，と思いました．「宮内省の係官をいまそつちに派遣したから，その指示に従つて，すぐ録音機を持つてきてくれ」というのです．さつそく，かねてからの打合せのとおり，

数学史研究者 @redqueenbee1

会長の大橋八郎さん，荒川技術局長とわたしの三人は，録音班二名をつれて，宮内省にかけつけました．すでに，情報局総裁の下村海南さんは一足先にみえており，われわれ一行の到着を待つていたところでした．下村さんはわたしの顔をみるなり，「午後の三時に，録音されるようになつたから急いで準備

数学史研究者 @redqueenbee1

してくれ」という命令．あわてましたね，そのときは．なにしろ，陛下が初めてマイクの前にたたれることだし，おまけに“終戦の宣言”をされるという．日本の国運をかけた放送でしよう．万一，事故でも起きて，録音がうまくゆかないということにでもなつたら，それこそ大問題．覚悟をきめていたというもの

数学史研究者 @redqueenbee1

の荒川君と顔を見合せて，思わずフーっとタメ息がでてしまいました．そこで，すぐさま宮内省の係官の人に案内してもらつて，“放送室”と予定されている部屋に行つてみました．宮内省三階の中程にあるところで，現在は各大臣，高官との接見所になつているところです．ともかく，放送予定時が午後三時

数学史研究者 @redqueenbee1

というので，われわれはすぐ録音準備にとりかかりました．三十坪ばかりの部屋が，扉で二分されており，ひとつの部屋の方は放送室，もうひとつの方を録音室という工合に分けられていた」 11時2分，最後の御前会議開催 安倍源基「十一時に宮中の地下室の防空壕の中で，全閣僚と，それから枢密院議長，

数学史研究者 @redqueenbee1

梅津参謀総長，豊田軍令部長が集まつて，御前会議が始まつた．そこでまず総理が立つて，今までの経過を話した．陛下はちようど陸軍の軍服を着ていらつしたんですが，その前で，鈴木総理大臣が出て，ただ今連合軍に対して再び照会してはつきりするという議論と，それじやいけない．そういうことでは時間

数学史研究者 @redqueenbee1

を取るという二つの意見があるが，もつとも強硬論者の意見を聞いて頂きたいということを話したわけなんです．そして梅津参謀総長，豊田軍令部長，阿南陸軍大臣の三名を総理大臣が指名した．そこでその三名は，それぞれ，表現の強い弱いはあつても，このまま受諾するのは危い．どうしても再照会して，

数学史研究者 @redqueenbee1

その点をはつきりさせなければいかんという議論をやつたわけだ．それを聞いた上で，もし不満足だつた場合はいわゆる死中活を求めるという決心で，敵を本土に迎えてやろうということをいつた人もあります．これは阿南さんあたりはそうだつた．ところがその三名の話が終ると，すぐ陛下がお立ちになつて，

数学史研究者 @redqueenbee1

自分は，再照会せずに即時にポツダム宣言を呑んで，降服するという東郷外務大臣に賛成をする．再び照会した場合は，終戦の機会がなくなるかもしれない．これ以上国民を塗炭の苦しみに陥れるのは，自分として忍びない．それで自分は，即時受諾に賛成をする．もし自分は，必要あればラジオの前に立つて，