戦車小話~後座長と砲塔サイズと三式中戦車を中心に

三式中戦車のよく目立つ駐退機は一体なんだったのかとか、戦車砲の後座長の大きさが与える影響とかのふわふわしたおはなし
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

三式戦車砲の後座長の大きさとチヌの砲塔サイズってそこまで関係ないんじゃないかしら。あいつ後座長は68cmありますけど、そもそも弾薬筒全長が榴弾で74cmありますし。装填スペースを確保するために結局それだけ砲尾後方の空間が必要になるので、そっちが砲塔サイズの下限を決めちゃいますし

2018-08-17 20:03:40
Napalm @napalm240

@FHSWman そもそもチヌ砲塔自体が三式戦車砲ありきのものではなく、チリ初期案からの転用と言われてますしね。(個人的にはチリ初期砲塔も別の車両からの設計を転用したのでは?と思わなくもないのですが)

2018-08-17 21:45:14
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

@napalm240 三式戦車砲に合わせた最適な砲塔を作った訳では全くなく、ありものの砲を設計済みの砲塔に最短期間で組み合わせた結果みたいな所ありますよね。砲がどうであろうとあの砲塔サイズは確定かもです

2018-08-17 22:01:56
Napalm @napalm240

@FHSWman 自分としてはその「設計済みの砲塔」が本来何向けだったかが疑問なのです。あれをチリ車第一案用として一から設計されたものとした場合、搭載予定の五式戦車砲の設計が完了するよりもずっと前から砲塔の形状や仕様が決まっていた、というのがどうも引っかかるのでして。

2018-08-17 22:16:30
Napalm @napalm240

@FHSWman (五式戦車砲の設計完了は19年4月、チリ車第一案の砲塔は昭和18年度研究計画の改正が入ってから間もない昭和18年9月には既に図面が存在)

2018-08-17 22:17:16
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

@napalm240 確かに。見切り発車で砲塔だけ先に設計してしまった、というよりも本来何か別の案向けに考えていた砲塔というのが自然ですかしらねえ。T-43砲塔とT-34-85砲塔みたいな

2018-08-17 22:22:19
Napalm @napalm240

@FHSWman その候補として考えられるのはチリ車の登場以前に計画が存在していたこのホチ車なのですが、この"一〇五粍で初速約三三〇米(九九式山砲ベース?)"の砲はあの規模の砲塔に組み込み得るものなんでしょうか?(内部構造には疎いものでその辺がちょっと…) pic.twitter.com/To7jTPknxu

2018-08-17 22:34:31
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

@napalm240 牽引砲の90式野砲と99式山砲の重量差からも分かりますが、砲規模としてはむしろ105mm山砲のほうが小さい感じがしますね。何かの見積もりがある訳じゃないですが十分収まりそうな気がします。弾薬も短そうですし

2018-08-17 22:44:46
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

もちろんチヌの駐退機があれで何も問題がないのだ、とは言いません。T-34やIV号戦車でも同様に駐退機は防盾より前に出てますけど、こいつらの駐退機覆いは戦車の基本装甲と同等に厚い。いっぽう三式戦車砲の駐退機覆いは12mm厚だか(II型はどうだっけ?)ですから、重機クラスとか砲弾破片でも危ない

2018-08-17 20:06:26
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

仮に三式戦車砲の後座長が例えば半分くらいであったら、駐退機の露出部分はずっと小さく出来たでしょう。そうすれば前が軽くなるので駐退機覆い・防盾の装甲強化に廻せて、基本装甲と遜色ない駐退機装甲を持たせる事も出来た筈(T-34やIV号のように)。だけどそれはチヌには無理なのです。というのも…

2018-08-17 20:12:30
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

後座長を縮める事自体には技術的難しさがあった訳ではありますまい。気液圧式駐退機なんて大戦期には新しい物じゃなし。何をどうすれば抵抗がどう変わるかの理論は分かってるし、複雑な可変後座や大威力砲用も既に実用化されてた。短後座の75mm野砲級戦車砲はなんて難しい話じゃない……時間さえあれば

2018-08-17 20:18:56
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

当時の駐退機は開発自体は難しくないものの、実際作ってみるとトラブルがよく出ました。新型砲の試作で後座不良とか液漏れが起きるっての日本に限らずよくあり。実現できるのは当然で、だけど完成まで持っていくのに時間が要るのですね。だから急ぐ開発では既存火砲の駐退機の流用もよくありました

2018-08-17 20:30:51
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そして三式戦車砲II型は自走砲用をベースに命令から2か月で試作砲試験という信じ難い速度で進んでます。駐退機には全く手を入れてません。時間をかけりゃ出来たでしょうが、そこまでやる事がそも求められてない。チヌ砲駐退機に現れているのは日本戦車砲の「技術的限界」でなく「時間的限界」なのです

2018-08-17 20:44:00
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

チヌ砲って三式って名前からなんとなく勘違いしやすいんですが、実は19年6月スタートの砲でチリ砲より後発なんですね。期待の将来戦車砲ってんじゃなくて、ストップギャップとして大慌てで用意した砲。発砲機構が拉縄だとかもその辺が故で、理想的でないのは百も承知の上で急ぎたかったのです

2018-08-17 20:57:55
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

後座長って比較的数字が出てきやすいんで大小を気にしちゃいますけど、これって一定以下(弾薬全長未満くらい)であれば、そこから更に縮めたところで砲塔は特段小さく出来ませんよね。極端な話、ドイツが試作してた後座長がゼロのガチ固定なシュタール砲架でさえ砲尾後方には弾薬長分の空間が必要です

2018-08-17 21:04:56
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

むろん砲尾が下がってくる空間(危険なので発砲時に人体が入ってはいけない)と、装填に必要な空間(装填する時だけフリーであればいい)は同列ではありませんが。危険な空間はできれば小さい方が良いし、乗員が自由にいられるスペースを考えると、後座長の小ささは砲塔の縮小と一応繋がってはいます

2018-08-17 21:12:58
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そして砲塔が大きい事は一概に欠点とも見做せません。例えば米75mm M3戦車砲は投射能力的には三式戦車砲と略同等(ほんの少し小さい)ですが、シャーマンの砲塔はチヌよりずっと大きいです。でもこれが批判的文脈で語られることはまず見ない。むしろ作業性向上と装填速度の早さに繋がったと言われます

2018-08-17 21:17:46
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

方や76mm野砲級を可能な限り小さな砲塔に収めたT-34はどう評価されたでしょうか。小さくして装甲面積を抑えて同重量重装甲にするってのも一つの方向性なので悪いとは言えないんですが、しかしあの砲塔はソ連軍自身からさえあんまり褒められてません

2018-08-17 21:20:29
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

チヌ砲塔が大きすぎるかどうかを考えるには、砲塔リング内縁~砲尾後方空間の距離と弾薬筒全長の比較とか、各乗員の作業空間広さとか、そういうお話が必要なんじゃないでしょうか。シャーマンとT-34の間にある砲塔が75mm野砲級戦車砲の搭載に特段不適切なサイズだったとは私には思えませんけども……

2018-08-17 21:25:57
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

むしろチヌの砲塔って実は結構悪くないじゃないかって気さえするんです。T-34程には狭すぎないし、何より良いのは砲塔バスルの弾薬庫配置。被弾率的には怖いものの、しかし即応弾の数では75mm級戦車で随一に多いし、発射速度面では実は同級砲を持った戦車の中でも結構悪くない所に行けるかもとか……

2018-08-17 21:29:57
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

戦車の砲発射速度は動作を妨げない作業空間と、何より弾薬庫の造りが大きくて。砲塔バスルは装填手から近くて素敵ですが、しかし大戦期戦車のバスル弾薬庫の多くは必ずしも素早く取り出せる構造ではありませんでした。例えば王虎のなんかは真っ直ぐ引きぬけず、一旦真ん中の方にずらしたりと一手間要る pic.twitter.com/yveVTAOefg

2018-08-17 21:38:17
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

方やT-34-85やIS-1ではバスルに横向きに弾薬を配置してます(図上)。王虎に比べると一見まだ手間が少なそうですが、それでも取りだしには2箇所の留め金を外さないといけない。奥の方の弾薬ほど取り出しにくくなる。そして横向きに入った弾薬を装填できる向きに回すのには水平方向に空間の余裕が要る pic.twitter.com/wZNyeyBNZd

2018-08-17 21:41:11
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

一方チヌのバスルには縦4x横10発がズラっと並んでます。どの弾でも留め金具を一か所外せば引き抜ける。頭を先にして入ってるので抜き出しもスムーズ。そのままだと装填には前後逆向きですが、弾薬を縦に半回転させる動きは場所を食わないし速い。実は一部の現用戦車でも採用してたりする弾薬配置です

2018-08-17 21:43:31
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

現代の主力戦車って手動装填でも口径の割に昔よりずっと発射速度が速いですが、これは弾種の違いによる重量差とかの他に、弾薬庫の造りが「溢さないように収めておく」から「安全に収めつつ素早く一挙動で取り出せるように最適化」と進んだ結果かしら…とか思うものの、現代のなんかは全くわかりません

2018-08-17 21:50:22
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そしてチヌの弾薬庫はそうした現代戦車的弾薬庫(というよりまずは61式戦車か)に結構通じてる気がするのです。無論チヌで本当にそこまで発射速度重点として意図されていたかというと分かりませんが。しかし少なくとも後知恵ではそういう見方も出来てしまうくらい良さそうな配置だなあ、と思うのですね

2018-08-17 21:53:28