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2018年8月18日

[R-18]魔女シリーズ5~しゃらくさいメス男子に身の程を分からせる話

風読みのギギすなわち瞳の魔女ギレナギナと風魔ハインすなわち黒旋風ハインスカルの物語 他のお話は以下 魔女シリーズ一覧 続きを読む
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帽子男 @alkali_acid

>帽子男さんが以前常々仰っていたしゃらくさいオメガメス男子に身の程を分からせるシチュ odaibako.net/detail/request… #odaibako_alkali_acid

2018-08-05 12:15:24
帽子男 @alkali_acid

え、しゃらくさいオメガメス男子に身の程を分からせるシチュを? いいのか?本当にいいのか?

2018-08-05 12:15:57
帽子男 @alkali_acid

でもちょっと暑すぎて思いつかない。蒸すし。 同じ暑さでももっとからっと乾いてくれればまだ…。

2018-08-05 12:17:24
帽子男 @alkali_acid

砂漠。どこまでもうねうねと、かりそめの丘がつらなる沙(すな)の海。 そこをまっすぐ横切る一筋の線。朽(く)ちぬ煉瓦(れんが)で敷(し)いた。 東西をつなぐ絹の道。珍奇の品と、神仙の知識とを運んだ隊商の活路。 二瘤(ふたこぶ)駝鳥に引かせた車の列が、やけつく陽射しの下を進んでいる。

2018-08-05 12:22:08
帽子男 @alkali_acid

荷台には幌(ほろ)のかかった木の檻が積んである。中には赤、青、黄、緑の色をした二本足の家畜が生きたまま入っている。 そろってやせこけ弱っている。 だが目的地につけば草木みずみずしい牧場に放たれ、よく超えてから聖餐に供される貴重な血肉だ。

2018-08-05 12:26:39
帽子男 @alkali_acid

先頭に立つのは頭巾をかぶった若者。不意に首をもたげて、雲一つない碧空を見上げてから、御者台に腰かけた相棒に話しかける。 「嵐が来る」 聞いた方は長い鼻づらでかわいた大気のにおいをかぎ、かすれた喉から声をしぼりだす。 「竜巻か旋風か」 「旋風だ…」

2018-08-05 12:29:51
帽子男 @alkali_acid

相棒は御者台に立ち上がると、頭巾をはねのけ、とがった耳と毛ぶかい顔(かんばせ)をあらわにし、遠吠えを放った。車列の後尾まで届く。 獣人は頭巾をかぶりなおしてつぶやく。 「ここでしのぐのは無理だ。泉までたどりつかねば…どうして今朝分からなかった。風読み」

2018-08-05 12:33:07
帽子男 @alkali_acid

唸りを合図に二瘤駝鳥が足を急がせ、煉瓦の道を踏む車輪のきしみが大きくなる。 風読みと呼ばれた若者は肩を竦める。 「普通の嵐じゃない…風の流れが急に変わった…まるで」 「まるで」 「生きものみたいだ」 「生きものだと…なら奴等かもしれんな」

2018-08-05 12:35:54
帽子男 @alkali_acid

「奴等ってなんだ」 「家畜泥棒どもだ。最近ますます勢いを増している」 「家畜泥棒は魔女の森のあたりに出るんだろ。ここからはるか遠くだ」 「以前はな。今の家畜泥棒は徒党を組んで森から離れたところまでやってくる。すばやくはげしく襲い掛かり、ただの賊というより軍のようだ」

2018-08-05 12:39:11
帽子男 @alkali_acid

「軍だって。おおげさだな」 「そうだ。ふたりの手強い頭目…将軍がいる。赤烈火と黒旋風と呼ばれている。赤烈火は人の姿をしていない。かつては子供のようななりだったと聞くが、暴れ殺し続けるうち、とほうもなく大きな二本足の燃える蜥蜴(とかげ)になりはてたという」

2018-08-05 12:42:25
帽子男 @alkali_acid

「赤烈火は気が狂っており、我等、戎牙(じゅうが)の民…獣人のなだめさえ耳を貸さないという。いま一方の黒旋風は…」 「なんだ」 「黒い風しか見たものはいない。正体を知るほど近づいたものはみな死んだ」

2018-08-05 12:44:25
帽子男 @alkali_acid

いつしか地平の果てに漆黒の風が渦を巻いていた。塵と誇りを巻き上げ、雲の柱のごとく変えながら、車列に吹きつける大気の流れにとどろくような哄笑を乗せてぶつけてくる。 獣人は再び立ち上がり、また遠吠えを放つ。速度を上げていた車列は今度は止まり、次々に刃が閃いて用心棒があらわれる。

2018-08-05 12:46:30
帽子男 @alkali_acid

「風読み…やつがどこにいるか分かるか」 「小さな風の渦が数えきれないほどあの黒い柱の中を舞っている。多い。数十…百を超える」 「風魔だな…黒旋風が率いる風魔の忍軍(しのびいくさ)だ」

2018-08-05 12:48:51
帽子男 @alkali_acid

獣人の説明に、若者は檻を振り返り、家畜のうち山吹色の羽をした鳥に似たものたちをうかがう。 「風魔…風魔なら俺達の積み荷にもいる。小さな風を起こす連中だ」 「黒旋風の風魔忍軍は…まるで別だ。お前が頼りだぞ」 風読みはうなずいて武器をとる。筒に収まった柄の短い槍。鋼でできている。

2018-08-05 12:51:19
帽子男 @alkali_acid

哄笑は耳を聾さんばかりに大きくなり、いきなり突風が車の一台をくつがえした。 家畜の悲鳴と隊商の怒号とが交錯する。無事な車から矢が一斉に放たれるが、螺旋を描く空気に巻き取られてどこかへ消えていっただけだった。

2018-08-05 12:53:18
帽子男 @alkali_acid

「さがれ!野良の風魔よ!さがれ!これは神仙の牧(まき)へ運ぶ聖餐のための食用人種!お前達が襲ってよいものではない!」 獣人が咆哮するように呼び掛けると、塵と埃の柱の向こうで何かがたじろぐのが分かった。 「家畜泥棒があんたのいうことを聞くのか」 かたわらで若者が問う。

2018-08-05 12:55:27
帽子男 @alkali_acid

「分からん…黒旋風は赤烈火と違い、正気らしいが…」 しばらくして甲高い少女の声が風に乗って届いた。 “神仙の手下になりさがった戎牙の言葉に耳を貸すな!あたいがついてる!ぶっとばしちゃえ!!” 獣人は牙を打ち鳴らした。 「やつらにも私の同族がついている」

2018-08-05 12:57:07
帽子男 @alkali_acid

漆黒の風が刃となって襲い掛かってきた。駝鳥をつなぐ革ひもを断ち切り、啼きわめく二本足の群を追い散らすと、旋風がまるごと車を持ち上げ、ばらばらにしようとする。骨組に入った神仙の鋼、神鋼のおかげでどうにかそれは防げたが、檻を壊せぬとなると丸ごと奪い去っていく。

2018-08-05 12:59:27
帽子男 @alkali_acid

「風読み!!黒旋風をやれ!!風の吹いて来る方角のどこかにいるはずだ」 「分かった」 若者は頭巾をはねのける。金髪が風に揺れる。女のような顔立ちだが、目つきは厳しい。筒に収まった槍を構え、じっと荒れ狂う風の渦をにらむ。

2018-08-05 13:01:26
帽子男 @alkali_acid

“やっちゃえ!黒旋風!!ぜんぶめちゃめちゃにしちゃえ!” 家畜泥棒側についた獣人の娘の舌足らずな叫びがまた聞こえる。 応えて哄笑が響き渡る。 風読みはかっと双眸を開くと、筒についたひもを引いた。炸裂音とともに槍が飛び出し、風の守りの隙間をすり抜けて塵と埃の奥へ突き進んでいく。

2018-08-05 13:03:25
帽子男 @alkali_acid

少女が恐怖にわめく裏返った声が聞こえる。 若者はもう一本槍を筒に入れ、またひもを引く。 再び叫び。 嵐は急に退きはじめた。隊商と用心棒はそれぞれ半月刀や弓矢を手に固唾を飲んで暗天を見上げる。

2018-08-05 13:05:59
帽子男 @alkali_acid

とうとう塵と埃の雲が切れ、碧空が戻って来る。 だが車列の大半は失われ、後には見えざる刃に無惨に切り刻まれた護衛の屍ばかりがそこかしこに転がっていた。 「…この短いあいだに…」 獣人があえぐ横で、若者は茫然と惨状を見渡していた。

2018-08-05 13:07:46
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 命からがらたどりついた隊商の泉は例のごとく季節の賑わいを見せていたが、やはり今年はいくらか集まる車の数も少なかった。 音楽と歌声、篝火と酒肴をよそに、宿営のはずれでしばし夜の果てにぎらつく星々を眺めていた風読みは、肩をすくめて仲間のもとに引き返す。

2018-08-05 13:11:33
帽子男 @alkali_acid

獣人が問いかける。 「どうだ」 「嵐は来ない」 「よかったな」 あぐらを掻くと、革袋に入った酒が回って来る。若者があおると、そばで男の笑いが起こる。用心棒のひとりに遊び女がからみついていた。 「あいつらも稼ぎが減るな。これほど隊商が細ってはな」 「家畜泥棒が捕まるまでだろう」

2018-08-05 13:14:22
帽子男 @alkali_acid

獣人は毛深い眉を上げた。 「やつらが捕まると思うか」 「牧を統べる神仙がいつまでもほうっておくはずがない」 「どうだろうな。うわさでは家畜泥棒の頭目のひとり、赤烈火は、神仙の将を殺したとか」 「…神仙は不死だ。絶対ありえない」 「この世に絶対はない」

2018-08-05 13:16:29
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