ライスのアニメ感想:#62 出崎統監督 劇場用アニメ4本

2011年3月17日に死去された出崎統監督追悼で、過去に監督した劇場用アニメ4本の感想です。 内訳は 『コブラ』 『ブラックジャック』 『AIR』 続きを読む
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テリー・ライス @terry_rice88

2011年3月17日に亡くなられたアニメーション監督、出崎統。氏への追悼の意を込めての作品感想を。取り上げる作品は「コブラ SPACE ADVENTURE」「ブラックジャック」「劇場版AIR」「劇場版劇場版CLANNAD -クラナド-」の4本。全て劇場版で、初見の感想となります。

2011-04-20 00:26:52
テリー・ライス @terry_rice88

コブラ SPACE ADVENTURE (1982年作品) 寺沢武一原作漫画の劇場版アニメ。原作の人気エピソードのいいところを全てピックアップして、一本の作品にした、豪華な仕上がり。

2011-04-20 00:33:05
テリー・ライス @terry_rice88

コブラの声はTV版の野沢那智とは異なり、タレントの松崎しげる。けど個人的には違和感が無かったかなあという気はします。野沢那智の鼻に掛かった独特の渋い声よりかはお軽い感じが出て、嫌いではないです。元々、コブラがアニメのルパン三世っぽいキャラなので、そういった意味でも。

2011-04-20 00:38:21
テリー・ライス @terry_rice88

さて、お話はスペースアドベンチャーと言うほどですから、縦横無尽に宇宙を駆け巡ります。第七銀河の崩壊をたくらむ海賊ギルド、その鍵を握る謎の惑星ミロス、そしてミロスの女王候補たる三人の姉妹。そこへ史上最高の賞金首であるコブラが活躍を見せるという極めて、娯楽性に満ちた冒険活劇。

2011-04-20 00:42:52
テリー・ライス @terry_rice88

作品の画面、話、演出、そのどれを取ってみても脂の乗っている出崎監督の手腕を感じ取る事が出来ます。コブラという男くさいキャラクターも相俟って、水を得た魚の様ないきいきとした出来栄えでした。

2011-04-20 00:48:27
テリー・ライス @terry_rice88

個人的にしびれたのは物語の導入からジェーンとのランデブー~惑星シド到着辺りのコブラのカッコよさ。一歩間違うとバタ臭い三文芝居になっちゃいそうなのを、監督お得意の演出で色気たっぷりに描かれているのがなんとも。

2011-04-20 00:51:56
テリー・ライス @terry_rice88

あとアクション映画よろしく、コブラがカッコよく決めるだけなく、ちゃんとピンチに陥って、窮地に立たされるのも逃げずにやっているのが嘘臭くなくていいなあと。ぼこぼこに殴られようと氷漬けになろうと、決めるときは決める。そこがヒーローだなあと。

2011-04-20 00:55:54
テリー・ライス @terry_rice88

お話は「愛」が一つの軸になっているように思えました。惑星ミロスの鍵ともいえる三姉妹。彼女たちにとっては「愛」を巡る旅だったんじゃないかなあと。それぞれがそれぞれの愛に殉じていく。一方でコブラは? 作品の最後の会話が凄く印象的でした。

2011-04-20 01:03:08
テリー・ライス @terry_rice88

「なあ、レディ。俺たちの旅の終わりは、どんなんかねぇ」「ふふ、さあ。コブラの旅に終わりなんてあるの?」「そうか……、ねえよな!」 旅に終わりなんかない、と最後にコブラは大きく笑みを浮かべて、物語の幕が閉じる。まさに出崎節。

2011-04-20 01:09:20
テリー・ライス @terry_rice88

コブラにおいては一貫して、原作をいかにアニメ作品として美味しく仕立て上げるかということに注力して、結果、豪華な一品になった感じでした。コレを見るだけで、コブラと言う作品をおなかいっぱいに楽しめる、そんな作品でした。

2011-04-20 01:12:22
テリー・ライス @terry_rice88

劇場版AIR(2005年作品)Key原作の恋愛アドベンチャーゲームのアニメ化。wikipediaの解説を読む限りだと、原作準拠の京アニ版とは異なって「もう一つのAIR」と言うコンセプトで作られた作品、と言うことだそう。筆者は原作未プレイです。なので、単体で見た場合の感想となります

2011-04-20 01:21:25
テリー・ライス @terry_rice88

おそらく原作ゲームから、枝葉の部分を全てそぎ落として、主軸のストーリーだけを一本の劇場版アニメに仕立て上げた作品、なんだろうと思います。ですから、登場人物は必要最小限に抑えられている印象。

2011-04-20 01:26:27
テリー・ライス @terry_rice88

主人公の国崎往人は出崎作品における「男は旅する生き物」というイズムを多分に背負わされていて、その旅ガラスがふと止まった宿り木にいたのがヒロインたる神尾観鈴だったんだろうかなあと。

2011-04-20 01:31:31
テリー・ライス @terry_rice88

構成はDREAM編 / AIR編とSUMMER編がザッピングする形で進みますが、恐らく出崎監督の指向したのは「悲恋もの」だったんじゃなかろうかなあという気がします。いや、原作がそもそも「泣きゲー」じゃないかというのはごもっともなのですけども。

2011-04-20 01:34:51
テリー・ライス @terry_rice88

実は京アニ版も全部じゃないせよ、数話程度は鑑賞しています。それと比較してみると最大の違いはそのキャラクターの描写なんじゃないのかなあと。主にヒロインである神尾観鈴の。

2011-04-20 01:39:36
テリー・ライス @terry_rice88

キャラクターデザインはもとよりなのですが、原作寄りの京アニ版は幼児性を抱えたキャラクターなのに対し、本作はあくまで病弱な少女と言う面が最大限に強調されているような印象。ここら辺は相当な英断だったんじゃないのかなあと思われます。

2011-04-20 01:41:05
テリー・ライス @terry_rice88

SUMMER編の悲恋をリフレインする形で国崎と観鈴の悲恋が描かれると言う形になっており、翼人伝説という伝承を軸に現在と過去が重なり、繰り返されると言う構成についてはよく出来ているんじゃないのかなあと。

2011-04-20 01:46:02
テリー・ライス @terry_rice88

劇場版の観鈴に関して言えば、健気という言葉が当てはまりそう。原作及び京アニ版の観鈴もそれはそれで需要がありそうだけど、クセが強くて、人によってはとっつきにくくあるように思えます。

2011-04-20 01:50:58
テリー・ライス @terry_rice88

そういった点やその他において、原作らしさというのは失われてると評すのが正しいかと思います。終盤の展開においての原作改変もやはり原作どおりというよりは作品のまとまりを重んじた故の結果なんだろうなあと。

2011-04-20 01:55:55
テリー・ライス @terry_rice88

けれど一長一短はあって、観鈴と晴子の擬似親子が本当の親子関係になる所や、国崎と観鈴の深まる関係とかは、素直にホームドラマや恋愛ドラマとして見られたかなあと思います。結局、翼人伝説と観鈴の顛末は重なってしまったが、そこには確実に「愛」があったというのは余韻があってよかったかと。

2011-04-20 02:00:58
テリー・ライス @terry_rice88

ただまあ原作をやってないからそう思えるだけで、やったことある人には薄味すぎたのかもしれない。けれど、取捨選択の難しい原作をこうして90分の物語に纏め上げた手腕を決して馬鹿には出来ない。総じて評価の難しい作品ではあるのかなと。個人的には楽しめた作品ではありました。

2011-04-20 02:04:09
テリー・ライス @terry_rice88

ブラックジャック(1996年作品) 出崎監督が手かげたOVAの流れから発展した劇場版作品。原作にはないオリジナルストーリーで、脚本に出崎監督と連名で小説家の森絵都が参加している作品。

2011-04-20 02:07:37
テリー・ライス @terry_rice88

ほぼ同時期に「ルパン三世~ハリマオの財宝を追え!」を手がけており、そのルパンスペシャルと同様に画面が終始、黒っぽいのが印象的な作り。お話は同年のアトランタ五輪をモチーフに超人類がテーマ。

2011-04-20 02:12:31
テリー・ライス @terry_rice88

スポーツ、芸術などで人間の限界を超えた人間、いわゆる超人類ブームに沸く世間、しかし一方で超人類たちは謎の奇病、モイラ・シンドーロムに悩まされていたというお話。ここではBJのテーマたる「人の命」、「人間の限界」などを出崎調に取り上げています。

2011-04-20 02:15:30