脳科学者・茂木健一郎(@kenichiromogi)さんか語る 「書くこと」
- toshihiro36
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書く(1)小学校の時だったか、先生が、社会に出て一番役立つのは文章力だとおっしゃった。今頃になって、なるほどそうだな、と思う。
2011-04-20 08:36:41書く(2)インターネットの時代になって、書くことの重要性が増した。文章が文化的遺伝子となって、偶有性の海を浮遊する。力があれば、遠くまで届く。書くことがもっとも基本的な「生きる力」の一つとなりつつある。
2011-04-20 08:37:25書く(3)この連続ツイートもそうだが、私は書く時には何も意識しないでいきなり始める。集中しているが、リラックスしている、「フロー状態」の中に自分を置く。サンデー毎日の連載などもそうで、いきなり始めてずっと書く。
2011-04-20 08:38:19書く(4)文章を書く時には、論理性、構成ももちろんだが、「読み味」が一番の基準となる。文章のクオリア。自分の書いたものを読んでみて、どんな印象を受けるか。音楽と同じである。そして、クオリアの一部に、論理性が含まれる。
2011-04-20 08:40:49書く(5)文章で何かを伝える、ということが大切なのはもちろんだが、それでは実用的な文章になる。言葉の配列、リズム、響き合いに注目して、自分の文章のクオリアに耳を傾けることが肝要である。
2011-04-20 08:42:10書く(6)島田雅彦は、かつて、すぐれた作家の文章は、それ自体が国語辞書のようになると言った。その言語圏で使われる言葉が満遍なく登場する多様性。繰り返しを技巧として使う場合は別として、同じ言葉を重複しないのは基本的な心がけである。
2011-04-20 08:43:23書く(7)単語としては違っていても、たとえば、その中に登場する漢字が共通するなど、類似の表現を避けることも一つの心がけである。自分の書いた文章が、さまざまな生きものが棲息する森林のような豊饒を響かせることを目指そう。
2011-04-20 08:44:36書く(8)英語の文章でも、実用的なものと芸術としてすぐれているものは全く違う。今読んでいるSteinbeckは後者。翻訳作業は、一つひとつの表現を確かめながら進むから、言語感覚の鍛錬に役立つ。村上春樹さんが翻訳もされるのには、そのような意味があるのだろう。
2011-04-20 08:46:12書く(9)書くことは、総合的な知の顕れでもある。すべての感覚、経験の結果が書くことに反映される。だから、自分の文章が、いつかより深みを増すことを期待して、大いに生きようじゃないか、諸君!
2011-04-20 08:47:47