米軍によるガダルカナル反攻作戦開始前後の、日本陸海軍の情勢判断について

米軍によるガダルカナル反攻作戦について日本陸海軍はどのように情勢分析をし判断したのか。簡単に解説したものを纏めてみました。
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あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

ガダルカナルでの敗北を辻政信氏一人(あるいは服部卓四郎氏とセットで)の責任にしている方が多いが、事はそう簡単ではない。 ガダルカナルに上陸した米兵戦力の見積もりを誤ったのは、大本営陸海軍部や現地で戦域を担当していた第四艦隊にある。

2018-08-21 17:10:07
あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

ガダルカナル島に米軍が上陸する前から、ソロモン方面での連合軍の活動は活発であった。昭和17年7月にソロモン方面を担当することになった第八艦隊は、同方面における連合軍の活動は、近い将来何らかの真面目な反攻作戦が行われるのではないか、と警戒していた。

2018-08-21 17:13:34
あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

中央においても、7月上旬に米本土を出港した船団が豪州方面に向かうという情報を得ている。これは当時日本軍によって実施されていたリ号研究に対する豪州方面への増強と見られてはいたが、何らかの作戦発起であるとは考えてもいて、7月中旬には警戒するよう伝えられている。

2018-08-21 17:17:21
あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

現地の第四艦隊はリ号研究に集中していたからか、ソロモン方面に連合軍が来るとは考えていなかった。しかし、新たに編成された第八艦隊は、様々な情報を分析し、ソロモン方面に何らかの動きがあると推察していた。ちなみに、第八艦隊司令部要員の一部に 前任が軍令部参謀の者がいた。

2018-08-21 17:22:02
あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

大本営陸海軍部がガダルカナルへの連合軍上陸を本格的な反攻作戦の始まりと思わなかった理由に、世界情勢の判断が誤っていたことにある。しかし、この世界情勢の判断は根拠がないものではなかった。アメリカの情勢分析については、アメリカの新聞報道等が参考にされていた。

2018-08-21 17:26:27
あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

アメリカでは昭和17年初めにいわゆる「勝利の計画」という戦争計画が作成されていた。これによると、アメリカの枢軸側に対する本格的な反攻作戦の開始は、昭和18年中期以降とされていた。 この「勝利の計画」の一部が新聞社にすっぱ抜かれた。この情報が、日本にも伝わったのだ。

2018-08-21 17:29:28
あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

ただ、昭和17年6月上旬のミッドウェー海戦の結果、米側は情勢の好転と、日本海軍のガダルカナル進出により、かねてから計画していたガダルカナルを足がかりにした反攻作戦の早期実施を決めた。

2018-08-21 17:34:45
あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

この米側の決断は、日本側には当然分からなかった。その原因は、先の「勝利の計画」と、ミッドウェー海戦の大敗北が陸軍に正確に伝えられていなかったことにあり、大本営陸軍部の米国情勢判断に誤りをさせてしまうことになった。ちなみに、情勢判断会議には海軍側も出席していたが、指摘はなかった。

2018-08-21 17:39:57
あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

米側の方は、昭和17年初めに既にガダルカナルを足がかりとした反攻作戦が計画されていたが、作戦実施部隊である海兵隊側が、訓練や準備等の関係で昭和18年初めにならないと出来ない、としていた。状況が変わったのが、ミッドウェー海戦での勝利であり、日本海軍によるガダルカナル進出であった。

2018-08-21 17:46:31
あずLOVE@晴れの国で戦史研究! @nakachandaisuki

以上が、米軍によるガダルカナル反攻作戦開始前後の日本側の情勢判断の経緯である。全くの不意打ちではなかったが、これが米軍による本格的な反攻作戦であるというのを、一部を除いて、見抜けなかった。原因は対米情勢を見誤ったからではあるが、決して米国の情報収集を怠っていたからではなかった。

2018-08-21 17:51:45