アニメ業界に居てきちんとお金をもらえる仕組みが出来た

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おたろう @otarou01

今月いっぱいでちょうどアニメ業界歴10年を超えるのだけれど、今組んでるプロデューサーと一緒に今月分の請求書作成してて「この額ならアニメ業界にも夢があるって言えますね」と言ってもらえた。 若手スタッフの誰からも搾取せず、人並みの生活を維持しながら利益を出すという実例をようやく作れた。

2018-08-28 11:41:29
おたろう @otarou01

自分はアニメーターとしても演出家としても一流には遠く及ばないが、ここに来るまでとにかく意識した事は人付き合いを大事にしてきたのと、人に自分の尻を拭かせず、自分では出来るだけ人の尻を拭くける様になる事だった。

2018-08-28 11:46:47
おたろう @otarou01

学生の頃から人の生活の犠牲の上に成立している作品を手放しで評価していいものかと考えてきた。 今組んでるプロデューサーとは10年位かけてアニメの作り方を変えていこうという話をしているので、これから少しずつ色んな人を取り込めて行けたらと思うです。

2018-08-28 11:52:20
おたろう @otarou01

アニメ業界に居てきちんとお金をもらえる仕組みが出来たというツイートの反響で具体的に何をしてそうなったのかという質問を頂きましたので、ざっくりとその仕組みをお伝えします。(以下リプに続く)

2018-08-30 09:42:08
おたろう @otarou01

今のアニメ業界は仕事が超分業化されており、1分のアニメだろうが20分のアニメだろうが必要とされる作業者の数は大きく変わりません。 1分100万円の制作費でも、10人で割れば一人10万しか手に出来ません。これを3人で作る事により一人33万円もらおうというのが今実践している事です。

2018-08-30 09:42:08
おたろう @otarou01

アニメを作る際、尺や予算規模に関わらず最低でも10人以上の人員が必要になります。 作画の役職だけでもキャラクターデザイン、原画マン、動画マン、背景美術、3Dと全ての作業者が個別に必要になります。また、作業者が増えれば増えるほど全体の作業を統括管理する人(制作進行)が必要になります。

2018-08-30 09:42:09
おたろう @otarou01

こういった理由から現在多くのアニメ制作会社では、規模の大きいアニメしか制作出来ないという問題を抱えています。 例えば1分100万の仕事よりも100分5000万円の仕事を選んで受注します。 尺単価にすると前者が後者の倍の金額ですが、1分でも100分でも最低10人のスタッフが必要です。

2018-08-30 09:42:09
おたろう @otarou01

結果100分5000万の案件を受注するしか選択肢が無いのですが、実は世の中には1分100万どころか、200万出してもいいからアニメを作ってくれといった依頼が案外存在しています。 今回私が手掛けているアニメがこういった尺単価は高いが規模が小さい依頼になります。

2018-08-30 09:42:09
おたろう @otarou01

1分200万でも10人の作業者が関わると一人頭の手取りは少なくなりますが、今回はこれらの作業をごく少数に集約して行い一人頭の手取りを飛躍的に増やすという試みを実線した結果になります。

2018-08-30 09:42:10
おたろう @otarou01

30分のアニメを数人で作るのは困難ですが、1分のアニメを二三人で作る事はさほど困難ではありません。尺単価の高いアニメを少数のスタッフで分業する事で手取り金額が大幅に増え、タスク管理も少数が個別で行う事で制作進行費まで作業者の報酬に回す事が出来ます。

2018-08-30 09:42:10
おたろう @otarou01

また、過度な分業は作業の大幅な遅延を引き起こします。1分のアニメでも工程ごとに作業者が異なれば各セクションで作業者の手が空くまで素材が放置されてしまいます。 作業者が少なければこの無駄な時間を大幅に削減出来るため遅延は最小限で済みます。

2018-08-30 09:42:10
おたろう @otarou01

実感として5分以下の尺であれば少人数制作をする方がスケジュールもクオリティーもより高いものが作れるという感じですが、これにはもちろん作業者一人一人のスキルの高さと、欠員に伴うリスクの大きさも伴います。

2018-08-30 09:47:50
おたろう @otarou01

また、現在アニメファンの多くが見ているテレビアニメには適応が難しいシステムなため、テレビアニメに従事する多くの作業者の環境改善には直ぐに適用出来るものではありません。

2018-08-30 09:51:41
おたろう @otarou01

ですが近々には短尺高単価アニメとテレビアニメの兼業(半年は短尺アニメで生活費を稼ぎ、残り半年はテレビアニメをやる)で現状の低賃金問題を緩和する事は可能だと考えてもいますし、実際私自身そうする予定です。

2018-08-30 09:51:41
おたろう @otarou01

最後に私が取り組んだ仕事の具体例を一つ紹介します。 1分100万円のアニメ案件において ・キャラクターデザイン:二体 ・絵コンテ ・レイアウト/原画(約10カット) ・一部背景美術 を一人で行う事により、実作業3週間(一日8時間労働、週休2日込み)で50万の報酬を頂きました。

2018-08-30 09:59:16
おたろう @otarou01

ただし、短尺のアニメは仕事のサイクルが早く、1作品で1年以上仕事が自動供給されるテレビシリーズよりも細かい案件への営業やタスク管理の点で大変な点も多々あります。 依頼数としても100人規模の人間を安定して養うだけの数があるか不明確な点も多いです。 とりあえずの参考までに。

2018-08-30 09:59:16
おたろう @otarou01

「短尺高単価アニメで稼ぐ」という発想は何年も前からありましたが、問題はいちアニメーターが単身でこういった仕事を請けられない事でした。 「アニメが作れる事」と「アニメの仕事を請ける」事は違う事で、この二つを繋ぐには仕事を斡旋してくれるプロデューサーの存在が不可欠でした。

2018-08-30 10:30:01
おたろう @otarou01

今回ようやく考えの多くを共感してもらえるプロデューサーと出会う事が出来、自分の能力も相まって10年目にしてようやく構想が実現しました。 ここ最近の体験を通してアニメの環境改善にはいかにプロデューサーの存在が大事かも痛感している所です。

2018-08-30 10:30:01