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一色登希彦 @ishikitokihiko

徳島県の「すずみ食堂」の共同経営と大工と調理をしています。 2011年まで東京で漫画を描いていました(「日本沈没」「モーティヴ」「ダービージョッキー」等)。 移住後に三重県で立ち上げた「道瀬食堂」は17年に卒業。オートバイに乗ります。

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一色登希彦 @ishikitokihiko
震災の混乱で朝鮮人をはじめ数多くの人が各地で虐殺された。下の島田さんの昔のツイはそのひとつ「烏山事件」と呼ばれるものだけれど、拙版『日本沈没』6巻でひとりの青年が死に至る話は、この烏山の出来事をモチーフにして描いた。(このツイ自体にも「虐殺はウソ」というクソ返信がぶら下がってる) twitter.com/Shimatorax/sta…
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烏山事件を僕が知ってモチーフにして描いた、その随分あとに出た加藤直樹さんの『九月、東京の路上で』に、烏山の詳細も載っている。どこを拾い読んでもひどい話しかないのだけど、「烏山神社に鎮魂として植樹された13本の木」というのがあって、著者はそれを元に最初は「死者13名」と考えた。が、
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が、よく調べたら殺された朝鮮人の死者は1名らしい。さらに調べたら、虐殺の廉で起訴された地元の人間が12人(ほどなく保釈)居て、その12人の「ご苦労」を労う、罪滅ぼし、ケガレ払いの為に12本の木が植えられた(「死んだ」犠牲者の為にも1本植えられた)ので、13本の植樹がされたそうな。
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千歳烏山の地誌には当時を知る老人の言葉として「この地から不幸にも12人が起訴されたが、援助の手を差し伸べ続けた結果、全員が戻ってきたことは喜びだ。記念に12本の植樹をした。」「誰がどう殺した等と2度と問うてはならない。全ては震災と行政の怠慢と情報不足の不幸に過ぎないのだ」(要約)と
一色登希彦 @ishikitokihiko
この社会の、「間違っていても(犯罪者だとしても)身内をかばう」、典型中の典型。僕も、本に書かれたこの烏山事件の空気感を、その何年も前に現場を歩いて経験した。写真はその当時に撮った千歳烏山の「虐殺の現場」。すぐ近くの、その植樹された烏山神社で、ひとりのおばあちゃんに会った。 pic.twitter.com/Ex2pxxg5ZA
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一色登希彦 @ishikitokihiko
境内の碑や説明文を眺める様子が珍しかったのか、おばあちゃんは僕に話しかけてきて、僕は「昔、この辺で外国の人が殺されたって聞いたんですけど(←湾曲表現)」と尋ねた。するとおばあちゃん「亡くなったかどうか、大けがしたとも聞いたんだけど、とにかく此処で昔、悲しい出来事があってね」と。
一色登希彦 @ishikitokihiko
「それで、2度とこんなことがありませんように、という願いを込めて、この神社に木を植えたらしいのよ」と。おばあちゃんに何の罪の意識も無いのがわかる。「2度とこんなことをしません」ではなく「2度とこんなことがありませんように」なのだ。自分の悪行が、自発行為ではなく「災い」に還される。
一色登希彦 @ishikitokihiko
いや。「罪の意識が無い」というのはウソで、あのおばあちゃんには無意識レベルで罪の意識がある(あった)と思う。「外国の人が殺されたって聞いたんだけど」という僕の問いに彼女はビビッドに反応した。「亡くなったかはわからない」と強めに断った後で、知っていることを饒舌に話してくれたもの。
一色登希彦 @ishikitokihiko
そこには「話したくてたまらない」「聞いて欲しい」という感情を感じた。田舎の噂話、井戸端会議、王様の耳はロバの耳…の井戸。自分の背負っている「罪」「嫌なこと」を、無関係な他人に話して穢れを晴らしたいという感情を感じた。その様子に触れたことで、僕は『沈没』で「殺される青年」を描いた。
一色登希彦 @ishikitokihiko
千歳烏山で殺された朝鮮人は、当時日本に強制連行されたひとりで、その時は労働者として動員されて、被災した京王線笹塚駅の修復を命じられて、大勢で現場に向かう途中だった。先の写真の場所が川の石橋だったのだけど、そこで乗ってた車がスタックしている所を、地元自警団に因縁をつけられ殺された。
一色登希彦 @ishikitokihiko
追記します。殺害された朝鮮人の記述に関して「当時日本に強制連行された」と書いたのですが、 twitter.com/ishikitokihiko… 「強制連行」の言葉が適当かどうかの確認が不足しています。スレッド全体の大意が大きく歪められて受け止められる様子であれば、訂正削除等対応しようと思います。ご指摘感謝。
一色登希彦 @ishikitokihiko
僕は、烏山神社のその椎の木を見ておばあちゃんの話を聞いて、大橋場の跡(殺戮現場跡)に立ったその時に、「あの時あの場所」に繋がってしまった。僕は「何の罪も無い朝鮮人を熱狂してリンチして殺した12人のひとり」になったし、「異国で意味もわからないまま殺された”洪其白(ホンギベク)”」だった。
一色登希彦 @ishikitokihiko
東京の惨劇を描いた『沈没』6巻で描いた場所は、全て自分の足で歩いて取材した。連載のさなかに、よくもあれだけ歩いたと思う。杉並から中野新宿に至る戦前からの木造建築住宅街を歩いて全部炎で焼き尽くしたし、その果ての東京都庁を「カマド」に見立てて関東大震災でも生じた火災旋風を再現した。
一色登希彦 @ishikitokihiko
伊勢丹らしき百貨店で被災して帰宅困難者になる女の子、それを助ける通りがかりの青年と共に、山手通りを下り、目黒川を渡り、碑文谷の自宅に送り届けた後に自転車で故郷を目指し北上する途中で、通りがかった烏山で殺され埋められた。そのルートを、全部歩いて見て経験して、それを描いただけだった。
一色登希彦 @ishikitokihiko
時間の向こうや、今いる場所の向こうだと思っていることは、実は全てがビックリするくらいに地続きだ。私たちはそれを忘れている。身近で直近のはずの多くの記憶を失ってしまっている。何度も何度も繰り返すしかないのだけど、私たちは、忘れてはならない。忘れるから加害者のくせに被害者ヅラをする。
一色登希彦 @ishikitokihiko
もしも、興味と、486円をお持ちだったら、第6巻だけでも読んでやっておくんなさい。もう少しだけ、読むことを求めているけどまだ出会ってくれていない人が居るように思う。/日本沈没 6巻 一色 登希彦 amazon.co.jp/dp/B00XP23EZI/… @amazonJPさんから
日本沈没 6巻

一色 登希彦

コメント

パワードたぬき @powered_tanuki 2018年9月9日
「言った」「聞いた」「感じた」…へぇ…
Simon_Sin @Simon_Sin 2018年9月9日
現地に行って感じることは重要だな。裁判の記録だけでは感じられないリアルを体験できる。われわれとそう変わらない東京人が間違いなく殺したということを。
未知神明(みちがみ・あきら) @ontheroadx 2018年9月9日
神社のそばに住んでたら「自分の悪行」になるのん?
ニートその3 @apribi 2018年9月9日
木を植えたのが当事者ではないなら、他人事なのは当然じゃね。一部のバカが暴走して大半のまともな人間が被害を被るのは左右関係なく今でもあることだし
フローライト@今日どこさん行くと? @FluoRiteTW 2018年9月9日
小松左京横に置いて「拙著」と来たもんだ。
ゲーム用 @TaroYakiniku 2018年9月9日
Simon_Sin フィクションの危険さってまさにこれなんだよなあ。実際、過去の事実を描く場合、筆者は取材と思想から再構成した事態を描くのであって、それは結局リアルじゃない。そのリアルは作られたリアルであるにもかかわらず、何か描写の妙で描かれた事態が本当にリアルなように思えてくる。
ゲーム用 @TaroYakiniku 2018年9月9日
TaroYakiniku 関東大震災の時点での朝鮮人の殺害行為については、そら意見対立があるだろうよ。そこが問題なんじゃない。うまい描写、自分の考えに近い描写をリアルと即断してしまう、フィクションに対する抵抗力のなさがヤバい。
mlnkanljnm0 @kis_uzu 2018年9月9日
「おばあちゃんに何の罪の意識も無いのがわかる。「2度とこんなことをしません」ではなく「2度とこんなことがありませんように」なのだ。自分の悪行が、」関東大震災は90年以上前の出来事なんだが、そのおばあちゃんは当時生まれてたの? 今いったい何歳? もしやおばあちゃん地縛霊?
フローライト@今日どこさん行くと? @FluoRiteTW 2018年9月9日
ぶっちゃけ「コミック化で追加したオリジナルエピソード」って、どんなにお絵描き担当が調査した!事実だ!俺はそう感じた!!って主張しようと、「原作者が入れる価値無しと判断したもの」なんだから越権行為も甚だしいんだよ。特殊なスタンスの人が「そう感じた」って言ってることが事実かなんて定かじゃないし、そういうスタンスの人が主張する「ヒアリング」とか「分析結果」も正しいかどうか、やっているのかどうかすらわからない。信用できない。
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